ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。


 外資系金融機関を経て、日本銀行に入行し、高知支店長などを歴任。日銀を退職後は三菱UFJフィナンシャル・グループの経営企画部長などを務め、2023年7月に高知銀行の副頭取に就任していた。
 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

―高知銀行の頭取に就任して目指すことは

 昨年(2024年5月)、「わくわくする『みらい』へ ~地域と共に~」をテーマとする中期経営計画を策定した。ここで掲げたように、お客様・高知銀行の双方について、人、事業、財のそれぞれを伸ばしていくことを目指したい。中でも、「人」に注目し、お客様についても高知銀行自身についても、そこに働く人たちのウェルビーイングを実現したい。

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外...の画像はこちら >>

インタビューに応じる河合祐子頭取



―日本銀行高知支店長として、2014 年から 2016 年まで高知に赴任していた。「高知愛!」を強くお持ちのようにお見受けするが、河合頭取の「高知愛!」とは

 高知は自然が豊かで社会のダイバーシティに優れているオープンなコミュニティだ。お金で買えない価値がある高知。このマネタイズを意識することで、高知が日本に、世界に誇るオンリーワンな存在として持続できると考えている。高知の自然が好き、人が好きだというのが基本だが、それだけにはとどまらない発展のチャンスがある。

―高知銀行は、「台湾・ミャンマー人材視察2025 」の開催などアジア諸国との連携に力を入れている。アジア諸国企業とのビジネスマッチングなどの方策は

 モノやサービスの売り先人的資源(ワーカーとしてだけではなく知財としても)のソーシング先として、距離の近さ、人口動態からいってアジアが有力だと考えている。

「外国人材の活用」「高知県内企業の海外販路開拓支援」の観点から、当行ではアジア諸国との連携を強化する取り組みを進めている。
 まず、外国人材について。高知県では人口減少が進む中、県内企業における人材採用の課題が年々深刻化している。多くの企業が日本人の常勤採用を希望しているものの、思うように採用が進まず、外国人材の採用に関心を寄せる企業が増加している。しかし、外国人材の採用に関する知識不足や不安から、実際の採用に踏み切れない企業も少なくない。 
 一方、アジア諸国の中には、所得水準が低く、失業率が高いといった課題を抱える発展途上国が多く存在する。こうした背景を踏まえ、当行ではアジアからの人材誘致を推進するため、令和6年10月に県内に拠点を持つ4つの外国人技能実習監理団体と連携を開始した。
 さらに、外国人材の採用促進および定着支援を目的として、令和7年5月20日には高知県中小企業団体中央会と「外国人材支援に関する連携協定」を締結した。また、令和7年10月には、県内企業の皆さまに外国人材が現地でどのような生活を送り、どのような教育を受けているのかを直接ご覧いただく機会として、「台湾・ミャンマー人材視察2025」を高知県中小企業団体中央会と共催で開催する予定だ。
 次に、高知県内企業の海外販路開拓支援について。県内企業が日本国内市場にとどまらず、海外市場での商流を構築し、事業を拡大していけるよう、当行の関連会社である地域商社こうちと連携して取り組んでいる。その一環として、令和6年10月23日~24日に「こうちプレミアム現地商談会~香港向け輸出商談会2024」を開催した。
この商談会には、香港から6社のバイヤーにご参加いただき、当行のお取引先である34社の高知県内企業が参加した。  参加企業からは、「海外バイヤーのニーズを直接知ることができた」「輸出用の加工に関する知識が深まった」といった声をいただき、一定の成果を得ることができた。
 当行としては、高知県や日本国内だけでは解決が難しい課題に対し、アジア諸国との連携を積極的に強化することで、地域企業の皆さまの課題解決を全力でサポートする。

―趣味は食べ歩き、お酒と聞く。高知の食材、グルメ、地酒などについて

 豊かな自然に由来する高品質の一次産品、長い歴史を持つ料理とお酒、食に熱心な県民が支える高知の食文化は素晴らしいと思う。単に美味しいというだけではなく、「文化」だ。高知銀行は「日本一お酒に寄り添う銀行」を目指している。高知県の文化と歴史が息づく土佐酒は、地域経済にとってかけがえのない財産だ。
 グループ子会社の(株)地域商社こうち(TSRコード: 696960729)では、酒米精米事業を2024年に開始した。世界市場を視野に入れた土佐酒ブランド力向上および振興を、地域金融機関としての強みを活かし多角的に支援していく。

編集部おすすめ