2025年8月の 「物価高」倒産


 2025年8月の原材料高騰などに伴う「物価高」倒産は、55件(前年同月比14.5%増)だった。3カ月連続で前年同月を上回り、2025年1-8月累計は475件(前年同期比3.6%減)で、高止まりしている。


 負債総額は143億7,300万円(前年同月比5.8%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。だが、100億円超で推移している。
 米国との相互関税(トランプ関税)の発令で、先行きに不透明感が広がっている。内需型産業の中小企業への影響は、現状、顕在化していないが、長引く円安に伴う物価高が重くのしかかっている。

 「物価高」倒産の業種別では、職人やドライバー不足だけでなく、建材や燃料の価格高止まりが続く総合工事業(前年同月6件)と道路貨物運送業(同9件)が各9件で最多だった。
 資本金別は1千万円未満が34件(構成比61.8%)で最も多く、形態別では破産が49件(同11.3%増)で約9割(89.0%)を占めた。
 中小・零細事業者が安心して価格転嫁するには、行政の支援が不可欠だ。一方、企業側も独自の生産性向上に向けた動きが欠かせず、資金と営業の多面的な支援が急がれる。

※本調査は、2025年8月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(法的・私的)した企業を集計、分析した。

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