9月5日、(株)ゴルフスタジアム(TSRコード: 296139424、以下GS社、登記上:東京都港区)の債務処理を巡り、大きな動きがあった。
 GS社は、ホームページ制作を巡るトラブルでゴルフのレッスンプロらから破産を申し立てられ、2017年7月に東京地裁から破産開始決定が下りている。

その後の2019年3月、破産廃止決定を受け、2019年9月にレッスンプロの代理人弁護士が東京地裁にGS社の代表ら幹部に対し、損害賠償金などの支払いを求める訴訟を起こしていた。同地裁は2024年3月、代表やその他被告らに5,460万円あまりの支払いを命じた。その後、代表らは控訴したものの、代表については棄却や却下などで判決が確定している。


 GS社を巡っては、レッスンプロらに無料でホームページを制作するかわりに高額のソフトウェアを契約させ、そのリース料金と同額をGS社が広告枠利用料として支払う仕組みが破たんし、社会問題化した。
 当初は、無料でホームページが開設できるため1,000名を超えるレッスンプロが契約した。レッスンプロは利用予定のない高額なソフトウェア契約も、当初はGS社の広告料が振り込まれていた。しかし、GS社から広告料の入金が滞ると状況が一変。リース料金の支払いが困難となったレッスンプロとトラブルに発展した。
 こうしたなか、さくら共同法律事務所の西村國彦弁護士らを中心に、「ゴルフスタジアム被害者を守る会」が組織された。
 リース会社などへの訴訟のほか、GS社へ債権者破産を申し立てるなど、レッスンプロらの被害回復を求める動きが加速していた。

膨らんだ負債と損害賠償

 GS社の破産資料によると、レッスンプロらが債権者として届け出た被害額は34億円を超え、負債総額は約50億円に達する破産事件となった。2019年3月、破産廃止決定を受けた後、守る会弁護団は2019年9月、代表ら経営陣に対し損害賠償金などの支払いを求める訴訟を提起した。
 東京地裁は2024年3月、GS社代表やその他被告らに5,460万円の支払いを命じる判決を下した。

弁護団は、こうした損害賠償金や代表のGS社の金融債権への保証債務などを背景に、GS社代表個人に対して2025年6月30日、水戸地裁へ債権者破産を申し立てていた。

隠匿財産を疑う

 弁護団は、今回の訴訟について「隠匿財産の存在が疑われ、破産手続きを開始して裁判所や破産管財人による調査」を求めていた。そして、2025年9月5日、水戸地裁土浦支部は代表個人の破産開始決定を下した。
 GS社の破産開始決定からすでに8年を経過したが、レッスンプロらの戦いはまだ続いている。
 東京商工リサーチはGS社代表に取材を申し込もうとしたが、連絡が取れなかった。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年9月9日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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