磯のフカセ釣りにおいて、イズスミ(イスズミ)は、「おいしくない」からリリースされる魚の代表。一方で、「寒のイズスミは脂が乗っていておいしい」という声も。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・妹尾隆)
イズスミ(イスズミ)の概要
イズスミはスズキ目イスズミ科の魚で、他にキツ、沖グレ、ババタレなど地域により色々な呼び方があるようです。また体長は70cmほどにもなり、強烈なパワーは尾長グレにも匹敵するのではないかと思われます。グレ釣りで最強のエサ取りですね。

強烈な引きに耐え58cmを手中
この日もいまいち状況がよくなく、グレの姿も小さいのがポツポツと釣れているような状況でした。潮も動いていないためポイントが絞りづらいので、サラシの切れ目よりまだ先に狙いを決め、仕掛けを投入します。
仕掛けは、ウキGTR-00にバランサーを貼り、ウキ止め、ガン玉なしのスルスル仕掛けで、さしエサとウキが横一直線で同時に沈むように設定。ラインも張り気味で仕掛けを入れていきました。

すると数投目でバチバチバチバチッと指が痛いほどのアタリ。重量感のある引きをなんとか耐え、手前まで寄せてきてからもグイグイと足元に突っ込まれなかなか姿が見れません。
ようやく水中に白い魚体が見えたので、チヌかヘダイかなと思ったのですが、それにしては一向に水面を割れません。何とか空気を吸わせてイズスミと確認。しかもデカい。片手にタモを取ってからもまだまだ元気で、底に向かって突っ込んでいきます。
ただ、グレと違い根に向かっていくことないので、サオの弾力で上がってくるのを耐えるだけです。数回の突っ込みを耐えなんとかタモ入れ成功。58cmの迫力ある魚体で見とれてしまいました。
おいしく食べるための下処理
同行の釣友石田さんも興奮気味。その写真を所属しているクラブ仲間に送ったようで、すぐさまこちらに電話がかかってきました。「今の時期、絶対にすき焼きですよ!本当に絶品ですから食べて下さいね!」と。確かに今の時期のイズスミは脂が乗っていて臭みもなくおいしいとはよく聞いていました。それではと持ち帰って食べてみることにしました。
港に上がって下処理をしました。脳絞めしてエラの上部にある動脈を切り、血抜きします。この時、海水を入れたバッカンに放り込むだけではダメ。魚の血はすぐに凝固するので、血管が詰まりキレイに血が抜けません。エラに指を入れて広げながら20秒ほどフリフリしてやります。
そのまま持ち帰り、自宅でホースを使って水圧をかけて残りの血も抜きます。エラと内臓もキレイに取り、真空状態にし冷蔵庫で4日間寝かせたものを友人の営む居酒屋さんに持ち込みました。

ちなみに、同時に持ち込んだサンノジは、3月8日に串本須江で釣ったもの。イズスミと同様血抜き処理し、10日熟成させたものです。

実食
3月18日(水)、釣友8人が集まり、みんな食べたことのないイズスミのすき焼き(南紀方面ではタキタキ鍋というようです)にサンノジ(の10日熟成の造りを賞味しました。
まずサンノジの造りを食べてみました 。「ん? 甘い!」というのがまず出てきた感想です。旨味と甘味が魚の脂と混ざって本当においしい。これがあのサンノジかと思うほどの味でした。これはみんなも食べてビックリしていました。42~43cmの魚でしたが、すぐに完売です。

続いてすき焼き。
少しして魚の身をひっくり返そうとハシで摘まむと、皮が硬い!「これ大丈夫なん?」って声に出してしまうほどでしたが、煮込んでいくにつれ皮目がトロトロに。一方身はしっかりとしていて、身崩れはまったくありません。
そして、食べてみた感想は、「マイウー!」ちょっと古いですが「マイウー!」です。「これが和歌山の人たちが絶賛するイズスミのすき焼きなのか!」、「もっと早く食べたかった!」と、皆口をそろえて言っていました。
「すき焼きは牛肉だろう!魚のすき焼きなんて・・・」と思っていた自分が恥ずかしくなる味でした。イズスミを狙っては釣りませんが、次回からこの時期に釣れたら必ず持ち帰ろうと思いました。

最後に
釣り仲間と釣った魚を食べながら美味しいお酒を飲むのは「釣り師冥利」につきますね最高の時間でした。
これからも釣れた色んな魚、珍しい魚、捨てられている魚をおいしく料理して食べたいを思います。
<妹尾隆/TSURINEWS・WEBライター>