富士川は、長野、山梨、静岡の3県をまたいで流れる流程128平方キロメートル、流域面積3990平方キロメートルの一級河川で、日本三大急流の一つにも数えられる。アユ釣り場としての同河川を紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

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富士川水系概況

南アルプス北部に源を発する釜無川が本流筋で、甲武信ヶ岳や国師ヶ岳などを水源に持つ笛吹川と富士川町で合流。それより下流を富士川と呼ぶ。

ひと昔前は、身延町から南部町にかけての富士川が、大アユの里として多くの釣り人を呼んだが、今はヤマメの里の印象が強い。釜無川や笛吹川では、今でも大アユ河川としての人気が高い。

釜無川

釜無川は、釜(淵)のない川が由来とされる。砂が多く流れるため、堆積して淵ができない。そのため、ダム建設に適さず、流域にはない。そのおかげで、清き水が美味しいアユを育む。ただし、出水後は魚が砂を噛んでいるため食味が落ちる。浅場を釣る際にも、自ら巻き上げた砂で台なしになる。友舟を引かず、自分より上流に係留することをお勧めする。

主たる釣り場は、釜無川橋から船山橋にかけての橋の周辺と支流の大武川、小武川だろう。最近の放流の傾向として、上流部に集中して放流している。そのため、解禁前に大水が出たときには魚は全川に散り、そうでない場合は上流部にとどまる。

解禁直後に釣行するなら、上流域の釜無川橋周辺か漁協のある穴山橋下流がいい。終期に大型を狙うなら桐沢橋、武田橋、船山橋の周辺。

【2020】アユのトモ釣りオススメ河川:富士川水系 大アユ狙いが可能
入戸野橋上流(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

8月になると25cm超級が釣れ始め、9月に入れば28~29cmまで成長。釜無川橋から入戸野橋にかけては、大石が累々とする渓流相で、瀬、早瀬、トロが連続する。砂地底は多いが、石が点在する流れであればアユは着いている。このエリアで大型が釣れる年は、大石に擦れてラインブレイクは必至。なので、太めのメタルラインをお勧めする。

桐沢橋から船山橋は、少し石が小さくなるが、頭大からひと抱えほどの石が点在する里川となる。勾配が緩やかになるが、水量があり、押しの強い流れが続く。瀬とトロが繰り返される川相で、瀬と瀬の間の距離が長いので、足で稼ぐことになる。

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桐沢橋上流(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

桐沢橋上下流、武田橋上流がよく、トロ上下流の瀬肩、瀬尻を効率良く釣って行くと釣果が伸びる。船山橋から塩川合流点までは数こそ出ないが、終期になると27~29cmが釣れる。

水深のある早瀬を中心に探っていくと面白い。

塩川

塩川は、奥秩父の金峰山に端を発し、韮崎市内では2.5kmの間隔で釜無川と並行して南流する。源流が異なるので、釜無川が濁っていても、同川は澄んでいることがある。同じ峡北漁協の管理なので、1つの入漁券を利用できる。流幅10mほどの河川で、規模が小さく流速も強くない。流れに立ち込むことなく釣りが可能なので、初心者でも安心。

釣り場としては、中央道から釜無川との合流点まで。中央道上流でも釣りは可能だが、木々が川にかぶさり邪魔で釣りづらい。入川点は、三村橋、駒井橋、鷹之巣橋、穂坂橋、更科橋、塩川橋の各橋の前後。川相は大石の点在する渓流相で、平水時は平瀬やチャラ瀬、場所によっては早瀬や段々瀬もある。

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鷹ノ巣橋下流(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

お勧めは、三村橋上流と鷹ノ巣橋から穂坂橋にかけてのエリアだろうか。水深のある平瀬や早瀬があり、川幅も広いので釣りやすい。入川口は少し分かりにくいが、橋近くに人がかき分けた道ができているので、少し探せばすぐに見つかるはずだ。

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塩川最下流域(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

終期には24~25cmも出るので、釜無川が濁りで入川できないときに回るのも一手だ。そのようなときには、釜無川から差し上るアユもいるので、更科橋、塩川橋がお勧め。

▼この釣り場について
釜無川&塩川
管轄:峡北漁協

笛吹川

笛吹川は、峡東漁協が管理している。流域には果樹園が広がり、多くの温泉がある。同川の難点は、市街地を流下するため、駐車スペースが少ないこと。川沿いの道が狭いので、初めて釣行する人は、必ずオトリ店で駐車場所を確認すること。

トモ釣りのエリアとしては、山梨市内の岩手橋から笛吹市内の蛍見橋にかけての約12km区間。瀬とトロが断続する流れで、大石が多くポイントが分かりやすい河川である。放流は全域に分散して行われ、初期はどこに入っても釣果は安定している。

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桑戸橋上流(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

お勧めなのは、亀甲橋下流、万力大橋下流、神徳橋上流、桑戸橋上下流だろうか。平瀬が多い川だが、この場所にはちょっとした荒瀬や急瀬があるので、良型が着いている。また、三川合流の笛吹橋上流も人気のポイントだ。

このほか、支流の重川、日川、金川も面白い。

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神徳橋下流(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

終期に大アユ狙いで訪れるなら、笛吹橋上流から鵜飼橋下流までの区間がいい。落ちアユが着きやすい、水深のある平瀬が続く。それより下流の石和橋、万年橋辺りまで来ると、トロ場が多くなる。

▼この釣り場について
笛吹川
管轄:峡東漁協
TEL:0553-22-1023

<週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース関東版』2020年5月29日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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