陸っぱり用のライトなタックルでも楽しめるのが、ボートキス(シロギス)釣り。手軽で初心者にも楽しめる釣りだ。

今回は、同釣りで釣果アップを目指すための3つの誘い方を紹介してみたい。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

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ボートキス釣りの魅力

ボートからのキス釣りは手こぎや2馬力船外機付き、または免許が必要なエンジン付きボート、さらには船長が操船する小型ボートからの船釣りスタイルなど場所によって様々な形態がある。

特にこれからの夏場は水深の浅いエリアで、軽いオモリを使ってのライトな釣りがオススメ。軽量なタックルで、オモリも軽くすることでキスに警戒心を抱かせずに、食わせることができる。また、軟らかい竿を使用することで、キスのアタリ、引きは強烈そのものに感じることができる。

【2020】ボートキス釣り釣果アップ講座 覚えておきたい3つの誘い方
キスの爽快な引きがたまらない(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ボートキス釣りのタックル

ボートからのキス釣りは、エリアの水深、つまりは使用するオモリの重さなどによって竿の調子がかわる。水深が5mまでなどの超浅場もあれば、40m近い深場もある。超浅場で3号程度のまでのオモリを使用するなら、ロックフィッシュ用やティップラン用などの感度を重視した竿を使用する。逆に30号を超すようなオモリを使用するなら、船釣り用の竿などが必要だ。

手軽な湾内でのボートキス釣りの場合、その中間サイズである5~15号程度のオモリを使用する場面も多い。そんなときには硬めのティップランロッドやライトアクションのシーバスロッド、ハードロックフィッシュ用などを使うこともある。

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筆者の愛用タックルセット(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

タックルとしてはスピニングでもベイトでもかまわないが、潮止まりなど竿下で食いが悪くなった場合に、少し投げて引きずる場面を想定するならスピニングタックルがオススメ。ただし、オモリが30号を超すとスピニングだと重量感がありすぎるので、ベイトタックルの方が楽ちんである。

ボートキス釣りの仕掛け

ちなみに筆者の愛用しているボートキス釣りのタックルは竿がティップラン用7.8ft、リールはスピニング3000番に道糸がPEライン0.8号、リーダーは3号を1mほど。テンビンは半月型の半遊動式テンビンを多用する。

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テンビンとオモリ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

仕掛けは、ほとんどが自作でハリは競技用キスバリ4~7号で、ハリス1~1.2号の2本バリを基本として、全長は約1m。ハリの形状と大きさをかえた組み合わせで数種類の仕掛けを事前に作って持参している。オモリは3~15号を用意している。

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ボートキスタックル例(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

ボートからの釣りの特徴

ボート釣りの場合、キスの潜むエリアを効率よく探るために、風が強くボートが流され過ぎる時以外は、アンカーは入れずにボートを流しながら釣ることが多い。船長付きの場合は、特に流し釣りがメインとなる。

陸っぱりとの違いは、ボートが動くこと。つまりボートが動くことによって仕掛けは勝手に動くという点だ。

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陸っぱりの釣り風景(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

釣果アップのための基礎知識

ボート=自分が動くという点を考慮した上で、仕掛けを操作することを前提に、キス釣りに有効な誘い方を紹介していきたい。

キスの食いが非常に良く、ボートの流れも適度で、ジッとしているだけでいくらでもキスが食ってくる時には、難しく考えることはない。以下に紹介するのはブルッとキスのアタリが出かけるのにハリ掛かりしないときや、食いそのものが渋い時に試していただきたい方法だ。

仕掛けの動く速度を常にイメージ

陸っぱりなら、仕掛けを引きずる速度は自分の位置が動かないのでイメージしやすいが、ボートに乗っているとその動きはなかなか把握しにくいものである。自分がどの程度の速度で仕掛けを引きずっているのかを把握しにくい。

【2020】ボートキス釣り釣果アップ講座 覚えておきたい3つの誘い方
ジッと持っていても仕掛けは動く(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

キスの反応があるのに掛からない時、以外に思ったよりも速く仕掛けが動いている(ボートが速く流されている)場合も多い。こんな時、常に確かめておきたい動作がある。それが「仕掛けの止め」と「ボートの流れる速度の把握」である。

ボートの速度確認法

ボートの進行方向とは逆の方向(後方)に向いて仕掛けを投入し、仕掛けが着底した後、やや身体の後方まで竿先を持っていき、着底を確かめる。そこから道糸を張る、張らずの状態を保つようにする。

ボートが流れている分、そのままだとオモリの重さが竿先に乗ってくるので、糸は張っているがオモリの重さを感じない程度のテンションを保つため、ボートが流れる速度に合わせて穂先で送っていく必要がある。そのテンションをキープした状態で、送っていく速度がボートの流れる速度である。

頻繁に速度を確かめる

流しのたび、または流しの途中でもその速さはかわるので、1回の投入の中で、頻繁にボートの流れる速度をイメージしておくことが重要だ。

しっかりと止めたい時に仕掛けを止める、または引きずる速度をボートの流れる速度を考慮して調整できる。これがボートキス釣りにおける、誘いの第一歩。つまりは準備編である。

1.ストップ&ゴーの誘い

キスの活性がまずまずで、アタリが多く比較的フッキングもする時に、人よりも数を伸ばすのに使う誘いである。基本動作としては、「15cm引きずって3秒止め」といった感じで、ショートピッチで止めては引きずるのを繰り返す。ただし、仕掛けを止める際にはボートの流れを考慮して、しっかりと張ったまま穂先で付いていき仕掛けを止めること。

引きずる速さを認識

そして、引きずる際には、その速度に注意したい。ボートの流れる速度を考慮しながら、15cmの間隔をゆっくり目に引きずるのか、速く引きずるのかを認識しておく。キスがアタって、ヒットに至った速度を覚えておき、パターン化することで連続ヒットに持ち込めるハズ。

2.小突きの誘い

これはキスの活性も高いが、エサ取りやゲストも多い場面で多用する。兵庫・姫路沖の家島諸島周辺の船釣りなどでは定番の釣り方だが、状況によっては他のエリアでもかなり有効な釣りとなる。

釣り方としてはオモリで底を小突く(たたく)ようなイメージで、竿先を揺らし続ける。仕掛けの動きとしては、エサが小さく中層でストップ&ゴーを繰り返すイメージ。注意点としては、竿を揺らすのに気を取られると、つい仕掛けが浮いてしまう点。

慣れれば前アタリも分かる

アタリは揺らしている間に、突然、ガガガンと強烈な引きが伝わってくる。実はその前に、小さく食いアタリの反応が出ていて、慣れてくると、前アタリの瞬間に少し小突くのを止めて「食わせの間」を作ってやると食いが良くなる。

キスの活性がそこまで高くない時には、有効ではないので試してみて反応がなければすぐに釣り方をかえた方が良い。

3.超スローな誘い

キスの警戒心が高い時、食いが渋い時に用いるのがかなりスローな釣り。仕掛けを止める時間を長くすることでキスにしっかりと見せて釣る。大型のキスを選んで釣る時にも使う釣り方だ。

ボートが速く流される時がやや難しくなるが、この時にはリールから糸を出す方が多くなるので、筆者の場合はベイルを起こしてフリーにしておき、指でスプールを押さえて糸の出を調整する。

竿で引きずらない

ボートが速く流れるので、仕掛けを動かす(引きずる)時は、指で糸の出を一瞬止めてやるだけでOKだ。この釣りのメリットとしては、ボートが速く流れている時に、周囲がボートの流れに任せて速い釣りをしてしまいがちで、その中で仕掛けを止める時間を長く取ることで、1人勝ちすることもある点。

ただし、あまり糸を出しすぎると仕掛けが遠くに行き過ぎるので、適度に巻き上げては竿下へ落とし直すと良い。

アタリがあったら指でスプールを押さえたままアワせ、その後にベールを返して巻き取りの体勢に入る。

全ての基本は認識すること

ボートキス釣りの誘いは、今回紹介した以外にも数多くのパターンがある。今回紹介したのは、比較的極端で分かりやすいパターンだ。

それぞれの釣りで、止める時間、引きずる速度、距離などをかえていくことで、キス釣りの幅が広がっていくのだが、その基本となるのはあくまでも「自分の仕掛けがどのように動いているかを常に認識しておく」ことである。それさえ、しっかりと心がければいろいろな釣り方が見えてくるハズだ。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

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