釣りは朝が早いのでイヤ…なんて人もいるでしょう。そんな人には、夕方から船に乗って涼しい時間帯狙えるケンサキイカ釣りがオススメ。

日焼け、早起きと無縁の手軽な釣りです。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

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関西のケンサキイカ

ケンサキイカはご存じの人も多いと思いますが、アオリイカと並んで美味で知られる高級イカの代表種。関西圏でもエリアによって呼び名がかわり、京都府下でシロイカ、福井県下でマイカ、和歌山、三重県ではアカイカと呼ばれる。呼び名が多いのは人気の証ともいえます。

関西のケンサキイカ釣りはエリアによって少しずつシーズンがズレる傾向にあります。その年にもよりますが、京都や福井県など日本海方面では、例年5月初旬から、和歌山沿岸では6月頃に南紀方面から釣れ出し、徐々に釣れる範囲は北へ広がります。

和歌山方面ではシーズンは9月頃までとやや短く、日本海方面は秋から晩秋、そして初冬までとやや長く楽しめるのですが、初冬になると日本海方面は季節風が吹き始め、荒れる日が多くなるため思ったように出船できなくなります。

半夜便でゆったり釣りができる

時期にもよりますが、ケンサキイカは夜の釣りモノです。ケンサキイカは夜行性で日が暮れる頃になると、海底付近からエサを求めて広範囲に動き出します。そのため、船上で明かりを照らして小魚を集め、その小魚を狙って寄ってきたケンサキイカを狙うのが普通です。

時間帯としては、日暮れからの時合いを狙い、深夜まではせずに帰ってくる「半夜便」や、深夜の時間帯を狙う「深夜便」、一晩中釣りをする「通し便」などがありますが、さすがに一晩中釣りをしていると帰りも大変なので、オススメは半夜便です。

日本海方面、特に福井県下では、上記の3便構成で出船する船も多いですが、京都府や和歌山県下では半夜便が圧倒的に多いようです。

オススメの釣り方

ケンサキイカ釣りでオススメなのが「イカメタル」。イカメタルは片手で扱える軽い竿に手巻きのリール、オモリを兼ねた鉛スッテ(スッテの中に鉛が仕込んであります)と、エダの浮きスッテが一つか二つと言ったごくライトな釣り具で狙うため、女性や子供さんにも手軽に挑戦できるようになりました。

【関西2020】ケンサキイカ半夜船のススメ 早起きが苦手な人にオススメ
仕掛けアイテムは浮きスッテと鉛スッテ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカメタルの魅力

ライトな扱いやすい道具類を使って釣るイカメタルの最大の魅力は、自分で誘い、小さく繊細なアタリを取っていくところにあります。竿などが軽いため疲れも少なくイカがスッテを抱いてくるときの小さなアタリに集中できます。さらに、アワせた直後の、ズーンと言う突然の重みは、まさに「してやったり」の気分になり、「釣れた」より「釣った」感が強いのも醍醐味でしょう。

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してやったり…(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

関西のフィールド

関西でイカメタルができるフィールドは太平洋側では和歌山、三重県下、日本海側では京都府下や福井県下が有名です。いわば、大阪湾、瀬戸内以外では毎年楽しまれている釣りです。

年によっては大阪湾内でも回遊があり、明石海峡周辺などでイカメタルが楽しめるときがありますが、ケンサキイカが大阪湾内に回遊してきた年限定となります。行きやすい方面(県レベルでもOK)で、「イカメタル」とネット検索をすれば、釣りをさせてくれる船宿がズラリと出てきます。それほど、今ではメジャーな人気の釣りといえます。

イカメタルのタックル

関西では多くの船宿でタックルのレンタルがあるので、初心者でも安心。まずは釣具を購入せずに、船でレンタルして釣りデビューしちゃいましょう。

イカメタルは小さなアタリを取っていく繊細さが楽しい釣りなので、軽量な竿がオススメです。専用の竿も数千円から販売されていますので、購入の際は予算と相談で決定すれば良いでしょう。できれば細身で、軽い竿が疲れも少なく扱いやすいです。

リールは下の写真のような「両軸タイプ」が主流で、PEライン0.6~0.8号くらいの細い糸を150~200m巻いておきます。その先にはフロロカーボン製の「リーダー」と呼ばれる先糸を1~2m結びます。

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両軸リールが扱いやすい(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカメタルの仕掛け

イカメタル用の仕掛けは年々進化していますが、基本となるスタイルと言えば、小浜リグと呼ばれる仕掛けタイプです。これは鉛を仕込んだスッテを下に付け、少し上に浮きスッテや小さなエギ(ともにドロッパーと呼びます)をエダバリとして出した2本バリ、3本バリの仕掛けです。スッテがオモリも兼ねるので、非常にシンプルです。

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イカメタル仕掛け例(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

鉛スッテ

鉛を仕込んだスッテなので「鉛スッテ」や「メタルスッテ」と呼ばれます。重さやカラー、形状などは様々で毎年、新製品が発売されて種類が増えています。重要なのは重さとカラーです。重さは3号程度の非常に軽いものから、25号を超すタイプまであり、潮の速さや狙う水深などで交換していきます。

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鉛スッテいろいろ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

揃えておくと良い目安としては、

和歌山方面:8~12号
日本海方面:10~20号

といったところでしょうか。その辺りもより具体的に知るなら、問い合わせの際に船長に聞いてみると良いでしょう。

カラーの定番は白、緑、赤です。これに黄色なども加えて4色の組み合わせが多いようです。1本のスッテは単色ではなく、白のボディに赤いはちまきをしたようなタイプや、スッテの頭部(糸を結ぶ部分)だけが色違いになっているタイプがなど組み合わせは数多くあります。

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鉛スッテ、ドロッパーも数多い(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ドロッパー

ドロッパーは浮きスッテやアオリイカを釣るエギなどを利用します。スッテは沈むタイプよりも、サスペンド(浮きも沈みもしない浮遊するくらい)タイプなどが多いようです。エギは小さなオモリが付いていて、ゆっくりと沈みます。

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形状もいろいろあるドロッパー(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ドロッパーのカラーも様々です、こちらは鉛スッテとはまた違ったカラーも数多く発売されています。エリアによってやや流行のようなカラーがありますので、行く方面の釣り具ショップや、船長に確認するのが手っ取り早いです。

鉛スッテ、ドロッパーともに、意識して持っておきたいのは夜光カラーでしょう。これは上記の白、緑、赤などのカラーでも、暗い中でそれ自体が光るタイプです。明るい場所で見てみるとほとんど分からないので、収納の際には分けておくことをオススメします。

イカメタルの釣り方

イカメタルの釣り方は基本としてはどのエリアも同じですが、派手に仕掛けを動かした方が良いエリア(状況にもよりますが…)や、静かに釣って小さなアタリを取ることに集中した方が良いときなどがあります。いくつかの基本の釣り方をマスターして組み合わせるなどの工夫をするのも楽しいものです。

イカメタルを釣る際の船は、船を固定せずに流しながら釣る方法と、イカリを打って船を固定する釣りの2種類があります。大きな違いは仕掛けに使う鉛スッテの号数です。事前に船宿に聞いておきましょう。

イカメタルの誘い

イカメタルで使用するイカを乗せるアイテムである、鉛スッテやドロッパーはそのままではエサではありません。なので、イカに抱かせるには、エサに見せて間違ってでも掴んでくれるようにアピールし、イカに興味を持たせる必要があります。それが誘いやアクションと呼ばれる、スッテなどの動きです。

イカメタルの誘い方は以下の通り。

1.小さく竿を上下させてスッテを揺らす
2.大きく竿いっぱいまで上げて下ろす
3.スッテを動かさずにジッと待つ
4.リールで巻き上げながら同時に竿で揺らす

基本は上記4つの動きの組み合わせと考えると良いでしょう。例えば、小さく竿を揺すってスッテを小刻みに動かしたら、次の瞬間に大きく竿を上げてから下げ、そこでジッとアタリが出るのを待つ…と言った感じです。

イカが掛かったら

イカが掛かれば糸を緩めることなく、一定の速度で巻き上げてそのまま船上に抜き上げます。このとき、イカが墨や潮を吐き出すのでソッと扱ってあげてください。

多くの場合、釣り座の足元にザルやコンテナなどイカを入れて置く容器が用意されていますので、そこにイカを入れていきます。ある程度、集まればクーラーボックスへ収納します。

イカ釣りでの便利アイテム

ケンサキイカ釣りにおいて、持参しておいた方が良い便利なアイテムがいくつかありますので紹介しましょう。

ストップバッグ

100均ショップでも売られている、ジッパー付きのビニール袋(ストックバッグ)です。簡易なもので構わないので、口を閉じることができるタイプなら、イカを入れてから口を閉じることで墨がクーラー内に出てきて汚れるのを防ぎます。数多く釣れた場合にはたとえば、10パイずつ袋に入れていくことで釣果を簡単に確認できます。また、小分けで持ちかえることで、袋単位でのお裾分けもできるので便利です。

【関西2020】ケンサキイカ半夜船のススメ 早起きが苦手な人にオススメ
ジップバッグは必須(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ザル型トレイ

食器を干して乾燥させるキッチン用品も便利です。筆者の場合は、クーラーボックスにピッタリ合うサイズのトレイがあり、さらに重ねておけるのでイカを圧迫せずに持ち帰っています。

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トレイも便利(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカ釣りでの注意点

イカは海中から抜き上げると潮や墨を吐くことがよくあります。ウエアに墨がかかるとなかなか取れないので、汚れてもよい服装で出かけましょう。何度もイカ釣りに行くなら、イカ釣り用の汚れても良いウエアを決めておくのも手です。

イカはゲソの付け根に口があり、鋭いくちばしのようなものを隠し持っています。これで、捕まえた魚の身をかじり取るので、不用意に指などを持っていくと、かまれて血まみれになることもあります。できれば生きているイカは触らないようにスッテで持ち、容器の上でスッテをひっくり返すようにするとポロリと落ちます。

イカの半夜船で釣りデビューしよう

イカ釣りは大型魚のようにヒットしてから強烈な引きが襲ってくることはなく、グイグイと心地よい引きで楽しませてくれます。そのため、力のない女性や子供さんにも楽しめるほか、釣りが初めての人にも非常に取っつきやすい海のレジャーです。

【関西2020】ケンサキイカ半夜船のススメ 早起きが苦手な人にオススメ
手軽に高級イカが釣れる(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

そして、真夏の直射日光を避け、夕涼みがてら楽しめる遊びでもあります。この夏はぜひ、イカメタルで船釣りでデビューしてみてください。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

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