アウトドアに適した秋には、お手軽・釣って良し・食べて良しの3拍子そろったウタセ五目がオススメ。釣り方について詳しく紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

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ウタセ五目の魅力

朝晩に秋の訪れを感じるころ、海の中ではひと足先に季節が進んでおり、越冬に向けてさまざまな高級魚が荒食いを始める。多彩な価値あるターゲットを、近場からライトタックルで狙えるのがウタセ五目の魅力。

【東海2020】高級魚が手軽に狙える『ウタセ五目』 入門好機到来
ターゲットは小ダイをメインに多魚種にわたる(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

特別な技術は必要なく、初心者でも十分楽しむことができる。それゆえ、初めて船釣りをする人に私がお勧めするのがウタセ五目でもある。

名称の由来&エサ

伊勢湾周辺で獲れる、この地方でウタセエビと呼ばれるエビを使用する。このウタセエビは多魚種が好む万能エサであるため、小ダイ(マダイの小型)とヘダイを中心にカワハギ、イネゴチ、マゴチ、サンバソウ(イシダイの幼魚)、カサゴ、メバル、アジ、ベラ、トラギス、ホウボウ、ハマチ、ヒラメなどさまざまな魚が釣れる。

これは多くの魚が荒食いをする秋という季節も関係している。一魚種を一目(いちもく)と数えるので、「ウタセエビを使って五目(五魚種)以上狙える釣り」を短縮してウタセ五目という。状況によっては、五目どころか七目、八目と多種釣れることもあり、何が釣れてくるか分からないワクワク感があるのだ。時には仕立て船で狙うような大物が釣れることもある。

余談であるが、ゴカイなどの虫エサや、においがきついオキアミのコマセが苦手な人でも、エビは大丈夫という人が少なからずいるので、装餌(そうじ)の面からも親しみやすいと思う。

ウタセ五目のシーズン

その年の状況によって変化するが、だいたい9月初旬から11月末までの約3カ月間が基本。人間にとっても快適な季節だ。メインターゲットである小ダイにおいては、シーズン当初は小型の数釣りが楽しめ、秋が深まるに連れて数は減るものの型が良くなっていく。

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カワハギも標的だ(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

晩秋にはカサゴも増えてきて、端境期を経ながら冬カサゴへバトンタッチしていく。

ウタセ五目のタックル

ウタセ五目のタックルについて紹介しよう。

サオ

レンタルでも可能だが、頑丈さを優先して硬いので、小さなアタリをキャッチしたり、ハリに乗せたりするためにできればマイロッドがあると望ましい。長さは2.1~2.4mがベター。これくらいが波を吸収でき、船上での取り回しが楽である。好みで短い1.8mや長い2.7mを使う釣り人もいる。調子は先調子が良い。7対3くらいか。

好みが分かれるのはオモリ負荷。使用するオモリは60号なので、船ザオの販売仕様としては、50号か80号のオモリ負荷になる。どの釣具店でも購入の際は、穂先に60号のオモリをつけてロッドワークの感覚を試行できるので、必ず手にとって試してみよう。迷ったら50号負荷が無難。

ウタセ五目のサオはそのまま冬のカサゴ釣りに使用できる。私はウタセ五目もカサゴも同じサオを使っている。

イトとリール

イトは水切れ・感度・強度からPEライン2号がベスト。師崎に近い明神沖や中ノ島、伊良湖岬周辺の三ツ石は水深15m前後、神島の西にある西土合だと45m前後あるが、いずれにしてもリールのイト巻き量は気にしなくてもいい浅いポイントだ。

むしろ冬場のカサゴ釣りとの併用を考えるなら、水深と潮流から時には90mくらいまでイトが出ていくので、倍くらいの200mは巻いておくとどちらの釣りにも使えて効率的である。

ウタセ五目に限るなら浅場の釣りになるので、手動リールで問題ない。冬カサゴも視野に入れるなら電動がお勧め。その場合の機能としては1kg負荷時の常用巻き上げ速度が150m/分はあると良い。

仕掛け

ウタセ五目の仕掛けについて解説しよう。

支給品の場合

愛知県・南知多町師崎港発のウタセ五目の支給品は、ミキイト4号、枝間70cm、ハリス2号40cm、オキアミ専用バリ1号、3本バリの胴つき仕掛けが基本だ。ただし、伊良湖岬周辺の三ツ石でサンバソウも狙う場合、ハリス2.5号のオキアミ専用バリ3号と太くなることもある。

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支給品の仕掛けは優秀でよく釣れる(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

この支給品は優秀で、よく釣れる。特に枝間の長さ70cmは最高であり、何パターンか長さを変えていくつも試行したが、これに勝るものはなかった。また、枝の本数も4本を何回か試してみたものの、3本と釣果は変わらない上にオマツリや仕掛け絡みが増えるなど、マイナス面が多くなったので、3本がベストとの結論に至っている。

自作の場合

さらに釣れる工夫をしたくなるのが釣り人のサガで、たどり着いたのが下の仕掛け図だ。枝間の長さは支給品と同じにし、ハリスを長くするとともにミキイトとハリスの質を上げ、ハリの大きさをひと回り小さくしたことがポイントだ。

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自作仕掛け図(作図:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

さらに海底に近いほど小ダイのヒット率が高いことと、カサゴなど根魚も拾いやすくすることを考えて、オモリと最下バリの距離は最短にしてある。ミキイトとハリスの質を上げると、後述する「たるませ釣り」でウタセエビの動きがより自然になって特に効果を発揮する。

ハリも数種類試したが、小さくてハリ掛かりが良く、かつサンバソウやハマチなどの大物にも対応できる強度のバランスから太軸の伊勢尼5号が最も良かった。

ウタセエビの付け方

ウタセエビの扱い方を解説しよう。

できるだけ小さなウタセエビを使う

まず、最初に声を大にして伝えたいことがある。できるだけ小さなウタセエビを使うことだ。これは本当に重要。小さいエサはハリ掛かりが抜群だ。大きいと一部だけかじられて終わりである。大きなウタセエビは中乗りさんへ生きたまま返せばいい。

鼻掛けではなく尾掛けにする

大物を狙うウタセマダイと乗合船のウタセ五目は、同じウタセエビを使用するが違う釣りだ。大きいウタセエビの口の辺りから脳ミソを避けてツノでハリ先を止める鼻掛けは、ウタセマダイの釣り方である。

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小さなものを選び尾掛けにする(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

ウタセ五目でそれをやると尻尾だけかじられてしまう。できるだけ小さなエビを選び、尾バネを切ってそこからハリを入れてウタセエビがまっすぐになるようにする。

活性の保持

エアポンプを持参しよう。エアポンプのあるなしでは、ウタセエビの動きが相当違う。長時間活性を維持できるのだ。エビが元気にピン!と跳ねた瞬間、たまらず魚は反応してしまうだろう。

ここで注意したいのはエアポンプを海水から守ることだ。塩は機器にとって大敵である。私は防水機能を有しているエアポンプを使っているが、不意に海水を浴びることもあるので、ビニール袋(百均で売っているチャックで閉められるもの)に入れてホースだけ出して使用している。これで直接の塩害をかなり防ぐことができる。

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エアポンプで活性を保持(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

また、海水をこまめに入れ換えることも重要だ。ウタセエビが配られる洗面器は直射日光によって水温が上昇するので、新鮮な海水にこまめに交換する。酸素も供給できる。

ウタセ五目の釣り方

誘い方は2パターンある。隣とオマツリしない範囲で仕掛けをふわりとたるませる「たるませ釣り」と、海底のへこみや穴にオモリを置いていく「探り釣り」だ。その日のヒットパターンに合わせることが釣果アップにつながる。

1.たるませ釣り

オモリの着底後、隣とオマツリしない範囲で、ふわりと仕掛けをたるませてウタセエビを海中に漂わせながらしばらく待つ。アタリがなければイトフケをゆっくり巻き取っていく。再度オモリを置き直すようなイメージで、少しズラして同じ動作を行う。

2.探り釣り

カサゴ釣りの上下の探り釣りと似ているが、ドンドンと勢いよくオモリで海底をたたいて探ると魚がおびえてしまうので、オモリを置くような優しい操作が求められる。リールをフリーにしたままスプールを親指で押さえて、サオを静かに上下させてオモリを置くように探っていく。

オモリの着底後、枝間の70cmくらいだけ仕掛けを緩める。これによって仕掛けのテンションを解放し、食い込みを向上させるとともに、下から2番目のハリも海底付近を自然に漂わせることができ、ヒット率が上がる。

時々オモリが着底しない所があるので、そこを逃さずに親指を離して穴にオモリを落とす。海底の穴ぼこを探りつつ、最下バリの枝間70cmだけ仕掛けを緩める「縦の探り+少しふわり」のイメージである。

3分たったらエサを点検する

アタリがなくても3分に一度は仕掛けを上げてエサを点検する。「何も感じなかったのにエサがなくなっている」なんてことはしょっちゅうある。エサが付いていなければ、魚は釣れない。面倒くさがらずに、こまめな点検を頑張ってほしい。

大物狙いの応用

経験上、型の良い中型マダイは、海底よりも少し上層にいると感じている。サンバソウも同じイメージだ。そこで私は、最上のハリに中くらいのエビを付けることがある。一番上が中エビで、真ん中と最下が小エビという形だ。

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マゴチが登場(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

前述した通りウタセ五目では「できるだけ小さなエビを使う」ことが大切なので、基本は小エビを使うが、周囲で良型が釣れるモードに入ったときや、中サイズのエビが余ってしまう場合などにおいて用いている。

自分だけ釣れないときのチェック

自然が相手なので、どうしても釣れない時間帯はある。ここでは「周りは釣れているのになぜ自分だけ釣れないのだろう」というときにチェックする項目を挙げる。

サオを上下に動かし過ぎていないか

誘いが頻繁過ぎではいないか。オモリでドンドン底をたたくと魚がおびえてしまう。ウタセエビをきれいな姿勢で自然に泳がせることが重要なので、誘うよりも待つ時間を作ることによってエビの自然な遊泳とそれに食いつくタイミングが一致する。「食わせる間を作る」のだ。アタリがあってもアワせずに食い込ませ、向こうアワセでハリに乗るまで待とう。

こまめにエサをチェックしているか

面倒くさいので、つい怠りがちになってしまうが、目安としてアタリがなくても3分に一度はチェックする。

仕掛けがヨレたりねじれたりしていないか

ミキイトや枝スがオマツリや根掛かりなどで、ヨレたりねじれたりすると食いが落ちる。特にハリスには留意が必要。ヨレやねじれがあれば、ハリスを交換するか仕掛けごと替えてしまう。

死にかけた白いエビを付けていないか

エビは活性が落ちてくると白くなってくる。それを魚は食わない。元気の良い、透明感の高いエビを使う。

ウタセ五目に挑戦してみよう

ウタセ五目は初心者やお子さんでも十分楽しめる上、小ダイをはじめとして高級魚が釣れて喜びも大きい。魚種も多様で、時にはタモが必要なくらいの大物が顔を見せる。何が釣れるか分からない楽しさがある。レジャーに適した季節、家族や友人を誘って秋の海を満喫していただきたい。

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クロダイもヒットする(提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)

<週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2020年9月25日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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