秋めいてきた9月18日、大分県何部の深島へグレを狙って釣行。朝イチは大型青物の襲来でどうにもならなかったが、潮がかわって良型グレが乱舞した釣行だった。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・誠太郎)
深島へ磯フカセ釣行
台風9号、10号が通過した九州の大分県。この台風が今までどっかり居座っていた真夏を蹴散らし、大分県下は一気に初秋モードに切りかわった。以前から職場の磯釣り初心者とかわしていた「季節が良くなったら必ず磯釣りに行こう」の約束を果たすのには、絶好のチャンス。
そこで、9月18日、大分県最南端の深島に4人の釣り友を伴って出撃。アドレナリン全開の一日を過ごしてきた。
早朝は上着1枚羽織らないと少し肌寒く感じる朝だ。我々は朝6時出港の深島への瀬渡し船「正福丸」の船上の人となっていた。事前情報によると、かなりウネリが入っていて、深島南側の各A級瀬は上礁不能。一方、全くウネリの影響を受けない、深島の北側のポイントはどこも上礁可能である。
超A級磯へ渡礁
深島北側の各ポイントは尾長グレの期待は薄く口太グレ主体となるが、釣果は確実だ。初心者もいるので、とにかく釣れてくれればいいか…と、早くも5人の釣り人を3人と2人に分け、それぞれどのポイントに上がるか考えていた時、「誠太郎さん、ツバクロに上がってください」と、わが耳を疑う声。ツバクロと言えば深島の中でも「超」が付くほどのA級瀬である。

大きな岩が海面から飛び出したような釣り場で、確かに北向きに釣り座を取れば、南西側からのウネリは辛うじてかわせる。小雨の降る天候、シルバーウィーク直前とあってか釣り人も少ない。
青物の群れが襲来
今回上がったツバクロは、単なる海面に飛び出たハエに過ぎず、大きなウネリが入ると反対側まで波が回り込んで足元を洗う。ツバクロの本命ポイントは3人が限界であり、ウネリが回り込んでくる可能性が高い釣り座は私が入り、安全な中央部、右側には磯釣り初心者2人が釣り座を構えた。
ウネリの状況や、まきエサに寄る魚の観察するため、3人とも最初は釣り座に立たず、しばらくまきエサを打って海の状況を観察する。しばらくすると2ヒロくらいのタナで、グレがエサを拾っているのが観察できた。「今日は行ける!」と確信した直後、我が目を疑う信じられない光景が…!
まきエサに群がる小魚を狙い、80cmくらいの青物が突入してくるではないか。それも2、3尾ではなく、20~30尾もの数だ。さすが「最後の楽園」とまで言われる深島。あらためてポテンシャルの高さを実感したのであった。
強烈な青物の洗礼
回り込んでくるウネリによる波に注意しながら釣り開始。2ヒロまで浮き上がってくるグレは確認できたものの、今一つタナが判然としないので、私は浮力00号のウキにG4のオモリをハリのすぐ上に打ち、全遊動の沈ませ釣りの仕掛け、他の2人は浮力のあるウキを固定し、タナ2ヒロで挑んでみることにした。
私は、基本に徹してまきエサを打ち、そこに仕掛けを入れ、その周辺部に追いのまきエサを…のつもりであったが、それどころではなかった。仕掛けが着水したとたん、一気に竿を持つ左腕が完全に伸びきってしまう、竿引きの強烈な大アタリ。80cm前後の青物だ。

当然、完全に後手に回ってしまいラインブレイク。二度目は何とか魚を止めたが、後半に魚が信じられないくらいの馬力を出し、ハエを回り込んで道糸を100mくらい失ってしまった。他の友人も同様の暴力的なアタリを体験し、3人で7、8個のウキをロスト。開始早々から完全な消耗戦に突入してしまった。

魚が怖い?
当日は事前情報から、北向きの瀬に上礁して口太グレ狙いのつもりで準備したタックルだったため、このツバクロでは非常に心細い。仕掛けを入れると高確率で青物が食らいついてくる。それも、ほぼ取れないサイズの大型青物ばかりだ。
仕掛を失うのが恐ろしくて仕掛けを入れられない。釣れる魚が怖くて仕掛けを海に入れられないなど、人生初の体験だ。私も新たにラインを巻き直し、臨戦態勢は整ったが、仕掛けを入れられない。朝マヅメのゴールデンタイムが過ぎれば青物は消える…と信じ、しばらく何もせずに状況を見守る。こうなるとどちらが狩る側で、どちらが狩られる側かわからない状況になってしまった。
主役がグレに交代
40分ほど、仕掛けを入れず海を観察していると、潮の流れがかわり、目の前に潮目ができた。まだ青物はまきエサに寄ってはくるが、数が極端に減った。
ようやく主役が青物からグレにかわり、完全に目視できるくらいまで浮き上がり、まきエサに群がる。中には50cmオーバーの姿も…。グレはしっかり口を使い、さしエサを捕食しているが、私のウキごと沈ませた仕掛けはグレの横動きの動作をとらえることができない。
仕掛け変更で本命
仕掛けを一新して、0号のウキを使い、ハリスはノーガン(オモリなし)で挑む。潮受けが1mmでも動こうものなら、間髪入れずにアワせる。そして、何とか貴重な最初の1尾を確保。サイズは40cmくらいであった。

同行者の固定仕掛けには、ビュンビュンとアタリが出るのだが、グレの食いが浅いのか、アワセのタイミングが悪いのか、なかなかハリ掛かりしない。そこで、ハリスにウキを付けて、タナ1mの仕掛けに変更すると、一発でグレがハリ掛かり。しかし、グレを掛けることはできるのだが、取り込むことがとができない。どうしてもレバーに頼ってしまい、グレの二の太刀をかわせない。
「レバーを使うな」、「自分の竿を信じて、折れてもいいから竿を立てて辛抱しろ」と、口で言うのは簡単だが、いざ実戦になると、どうしても彼らはレバーに頼ってしまう。
巨大イスズミの洗礼
私が良型グレを8尾釣った時点で、「こんな超がつくA級瀬は、滅多に上がることができない。別の瀬に上がった組と交代してあげよう」と思い、昼過ぎに瀬がわり。1人はツバクロでバラしてばかりでまだ釣果にありついてないので残留。もう1人は「せっかくだから他のA級瀬も見てみたい」というので、私と一緒に瀬がわり。

しかし、別の瀬で釣っていた他の組は、すでに別のA級瀬・ウスバエに瀬がわりして上礁終了していた。したがって我々はこれもまた 釣り人がいなくなったA級瀬であるソーンハエに上礁。ここは青物がいないかわりに巨大イスズミが多く、同行者はいきなり巨大イスズミを釣ってノックアウト。
微細な変化でアワせる
しかし、このイスズミとのやり取りで、ようやく大型魚との駆け引きを体得し、その後、数尾だが本命グレの釣果にありつくことができた。ここソーノハエでもまきエサが効いてくると、釣り方は最初に上礁したツバクロと釣り方は同じで、2ヒロ以内のタナまでグレが浮いてきて捕食するようになる。
しかし、さしエサを口にするとすぐ吐き出すので、潮受けに微細な変化があれば、瞬時に手首のスナップで軽く返すようにアワせ、魚を掛けるような釣り方が釣果に繋がった。

最終釣果
瀬がわり先のソーノハエで、何とか尾長グレ交じりで4尾を確保。イサキ1尾を含む合計12尾の釣果だった。

一方、ウスバエに上がった組はメタルジグを持ってきており、50cmくらいのカンパチ、ヤズを合わせて5尾。グレも1人当たり5~6尾釣っていた。
職場で深島旋風が
近場の波止場では、まだ1尾も釣っていないショアジギングの初心者が、深島でジグを投げ、生まれて初めてのカンパチ、ヤズを手にすることができ、職場でちょっとした話題になった。
この話を人伝えで耳にした同じ職場のルアーマンが「俺も一度深島へ行ってみたい」と私に言ってきたので、またお膳立てしなければならない。次回はさらに水温も好条件になることが予測されるので、フカセもジギングも楽しめると思う。彼はロッドはハード、リールはPEライン4号を巻いた6000番のスピニングを新調したらしいので、我々が手も足も出なかった80cm級の大型青物に立ち向かってくれることであろう。
釣行時の注意点
深島は大分県の最南端に位置し、ウネリに対して弱いポイントが多く、一見して安全に見える釣り座であっても、波の高さが急転する場所が多い。船長の指示に従い、無理して上礁せず「あきらめる」英断も必要だ。また、上がれる瀬も少なく、同じ渡船屋の他の釣り人と相瀬になることも珍しくなく、お互いマナーを守って気持ちよく釣りができるように心がけたい。
<誠太郎/TSURINEWS・WEBライター>
▼この渡船について正福丸
出船場所:大分県佐伯市蒲江
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