筆者が普段から考えているハゼ釣りの軽量・軽装化。今回は渓流用の「クリールを」使って、竿受けの付いた自作軽量クーラーを作ってみた。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・牧野博)
近場で楽しめる「ハゼ釣り」
秋のハゼ釣りシーズンたけなわである。特に今年は、関東の釣り専門誌を眺めても、「近場で楽しめる釣り物」としてハゼ釣りが大きく取り上げられているようである。
自転車を利用した釣行など、手近に楽しめる釣りが見直されていることはとても嬉しく思うし、できれば幅広い年齢層に楽しんでもらえたら…と願う。そのために1アングラーとして何か情報提供できないか?
装備のライト化に挑戦
最近は自身のテーマとして、キスやハゼの釣行における道具立ての「ライト化」に挑戦している。これまでルアーロッドのガイド交換でチョイ投げを快適にすることができた。
また、他の釣りの携行品を考えると、最も重くてかさばるのはクーラーである。私は、ハゼ釣行でも、投げ釣り用クーラーの小型サイズ(8L)を使っている。投げ釣り用クーラーのメリットは、ロッドスタンドやエサ箱がセットできるので、他にバッグなどがいらず、竿とクーラーだけで釣行できることである。
重宝する「竿受け」
特に竿受け(ロッドスタンド)は、竿を継いで仕掛けをセットする時には非常に重宝する。これをもっと軽量化できないかと考え、渓流用の「クリール」を中古で購入して使ってみたところ、クーラーに比べ非常に軽く、竿を伸ばしたままでのポイントの移動が容易になったばかりでなく、クリールを肩に担いだままの釣りも可能であるなど、非常に使いやすいことが分かった。
そこで、このクリールに、投げ釣り用クーラーに近い機能を追加し、もっと使いやすく改造できないかと考えた。
クリールにロッドスタンドをセットすることにチャレンジし、考えていたものができたので、その手順などを紹介してみたい。
準備する物
準備物は以下の通りだ。
・クリール(エサ箱付属タイプ)
・ピタツキスタンド(ねじ止め不要の物)
・バルサ材(Φ20mm)約30cm
・バルサ材(Φ15mm)7~8cm程度
・電気配線などの留め具(樹脂製)。
・ドライバーセット
・のこぎり
・接着剤
・ゴムパッキン(Φ13㎜)
・ビニールテープ

ロッドスタンドの取り付け
ピタツキスタンド(竿立ての受けの部分)は、たまたま釣り具を整理していた時に見つけたもの。クリールは本体が樹脂製で薄く、ボルトで固定できないが、たまたま粘着テープのみで止められるものがあったので、裏面のシールをはがしてクリールの角の部分に貼り付けた。
竿立て部分の作成
ここは少し手こずった。最初、バルサ材の切断面(垂直の切断面)に直接ボルトで留め具を固定してみたが、ネジが効かず、すぐに緩んでしまった。よく考えてみると、バルサ材は正目の方向(繊維に平行な方向)には非常にもろく、爪で押してもへこんだり裂けたりする。
ボルトが効かないのも当然である。しかし、釣り糸のスプール代わりにねじ止めした、短い方のバルサ材は、フラットな部分を使って繊維に直角にボルト締めしているので比較的しっかり止まっている。

そこで次善策であるが、バルサ材の断面を斜めにカットし、接着剤で止め具と接着した上で、正目の方向に対して斜めにボルトを打つことにした。また、留め具をよく見ると、ボルト穴のすぐ近くに、小さなへこみがある。これは、樹脂製の留め具を製造した時の型抜きの跡と思われるが、この部分に先のとがったドライバーで穴をあけ、ここにも小さな径のボルトを打つことにより、樹脂製の留め具をバルサ材に固定することができた。
テーピング
竿立てができ上がったが、このままだと、竿を受ける部分が滑りやすい。また、竿立ての受けの部分(ピタツキスタンド)にしっかり差し込んでセットできるように、樹脂の留め具の部分とバルサ材の下部をビニールテープで巻いた。
テスト釣行へ
実際に和歌山・紀ノ川河口にあるせせらぎ公園の護岸に完成品を持参し、クリールのピタツキスタンドに竿立てを差し込んで固定。14尺のヘラ竿を継ぎ、竿立てに置いたところ、うまく固定できた。また、道糸(フロロカーボンライン1号)のボビンの穴をスプールに差し込んで、ゴムパッキンをスプールの端に止めると、道糸のボビンが外れることなく、うまく道糸を引き出せることも確認できた。

竿立ての収納
竿立ては、釣りを始める前に竿を継いで仕掛けをセットする時に使用するが、その後は仕掛けを交換したり釣りを終了する時まで不要である。クリールを肩にかついて釣りをする時、この竿立てはピタツキスタンドから外して、クリール側面にあるベルト通しに差し込むことができる。

このように収納すると、釣れたハゼをクリールに投入したり、アシの原などの狭いスペースをクリールをかついだままで移動する時も、引っ掛かることなくスムーズに釣りができる。
可能ならもう一工夫
もし可能であれば、バルサ材をカシューや漆などでコーティングしておけば、水濡れなどに対しても強くなるだろう。クリールの側面のポケット(ファスナー付き)には仕掛けや小物類を収納、クリールの中に保冷剤を入れ、付属のエサ箱にエサを入れれば、竿とクリール1個で身軽に釣行できる。タックルの総重量もクーラー使用に比べて半分以下になり、ライト感覚のハゼ釣りが実現できる。
<牧野博/TSURINEWS・WEBライター>
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