古いルアーロッドを「ちょい投げ用」にリメイク。今回は、シーバスロッドのガイドをエギング用に交換することで、使用感がどのように変わるかを試してみた。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・牧野博)

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ガイド交換で竿を改造

釣りのタックルは年々進化し、使いやすくなっている。カーボンの投げ竿が初めて登場してからもう40数年。竿は細く、軽く、高反発になって操作性も年々よくなってきた。

しかし、進歩したのは竿のブランクスだけでなく、竿の調子を引き出す「ガイド」も同様。その形状や口径、ガイドのポジション、道糸との接点たるリングの素材などが地道に研究され、アングラーの快適性を高めてくれている。ガイドをかえると、アングラーが操作する時の竿のバランスは大きくかわる。

ところで、この記事を見ていただいているアングラーの手元に、少し(場合によってはかなり?)レトロな投げ竿やルアーロッドが眠っていないだろうか?。
今では出番の少なくなったそれらの竿も、ガイドを新しいものにかえることにより、今の釣りの中で結構使うことができるし、別の釣りに転用できる可能性もある。

今回は、中古で購入した内湾用のシーバスロッド9ft(ゴールドサーメットガイド装着品)のガイドを、市販のエギング用のガイドセット(チタンSiC・Kガイドシステム)に交換することにより、どのように使用感がかわるか試してみた。

準備するもの

今回、筆者が購入した中古ロッドはラグゼソルテージ・ベイシャフト90。ガイドはチタンフレームのSiC・Kガイドのセットとして、エギング用ガイドセット「T-KWSG20101」を入手した。

「ガイド交換」でルアーロッドを『ちょい投げ仕様』に改造する方法
今回使用したエギング用ガイドセット(提供:WEBライター・牧野博)

このガイドセットはトップガイド含め、10点のガイドで構成されているが、チョイ投げには多すぎるので、中間のガイドの内、口径の小さなもの3点は飛ばして7点ガイドとして取り付けを行った。

ガイド交換方法は【ルアーロッドをちょい投げロッドにリメイク:ガイド交換の手順を解説】をお読みいただきたい。

ガイドを交換するにあたり、必要な材料は、ライター、竿巻き糸、小型のニッパー、ハサミ、接着剤、2液型ウレタン塗料(クリア)、塗料のうすめ液、うるし用の筆、うるし用のパレット、ウエス。

竿とガイドセット以外は、前回ルアーロッドのガイド交換で紹介したのとほぼ同じ。

ガイド交換の方法

それでは、ガイドの交換方法を順に紹介していこう。

1. ガイドの取り外し

ガイドのコーティング部分をライターで軽くあぶる。直後に、小型のニッパーを使って巻き糸の一部を切り、そこから糸をほどいていく。 

2. 竿の表面の研磨

ガイドを外した後は、コーティング剤の跡が残っているので、水砥ぎのサンドペーパー(今回は1500番を使用)で、ぬるま湯をかけながらその部分を少し研磨する。あまり強くこすり過ぎないように注意する。水分をふき取って陰干しする。
ちなみに、竿のガイドを取り外した状態で竿を継いで軽く素振りしてみたところ、胴調子のように感じられたが、バランスが良くて軽快感があり、結構穂先の返りなども速そうである。ガイド交換によってキャスティングや感度がどのように変わるか、楽しみになってきた。

3. ガイドの仮止め

ガイドの位置が決まったら、そこにガイドを仮止めする。接着剤で仮止めを行った。今回は、前に付いていたガイドのポジションを参考にしたが、今回はガイド数が交換前より1個増えること、また、穂先の継ぎ目部分にガイドを付けたくなかったことから、バットガイドのポジションは大幅に下げ、元竿の上部の、継ぎ目部分より少し下に取り付けた。

中間の5つのガイドは、前回ルアーロッドのガイド交換を行った時のポジションやガイドの間隔を参考にしながら取り付けを行った。

4. ガイドの糸巻き

いよいよ糸巻き(ラッピング)に入る。まず、巻き糸を10㎝ほど短く切ったものを用意する。これが、抜き糸になる。最初は、糸の端を巻き始めから少し内側(ガイド中心側)にボンドなどで軽く止めて巻き始める。巻き初めの糸の端を、上から少し強く押さえるような感じで巻いていく。

基本的には前回ご紹介した方法と同じであるが、今回は、少し面白い巻き方にチャレンジしてみた。基本的な巻き方は何ら前回とかわらないが、色の違う2種類の糸を同時に手に持って巻いた。

1本は白黒をより合わせた糸、もう1本はライトグリーンの単色の糸である。これら2つの糸を同時に持って巻いていくと、巻き上がりは白黒のより糸とライトグリーンの単色の糸が交互に巻かれた状態になって仕上がる。

巻き終わりの4~5㎜手前で、抜き糸のループをガイド中心に向けて置き、その上からさらに糸を巻いていく。必要なところまで巻き終わった2本の糸を切り、その糸の端を抜き糸の輪の中に通す。巻き糸が緩まないように注意しながら、抜き糸の端(輪になっていない方)を指先で強くつかみながら同じ方向に引くと、巻き糸の端が巻かれた糸の途中から出てくるので、少し引きながらハサミで切る。


穂先のトップガイドの巻き方も前回同様であるが、ここでも、部分的に2色巻きを取り入れてみた。

なお、今回のガイドセットでは、トップガイドの下の2~5番までの4つのガイドはシングルフット(1本脚)のガイドである。シングルフットの場合、通常は脚のない側にも少し巻き糸をして抜けを防ぐが、富士工業のカタログやホームページを見ると、シングルフットガイドであってもフレームに窓があるタイプ(KT、KB)では脚のない側の巻き糸はいらないとのこと。コーティング剤が窓を通ってガイドの脚の下の方に回り込むためである。

今回のセットはKTタイプのガイドだったので、脚のある側のみをしっかりと巻き糸で固定した。

5. 各ガイドの向き調整

ガイドの糸巻きができ上がったら、穂先を手に取って、元竿に最も近いガイドの中心からトップガイドの方をのぞいて、ズレているガイドがあれば指で動かして調節し、ガイドがきれいに並んでいるようにする。一番手前の(元竿に近い)ガイドから視野の円の真ん中にトップガイドを見たとき、すべてのガイドが左右対称に並んで見えている状態にする。

6. 継ぎ目部分の糸巻き

今回使用した竿は、逆並み継ぎの竿であったが、ガイド交換前に穂先側の継ぎ目部分に、バットガイド(一番リールシートに近い元ガイド)が取り付けられていた。それを取り外したので、口金の部分に段差ができている。また、継ぎ目部分近くは、竿を継いだり、継ぎをほどく時に手で握る部分である。

この部分にはガイドは取り付けないが滑り止めも兼ねてやはり2色巻きで糸を巻いた。

7. 巻き糸のコーティング

巻き糸が緩まないように、コーティング剤を刷毛塗りする。前回と同様、今回も2液型のウレタンクリアの塗料を使った。コーティング剤には溶剤が含まれているので、換気を良くして作業をすることが大切である。また、ウレタン塗料やうるしには、かぶれやすい成分が含まれているので、できるだけ手に直接触れないようにしたい。

アレルギー体質の人は特に注意が必要である。でき上がったら室内の壁に立てかけて静置し、3日間乾燥、硬化させた。

巻き糸で自分好みの色に

今回、白黒2色のより糸と、ライトグリーンの単色の糸を2本使って巻いた。巻き上がりの色は、白黒2色のより糸のみの場合と比べ、見た目は、若干緑がかった感じである。また、この巻き方をすると、巻き上がりの糸の部分を見る角度によって色の感じが変化し、面白いフィニッシュになった。

「ガイド交換」でルアーロッドを『ちょい投げ仕様』に改造する方法
巻き糸で自分好みの色に(提供:WEBライター・牧野博)

糸を巻いた面を角度をかえながら見ると、あたかも白黒の巻き上がりの中に、うっすらと緑色の光沢がかかるような感じになる。

オモリを付けて試投

ガイド交換した竿をつないで軽く振ってみると、ガイド交換前に比べて軽快感が増し、特に穂先の返りが速くなったように感じられた。これは、ガイドの総重量や体積が小さくなったためと考えられる。

実際に海岸(漁港内の護岸)に行き、10号のオモリを付けて投げてみたところ、道糸にPEライン0.8号、力糸にPEライン1~7号のセッティングで、3色まではストレスなく投げることができた。リールは投げ専用リールの小ぶりのものを使用している。

投げやすさは向上

前回ガイド交換したルアー竿より今回の竿は穂先や元竿が細く、また、後述するようなスイベルの強度の関係があり、オモリは10号までを使用するべきと思われた。また、前回のルアー竿改造では、投げ竿用のKガイドを取り付けたが、今回はルアー用のガイドなので、ガイドの口径はトップガイドを含め全体に小さめである。

「ガイド交換」でルアーロッドを『ちょい投げ仕様』に改造する方法
今回のガイドはやや小さめ(提供:WEBライター・牧野博)

オモリだけで、少し垂らしを長めに取ってシャープに振ると、4色ゾーンをマークすることも可能だったが、仕掛けを付けた実釣ではやはり3色前後が狙いやすい飛距離のように感じた。

ただ、投げやすさは格段に向上した。ふんわり軽く近投したり、スリークウォーター気味に振って強く振り止めを行ったりと、自分なりに様々な投げ方をしてみたが、ガイへの絡みやライントラブルは全く発生しなかった。

使用するスイベルの話

なお、力糸の先に結び、オモリに力糸をつなぐためのパワースピードスイベルは、投げ竿用のLサイズを使用したが、オモリを外した後、トップガイドを通らないのでリールまで巻きとれない。同じスイベルのSサイズだとトップガイドを通るのだが、Sサイズはチョイ投げ用で、富士工業のカタログを見ると、オモリ負荷は10号以下と書かれていて、強度面もLサイズの半分以下である。

キャスト時の安全を考え、面倒でも釣り開始時に力糸をガイドに通した後パワースピードスイベルのLサイズを力糸に結び、オモリをつける。釣り終了後はスイベルと力糸の結びを切って力糸の部分をリールに巻き取るようにすることとした。もし、Sサイズを使う場合は、オモリはやはり10号以下を守るべきだ。

今回ガイド交換した竿をキスのチョイ投げで使った際の感触については、できるだけ早く釣行記でお伝えしたいと思っている。

<牧野博/TSURINEWS・WEBライター>

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