今回は伊勢湾カットウフグの最新釣法を紹介する。底の粗い伊勢湾対応の仕掛けからエサの付け方、釣り方まで紹介するので、ぜひチェックしてヒガンフグに挑戦しよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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伊勢湾のヒガンフグ釣り

春先の伊勢湾では、産卵を控えた大型のヒガンフグが特定の場所に集結し、数釣りが楽しめる。特に集中して釣れる日はXデーと呼ばれ、フグシーズンのフィナーレを飾る一大イベントとして、毎年多くのファンが楽しみにしている。集まってくるフグのなかには、ジャンボと呼ばれる1kg超えの大物も多いため、確率を上げてサイズを狙える好機だ。

ヒガンフグは岩礁帯を好んで生息する大型のフグで、最大で2kgほどに成長する。名前にヒガンと冠する理由だが、春のお彼岸の時期に産卵を迎え、大量に接岸することからその名がついた。

甲殻類や貝類、ゴカイ類など多様なエサを捕食する。いずれも底に生息している生き物なので、まきエサなどに寄った場合を除き、摂餌行動のときは底を意識している。釣りでは底スレスレを狙うのもこのためだ。

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大型ほどカットウ釣りが有利(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣りにおいては、小潮回りなど潮が強く流れないときが良いとされる。フグ自体の、「エサを食うときの都合」もあると思うが、カットウ釣りでは底をち密に釣っていくので、釣り人の攻めやすさ、船の流れるペースなどもその理由となる。

一方でフグの仲間はその見た目に反し、遊泳力に優れているものもおり、ヒガンフグもこのタイプ。潮がよく流れている環境下、ウタセマダイやイシダイ釣りの外道で掛かってくるので、かなりの流れの中でも行動可能なのだろう。

カットウ釣りが盛んな理由

小型のものは、ショウサイフグやコモンフグ同様、食わせ釣りで釣り上げることができるが、大型になるとハリをひとのみにしてしまい、ペンチのような歯でハリスはおろか、ハリまで破壊してしまうことも。ゆえに、サイズ狙いとなるとカットウ釣りでないと太刀打ちできない。

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愛嬌抜群のフグが待っている(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

またフグはエサを探す際、視覚への依存度が高いとされる。このため大量のエサを付け、目立たせることができるカットウ釣りが、フグを寄せる点でも圧倒的に優位となる。この釣り方で盛んに狙われるのは、釣趣以外にこういった理由があるからだ。

カットウ仕掛け

関東が起源となるカットウ釣りだが、元は砂地に多いショウサイフグをメインに狙った釣りだった。一方で伊勢湾の場合は、岩礁底に多いヒガンフグを狙った釣りになる。しかも狙うのは底付近が中心なので、根掛かりのリスクも極めて高い。そのため、仕掛けも独特の発展を遂げている。近年使う人が増え、釣果アップに貢献している仕掛けのタイプを、以下に紹介していく。

捨てオモリ式

まず1つ目が、画期的な特徴を備えた捨てオモリ式の胴つきタイプの仕掛けだ。

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捨てオモリ式(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

この仕掛けは、L字状の金属支柱の頂部にエサ掛けバリが配置され、屈曲部から横方向に突き出たアームの先に、フグを掛けるイカリバリを付けるようになっている。オモリは金属支柱の屈曲部の下に、捨てイトを介して取り付ける方式になっているため、イカリバリ自体は底との間合いを確保しつつ、万が一オモリが根に掛かって抜けなくなったとしても、仕掛けの全損を回避できるという仕組みだ。

この仕掛けの登場で、これまで熟練が必要だった底スレスレの釣りが、非常にやりやすくなり、使う人が急増している。伊勢湾カットウ仕掛けのニュースタンダードと呼んでも過言ではないだろう。

アームタイプ

次に紹介するのがやじろべえの腕のように、横に突き出したアームの先に、イカリバリをセットするタイプの仕掛け。このタイプが活躍するのはシーズンが進むにつれ、フグがスレてきて仕掛け(オモリ)の真下に入りにくくなってきたとき。

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アームタイプ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

貪欲なイメージのあるフグだが、魚類には学習能力がある。周囲の魚が釣られたり、自身も危ない目に遭えば、当然警戒心が生まれるわけだ。

底釣り対応型

最後はベタ底狙いで活躍する底釣り対応型の仕掛け。代表的なものが、ヤマワ産業の「カットウボトムシンカーWアーム完全仕掛け」。

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ヤマワボトムシンカーW(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

この仕掛けはオモリの片面がフラットになっており、着底するとフラット面を下にオモリが寝る。このフラット面の反対側にエサ掛けバリが付いているので、エサ掛けバリが岩に掛かるのを抑止できるようになっている。

またイカリバリも、オモリの尻から上向きに突き出したアームと繊維の先にセットするようになっており、根掛かりのリスクを緩和している。

ただし、底を引きずるような釣り方をするとさすがに根掛かりは避けられない。後述する「誘いを兼ねた空アワセ」をうまく入れていくことが大切だ。

カットウ釣りのエサ

カットウ釣りで使用するエサを紹介する。

アオヤギ

古くから使われているアオヤギは今も定番だ。内臓部分からハリを刺し、折りたたむようにして足を貫通させる。この要領で3~4個、目立つようめいっぱい付ける。

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冷凍アオヤギは定番(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

フグが好むのはアオヤギの内臓部分。軟らかくて取られやすいので、こまめに交換し、常にプルプルの内臓部分がたっぷりとハリに付いている状態をキープしよう。

フグの活性が低いと、内臓部分にしか興味を示さないことが多い。見た目にはエサが残っていてもアオヤギの足ばかりでは、集魚効果は激減する。

アルゼンチンアカエビ

また、近年よく使われているのが、アルゼンチンアカエビだ。もともとは関東地方でよく使われていたエサだが、伊勢湾で導入され実績を上げている。ただし、扱い方を誤るとアカエビはフグに取られやすいという弱点がある。そこで、正しい扱い方を以下に紹介する。

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使い方に工夫が必要(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

まず、尾柄がわずかに残るように尾を切り、尾の付け根から2節までを残して殻をむく。

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エビの刺し方(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

続いて尾の付け根からハリを刺し、ひと節目の殻の中ほど(背側)から抜く。抜いたらエビを180度回転させ、2節目の殻から今度は腹側にハリ先を抜いて完成だ。殻の保持力で、エビが固定される仕組みだ。

イカゴロ

この他昨年から流行しているのが、イカゴロ(イカの内臓)をアオヤギに添加し、使用する方法。においによる集魚効果を狙ったものだ。

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集魚剤にイカゴロを使うのがトレンド(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

カットウでの釣り方

数秒おきに誘いを兼ねた空アワセを繰り返し、フグを掛けていく。底スレスレかベタ底での釣りが多い伊勢湾では、空アワセは根掛かりを回避する役目も担っている。

先にも触れたが、根掛かりを避けるにはとにかく底を引きずらないこと。

ウサギ跳びの要領で、空アワセで仕掛けを浮かせては底に着けを繰り返し、この合間に寄ったフグを掛けていく感じだ。

春先の大型ヒガンフグ狙いは、総じてベタ底狙いの釣りになる。根掛かりによる釣りの中断を減らすことが、まずは好釣果を得るための近道だ。先に紹介した仕掛けをうまく使い分け、必要ならば捨てイトを短くするなどの工夫をし、自身も感性を磨いて底の釣りを完遂できるように心掛けよう。

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手がかじかむので尻手ロープも有効(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

アワセとやり取りだが、空アワセはあまり派手に激しくやるのはNG。手首の上下幅で20cmほど、短くしなやかに行う。イカバリは大変鋭く、掛かればハリの懐へとフグの皮膚が食い込んでいく形になっている。

ハリがフグのボディーを捉えれば、ブルンブルンとのたうつ感触が伝わるので、しっかりとサオを立て気味にし、間断なくリールを巻く。ハリにはカエシがないので、テンションが緩むとバレる。波のある日は船の上下動も考慮に入れ、下がるときはより素早くリールを巻くこと。

大型のヒガンフグになるとその重量はかなりのものだが、間違ってもポンピングしないこと。とにかく巻き続ければ、船が下がる瞬間に負荷が小さくなって巻けるので、冷静に対処しよう。

大物狙いに挑戦しよう

さて、以上が近年の伊勢湾カットウ釣りのスタイルと攻略の基本だが、大型のみを選んで釣るという攻略法は、これと言って確立されているわけではない。

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このサイズはかなりの重量感(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

しかし、だからこそ大型が自ら特定の場所に集まってくれるこの時期が好機。本来個体数の少ない大型と遭遇できる確率も必然的に上がる。今季を締めくくる特大サイズをゲットし、有終の美を飾ってオフシーズンを迎えてほしい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年3月5日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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