今回紹介するのは夜の帝王・ゴンズイ。背ビレと胸ビレに毒棘があるため持ち帰る人も少なく、ほとんどの人がそのおいしさを知らない。

ぜひ「みりん干し」で味わってみよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

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釣り人のみ食せる魚

釣り人の特権として挙げられるものに「おいしい魚が食べられる」というものがある。おいしいマグロ、おいしいタイ、おいしいヒラメ……。確かにおいしいが、そんなのカネさえ払えば誰でも食べられるじゃないか。

なんて言ってしまっては身もフタもないが、どうせ食べるなら本当に釣り人でなければ食べられない魚というものを食べてみたい。それは何なのか。流通に乗らない魚だ。

流通に乗らない魚にも2種類ある。一つは水揚げされたら高級料亭に直行という魚。魅力的な響きだが、これも釣り人である必要はない。私が高級料亭に行っても門前払いされるだけだが、お金持ちなら釣り人の特権を行使するまでもない。

じゃあ、もう一つは?それは値段の付かない魚だ。当然、市場に出回ることもないので、カネだけではどうにもならない。

そんな魚が食べられるのは漁師か釣り人だけ。これこそが本当の意味での釣り人の特権だろう。

もちろんなかにはホントにまずいから値の付かない魚もいる。でも、それ以上に多いのが、「まとまって捕れないから」「小魚だから」「見た目がグロテスクだから」などなど、味はいいのに正当に評価されない魚たちだ。

夜の帝王・ゴンズイ

そんな魚のなかから今回紹介するのは夜の帝王・ゴンズイ。もう少し大きくて毒棘がなければ乱獲されてもおかしくないほどおいしい魚なのだ。

【釣果レシピ】夜の帝王「ゴンズイ」のみりん干し 毒棘にはご注意を
よく見ると意外にかわいい?(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

ナマズの仲間で、夏の夜釣りでは必ずといっていいほど釣れるくせに、魚屋には売っていない。食べるためには自分で釣るしか方法はないが、これが意外にも難しいのだ。狙っていないときはいくらでも釣れるのに、いざ狙ってみると……という外道あるある(笑)。

ポイントを聞いても「そんなもんドコでも釣れる」と言われるだけ。仕掛けは?エサは?どうやって釣るの?誰でも釣ったことがあるはずなのに、誰に聞いても明確な答えは得られない。夜の帝王だけあって全ては闇に包まれたままだ。

美味しく食べるコツ

おいしく食べるためのコツは2つ。まず毒棘に刺されないこと。

経験者によると、食欲など一気に失せる痛さらしい。

釣れたらメゴチバサミでつかみ、その場で棘(とげ)を切り取っておくといい。お勧めはカバー付きの爪切り。切った棘が飛び散らないので釣り場にまき散らす心配もない。棘さえなければ、あとはただの魚だ。

そしてもう一つは、生かして持ち帰るか、その場で内臓を抜くかのどちらか。雑食性なので、たまにハラワタの臭い個体がいる。活け越しにして完全に消化させるのが一番だが、それが無理なら傷まないうちにさっさと抜いてしまう方がいい。

絶品みりん干し

料理法はみそ煮やかば焼き、天ぷらなどが一般的だが、今回はみりん干しを紹介しよう。

まず開きにするが、小さい上に表面が滑りやすいので、ウナギのように目打ちを使うと簡単。釣れるのは20cm前後がほとんど。大きくても25cmほどなので、できるだけ大きなものを確保したい。

背開き腹開きはお好みで。開いたら中骨と頭を取り、みりんとしょうゆを半々に合わせたタレに30分ほど漬け込む。あとは汁気を軽く拭き取って表面が軽く乾くくらいまで干せば出来上がりだ。

【釣果レシピ】夜の帝王「ゴンズイ」のみりん干し 毒棘にはご注意を
ゴンズイのみりん干し(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

寒い時期の方が脂は乗るが、冬のゴンズイなんてそう簡単に釣れるものではない。夏場でも十分にうまい魚なので、機会があれば挑戦してみるといいだろう。一度食べれば、この魚を見る目が確実に変わるはずだ。

<週刊つりニュース中部版APC・浅井達志/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年3月19日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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