和食では欠かすことのできない「お出汁」について調べてみました。意外と知らない「とる」と「ひく」の言葉の意味の違いも紹介します。

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豊富な種類がある『出汁』

出汁と聞いて思い浮かぶのはおそらく「昆布」や「カツオ」などでしょう。日本ではこの二つの他にも代表的な出汁がいくつかあります。料理によく使う「出汁」だと昆布やカツオの他に、煮干し、干ししいたけなどでしょう。

海外では野菜、肉類等を使った出汁もあり、フランス等西洋料理で使われる「ブイヨン」や中華料理の「湯(タン)」も肉類と野菜から取った出汁のことを指しています。

和食の要『出汁』の世界 「ダシをとる」「ダシを引く」の違いとは?
出汁と言えばカツオと昆布(出典:PhotoAC)

出汁には旨味成分が豊富

出汁を取る食材にはそれぞれ異なった旨味成分が含まれており、料理に合わせて旨味成分を足すことで料理はより美味しくなります。

イノシン酸:かつお節、煮干し、肉類等動物性の旨味成分
グルタミン酸:昆布、海苔、トマト等の旨味成分
グアニル酸:干ししいたけ等の旨味成分
コハク酸:ほたて、あさり等の旨味成分

また、これらの旨味成分は単体でも十分に効果を発揮しますが、組み合わせることでさらなる相乗効果が期待できます。

例えば「イノシン酸×グルタミン酸」「グルタミン酸×グアニル酸」の組み合わせが代表的です。

この相乗効果を狙った出汁は「合わせ出汁」と言い、日本の料理において欠かすことのできない出汁と言えるでしょう。

最近では顆粒のものをスーパーなどで簡単に手に入れることが出来るようになりました。

出汁はひく?とる?

ちなみに出汁を取る際、2つの言い方を耳にしたことはないでしょうか。

【ダシを引く】【ダシを取る】これらはどちらもよく聞く言葉だと思います。

料理が好きでこだわりの強い人が格好つけて「引く」を使っているんじゃないの?

そう思っている人も多いと思いますが、実際これはどちらかが正しくて、どちらかが間違っているということではありません。

二つの言葉が存在するように、実際にだしの取り方には二つの方法があります。

【ダシを引く】さっと引き上げる・・・うま味を引き出す
【ダシを取る】ぐつぐつ煮出す ・・・うま味を絞り出す

これが本来の使い方だと言われており、【ダシを引く】に関しては、素材から出汁を引き出すことを指します。

「和食は引き算の料理」とは言いますが、”素材の味を引き出す”というのはなんとも日本人らしい言葉の使い方に思えますね。

和食の要『出汁』の世界 「ダシをとる」「ダシを引く」の違いとは?
出汁を取る(出典:PhotoAC)

合わせ出汁は二つある

合わせ出汁は、カツオ節と昆布から取った出汁のことです。

旨味の相乗効果を期待できるカツオ節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の組み合わせで、いろいろな料理に使えます。

かつお節と昆布を使った合わせだしにはさらに「一番出汁」と「二番出汁」があります。

一番出汁

昆布を水から煮て沸騰直前に取り出し、カツオ節を加えてカツオ節が鍋の底に沈むまで待ったものを濾します。

透明度の高い出汁なのでお吸い物や薄味に仕上げたい料理に用いられます。

二番出汁

一番出汁を取った後のカツオ節と昆布を使い、新しいカツオ節を加えてさらに出汁を取ったものです。

煮物やみそ汁などによく用いられます。

手間をかけてさらに美味しく

日本の料理では欠かすことのできない「出汁」。同じカツオ節でも産地などによって出来上がる味も全く異なります。

少し手間はかかりますが、出汁にこだわって料理をするのも楽しいのではないでしょうか。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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