アジ釣りの時期は基本的に春から夏がシーズンの始まりだとの意見も多いが、本当に全国共通の情報なのか疑問を感じる。そこで、実際に全国のアジ釣りの調査を行ってみることにした。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター出月慎也)
アジの習性を確認

アジはサビキ釣りでも撒き餌をするだけで簡単に集まる印象を持たれがちだ。しかし、集まるのは比較的小型の豆アジが多い傾向にある。大型のアジは夜のほうが釣れやすいことも珍しくない。では、アジにはどのような習性があるのか確認してみよう。
基本的に昼行性
アジは夜行性ではなく昼行性だと言われている。そのため、日中に撒き餌をすると豆アジが大量に集まる光景も珍しくはない。
では、夜は眠っているためまったく釣れなくなるのか?実は夜のサビキ釣りでもアジは問題なく釣れることが多い。その理由としては、外灯などに集まったプランクトンを捕食するためだとも言われている。そこで気になる疑問が「光に対する習性」だ。
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光に対する習性
アジは光に誘われやすいという習性がある。しかし、明るすぎる状況を避ける傾向にもある。日中のサビキ釣りでは、表層にイワシなどの群れが集まっているにもかかわらず、アジは少し中層にいることも珍しくはない。
※かなり小型の豆アジは日中の明るすぎる状況でも表層に群れて集まる
また、曇や小雨の状況では少し中型のアジも表層に出てきたことも何度かある。
私の経験では、外灯のある漁港では少し中層で釣れることが多かった。その理由として予想できるのは、表層では外敵から見つかりやすいため中層に潜んでいる可能性があるのではと考えられる。
しかし、比較的暗い場所に移ると表層付近でもアジが釣れる機会も増える。光に対する習性は捕食するためでもあり、外敵から身を守るためにも関係するのかもしれない。
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回遊魚であること
ポイントに居着く魚種もいるが、アジは回遊魚である。海を見つめていても魚はまったく見えないが、いざサビキ釣りを始めるとアジが集まってくる。イワシやサバなどの回遊魚も同様に集まる傾向にある。
※もちろんアイゴなど居着く傾向にある魚種も撒き餌に集まる
日中は漁港内や内湾を回遊していると言われているため、撒き餌をまくと比較的すぐに集まってくる。ただし、やはりアジが釣れやすい時期でなくては、撒き餌に集めること自体が難しくなる。
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アジ釣りの時期について
アジが釣れる時期は「初夏や秋である」と皆が同じようなことを言う。たしかにこの時期になると豆アジが回遊してくる機会も増える。しかし、本当に「全国的にこの時期がアジ釣りの開幕となるのか?」については疑問が残る。
夏の小アジ(撮影:TSURINEWS関西編集部・中西)シーズンの始まりは本当に夏?
私が普段釣りをしているのは福井や愛知、静岡がメインだ。その中で、毎年アジが釣れ始める時期は地域やポイントによりバラツキがあることが明らかだ。
例えば、6月に福井の地磯で10cmほどのアジが入れ食いの年があったが、同時期の静岡では豆アジですら回遊していないという状況であった。実際に全国のアジが同年同時期にどのくらい釣れているのか調査してみることにした。
全国の釣果を比較した結果
今回は北海道から九州地方まで全国各所で調査を行い、アジの釣果が頻繁に投稿されているデータをまとめた。
・北海道
北海道でのアジ釣果は、「6~11月」に集中している傾向がある。特に集中している時期は「9~10月」であるため、ベストシーズンはこの時期であると思われる。
しかし、道東や道北など地域により魚種も異なる傾向にもあるため、必ずしもほとんどの釣り場でマッチするとは限らないだろう。私の住む東海地方では見かけないチカ(キュウリウオ)やシシャモなどが釣れることも羨ましく感じる。
・東北地方
東北地方では北海道とは少し異なり、「2月下旬~12月」と比較的ポイントによっては年中狙える魚種であると言える釣果であった。サイズに関しては春辺りに型が大きい印象も受ける。
特に釣果が集中している時期は「8~10月」とやはり夏から秋であるため、ベストシーズンはこの辺りだと言える。
・関東地方
関東地方の場合は東北地方とは少し異なり、1月に三浦半島で釣果が報告されていたりと年中釣れている印象を受ける。しかし、やはり釣果が集中している時期は「7~10月」であるため、やはり関東地方でも夏から秋がベストシーズンだと予想できる。
型は2020年の場合、比較的東北地方のほうが20cmアップが多い印象も受けたが、あくまで釣果報告のみの確認となるため信憑性はそこまで高い訳ではない。
※ただ、東北地方は大型のアジが回遊しやすいとの情報も見つかっている
・中部地方
中部地方でも釣果は年中釣れている結果だが、地方によりバラツキがあると言える。私が現在静岡在住のため、2021年の状況を報告すると、アジが釣れ始めた時期も遅く、秋でもまったく釣れない日がある。アイゴの稚魚しか確認できない釣り場もあり、ベストシーズンは夏ではないと言える状況であった。
ポイントによっては秋でも回遊してこない状況もあるため、アジを狙う際には釣果のあるポイントに絞る必要がある。また、春から初夏は御前崎漁港でも豆アジすら確認できない状況であった。
・近畿地方
近畿地方でもこれまでと同様にベストシーズンは「8~11月」だと予想できる結果であった。
釣果では冬に大型のアジをアジングで狙う方の投稿も多く、アジを専門に楽しむ方で賑わっている印象だ。アジは年中釣ることができる地方であると言える。
・中国・四国地方
四国地方は海水の温度が比較的高い傾向にあるため、釣果は4月辺りから増加している傾向にある。釣果から判断すると、ベストシーズンはこれまでよりも少し早く「7~11月」と初夏から楽しみやすいと予想できる。
私自身も何度か瀬戸内海付近でサビキをした経験があるが、大型のマダイが海底付近に集まってくることもあり、意外な魚種がヒットするチャンスがあることも中国・四国地方の魅力だと言える。
・九州地方
実際にサビキで佐賀や宮崎などでも釣りをした経験がないため確実なことは言えないが、情報をまとめると北海道や秋田などと比較しても「4~10月」に釣果が集中していることが分かった。
とはいえ、特に釣果報告が多いのは「8~10月」であるため、ベストシーズンはこの時期だと予想できる。ただし、春から十分アジを狙うことができる地方であると言える。
調査結果まとめ
これまでの調査結果をまとめるとこのようになる。
【全国的なベストシーズン】
ベストシーズン:8月~10月
【地方ごとの違い】
・アジを年中狙いやすいのは九州地方寄り
・アジは年中狙い魚種ではあるが、ポイント次第ではまったく釣果には期待できない
このような結果となった。
やはりアジ釣りのベストシーズンは秋辺りだと言える。しかし、それはポイント次第でもあることを忘れてはいけない。
アジの種類で時期がかわる?
アジにも種類があるが、釣果を調べてみるとほとんどが「真鯵(マアジ)」であることも分かった。シマアジが釣れている地域もあるが、そもそも釣果報告はほとんどない。GTと呼ばれる「ロウニンアジ」の稚魚は中部地方から九州地方などで比較的釣果報告も見つかるが、時期はやはり秋に多い印象だ。
アジが釣れやすい時間帯
アジが釣れやすい時間帯だが、
・朝マヅメ
・夕マヅメ
・日中
・夜
と基本的に1日中狙うことは可能だと言える。
しかし、ここで注意しなければいけないのは「ポイントやその日の状況によって異なる」ということだ。昨日は日中に入れ食いになったから次の日も同じ状況になるとは限らない。
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朝マヅメと夕マヅメが良いとは限らない?
私の経験では
・ハイシーズンの豆アジは日中でも高確率で釣れる
・比較的夕方に回遊しやすい
・夜のサビキは釣れないことはないが数は少ない
※撒き餌と同調させることが難しい問題も影響
このような結論だと言える。朝マヅメに回遊する日もあれば、1日中回遊している日もある。しかし、比較的渋い日が続く状況であれば、やはり「夕マヅメに回ってきた」との報告を受けることもあるため、マヅメがチャンスであることにはかわらない。
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大型のアジを狙うなら夜?
大型のアジを狙いやすいのは夜の印象がある方も多い。これは釣果を調べてみても明らかだが、やはり夜は大型のアジが釣れやすい。
仕掛けはワームなどを使用したアジングがメインとなるが、アジとは思えない引きを楽しむことができるため、やはりアジングファンもかなり多い。サビキよりも効率的に広範囲を攻めることができるため、大型のアジを狙う際にはアジングで夜釣りがオススメだ。
アジが釣れるポイントの特徴
アジは回遊魚のため魚が釣り場に寄り付いてこない限り釣れない。そのため「地域 アジ 釣果」とネット検索をかけたり、釣具店で情報収集したりと、実際にどの釣り場で釣れているのか確認することが釣果を得る近道になる。
また情報のない釣り場でも、潮通しがいい、アジが食べているベイトが存在する、アジの回遊するルートとなりやすいブレイクがあるなど、好条件が揃った釣り場であれば十分に狙うことが可能だ。釣り場の種類別に攻略方も紹介しよう
堤防・漁港
アジを狙う定番の釣り場が堤防や港だろう。夜とマズメ時・昼で狙うポイントが変わる。夜は光に対する習性から常夜灯が鉄板ポイント。居付いている常夜灯を探して場所移動を繰り返すのも有効な手段だ。
マズメ・昼は潮通しがいい場所や、地形変化があるポイントが、アジが回遊しやすく狙い目になる。回遊の通り道になる堤防の先端や、船道を狙える釣り座がオススメ。また、昼間に港内にアジが溜まっている状況では、船の影などシェード(日陰)も好ポイントになる。
堤防はアジの定番ポイント(提供:週刊つりニュース中部版APC・伊藤拓摩)磯場
堤防に隣接した地磯なども好ポイントになる。漁港を出入りするアジの通り道になっている磯も多く、漁港内に回遊がなくてもその外の磯では回遊があるという現象も珍しくない。
サーフエリア
以外に盲点になるのがサーフエリア。広いサーフでは遠投できるぶっこみサビキなどが必要にはなるが、遠浅ではなく沖にブレイクラインがあるようなサーフでは、大型のアジが深場から浅瀬に回遊することも珍しくない。ベイトともにアジが浅瀬に寄る夜やマズメ時を狙うのがセオリーで、ベイトが集まりやすい流れ込み付近や、アジの付く沈み根、常夜灯などが狙い目。
サーフは大型アジが狙える(提供:週刊つりニュース関東版 渡邉長士)河口
多毛類やプランクトンなどエサが豊富にある河口付近も条件次第でアジ釣りのポイントになる。特に夏の高水温期には、高い水温を嫌って河川まで差し込んでくる事も。アジが潮の流れに乗って回遊しやすい上げ潮時が狙い目。
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アジの釣果を伸ばすテクニック
アジの釣果を伸ばすためにはいくつかのテクニックがある。ただサビキを始めればいい訳でもなく、やはり細かいテクニックを把握しておくことで釣果を大きく伸ばすことが可能だ。
仕掛けが1種類では不十分
サビキにも
・ハリのサイズ
・ハリスの太さ
・擬似餌の種類
などに違いがある。
時期によりアジのサイズもかわるため、「アジの口にマッチしたハリのサイズ」でなければ掛かりが悪くなる。ハリスは余程の大物でなければ切れることはないため、特に意識しなくてもいい。ハリのサイズによりハリスも調整されているため、基本的にはハリのサイズを意識するといい。
できればハリの号数は3種類ほど準備しておくといい。また、擬似餌部分のスキンカラーなどは基本的にピンクで問題ない。比較してみたところ、堤防で豆アジなどを狙う際に大きく釣果が異なる印象は受けなかった。それよりも大切なポイントは撒き餌になる。
ハリはサイズ違いを数種類用意(提供:TSURINEWSライター出月慎也)撒き餌が釣果を左右する
撒き餌は「冷凍のアミエビ」が理想的だ。臭いが気になりづらいパックタイプの撒き餌も販売されているが、やはり釣果を上げるためには避けた方がいい。
※ちょっと楽しむ際には効率的なためオススメではある
また、アジ以外にも様々なサイズの魚種が集まるポイントでは「アミエビとオキアミのミックス」が理想的だ。そして、この撒き餌と仕掛けを常に同調させることを必ず守ることがポイントだ。
撒き餌が釣果を左右(提供:TSURINEWSライター出月慎也)数釣りのコツを確認
アジの数釣りのコツは、
・ハリのサイズがマッチしていること
・撒き餌と仕掛けが同調していること
・すぐには引き上げずに待つこと
この3つを守ることで可能性は高まる。
豆アジほど確率は上がるが、意外と大型になると警戒心が高まるため待つよりも頻繁に引き上げたほうが釣果が伸びるケースも珍しくない。
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アジを狙うなら夏からが本番
アジを狙う時期は、全国的に「夏から秋」がベストシーズンであると言える。しかし、地域によりアジが釣れ始める時期が異なることも明らかになった。
ここで注意しなければいけないポイントは、
・シーズンならどのポイントでも釣れるとは限らない
・時間帯に統一性はない
・昨年釣れたから今年も同時期に釣れるとは限らない
このような特徴もあると言える。
家族や友人とアジ釣りに行く際には、必ず事前に釣果を調べるなどの調査を行うことをオススメする。
今さら聞けないアジングのキホン:アジが「たまる」ポイント探しの極意
<出月慎也/TSURINEWSライター>
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