今年も各地でタチウオのシーズン到来ということで、今回は伊勢湾で楽しめるエサ釣り、テンビンとテンヤ釣り攻略法を紹介します。釣っても食べても最高のターゲットに挑戦だ。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

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伊勢湾の船タチウオ釣り

今年も各地でタチウオのシーズンがやって来た。シーズン開幕を首を長くして待っていた釣り人も多く、タチウオ狙いの船はいつも多くの釣り人でにぎわっている。成魚と未成熟魚の生息地が近い瀬戸内海を除けば、概ね晩夏から初冬までが伊勢湾をはじめとした各地での釣期である。

伊勢湾の船タチウオ釣りが開幕 テンビン・テンヤそれぞれのキホンを解説
抜け出せないゲーム性が魅力(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

タチウオ……。ブリやカンパチのようにハリを折り、ラインを引きちぎる怪力はない。ヒラメやマダイのように、持てる技を駆使して仕留めにかかる難易度もない。ではいったいなぜこれほどまでに釣り人の心をつかむのか。

理由はいくつもあるが、最右翼は食味の良さだ。クセのない身質は、およそ向いていない調理法がないんじゃないかと思えるほど万能だ。ウロコを持たず、調理の際の歩どまりもいいので帰宅しての調理も楽だ。

釣趣と魚体の美しさが魅力

そしてその釣趣。細長い魚体をどう使ったら生まれるのかと、不思議に思える掛けた直後の重量感。あの凶悪な牙はどう使ってるんだ?と思わずツッコミたくなるような繊細なアタリ。難易度は高くないとはいえ、ハマると抜け出せなくなるゲーム性の高さ。

狙い方もルアーマンならジギングやテンヤ釣り、普段エサ釣りメインならばテンビン吹き流しと、船によって地域によって選択肢は広がる。

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掛けたときの重量感は病みつきに(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

個人的に一番の魅力と思うのは、なんと言ってもその美しさだ。スーパーで見るタチウオは鉛色、鮮度が良くてくすんだ銀色といったところだろうか。釣り上げたばかりのタチウオは、表現しにくいが艶(なまめ)かしく紫がかった銀色なのだ。まさに妖刀、誰しもがその魔剣のトリコになるはずである。

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クーラーの中は銀色一色に(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

今回はタチウオのエサ釣りだ。切り身を使ったテンビンでの釣りと、イワシを使用してのテンヤ釣りの釣り方を解説していこう。

テンビン釣りのタックル

テンビン釣りの基本的なタックルを紹介しよう。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 峯卓)

ロッド

オモリ負荷が60~80号前後、2~2.5m程度の短めをオススメする。7対3調子のオーソドックスなもので十分だ。

リール

PEラインの2~3号が300mは巻ける中~小型の電動を合わせる。タチウオ釣りは掛かっても、時には掛からなくてもPEラインに歯が当たっての高切れが起こりやすい。必ず対応できる量のラインを巻いておこう。

仕掛け

当然10号前後のリーダーは必須である。片テンビンは足が40~50cm。高切れに備えて3つ、4つは用意しておく。潮の大きさによって指定されるオモリの号数は変わってくるが基本は80号で、100号、120号を含めていくつかずつは準備しておく。

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片テンビンと水中ライト&仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

仕掛けは2~2.5mまでの2本バリが定番だ。自作も容易だが、軸の長いケン付きワームフック仕様の製品がたくさん販売されているので、少なくとも5~6セットは持っていこう。アピール度を上げるため、仕掛けに付ける発光体も忘れず用意しておく。

エサ

エサだが、幅1cm長さ7~8cmで皮に2mmほど身を残し、短冊に切ったサンマかサバを準備しておこう。事前に塩で締めておくと、エサ持ちはさらに良くなる。

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サンマやサバなどの切り身が一般的に(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

テンヤ釣りのタックル

次にテンヤ釣りの基本的なタックルを紹介しよう。

基本的にはテンビンと同じでも構わない。しかしテンビンよりもテンポよくスピーディーに攻めるためにラインは1.5~2号とワンランク落とし、ロッドも8対2調子で積極的に掛けアワせていくスタイルが主流だ。

よりダイレクトに釣りを楽しめるライトタックルは面白さ倍増だ。

使用するテンヤは40号、50号がメインなのでバットのしっかりしたロッドをチョイスしよう。「専用品まではちょっと……。でもテンヤやってみたいな」って人にオススメなロッドはタコロッド。そう夏にタコエギをチョンチョンしてたアレだ。先調子でバットしっかり、迷ったらコレで問題なく楽しめるハズだ。

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タチウオテンヤと冷凍イワシ(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

テンヤには塩で締めた15cmほどのイワシを、テンヤのハリ軸の長さに合わせて1匹丸ごとか、頭を落とすかを調整してワイヤーで巻き止めておく。現場で素早く丁寧にが理想だが、揺れる船上ではなかなかうまくいかないものだ。時合いならなおさらなので、あらかじめセットした状態でいくつかクーラーに入れて持参しよう。

準備するタックル類は多くないのでチャレンジしやすい釣りだが、なにせあの歯、あの牙、根掛かり皆無なくせに仕掛け、エサの消耗は避けて通れない。全ての道具に余裕を持たせた数で臨もう。

テンビンの釣り方を解説

いよいよ具体的な釣り方の説明だが、テンビンの場合はエサをハリの軸に沿ってまっすぐと縫い刺しにし、2~3cmの垂らしを作っておく。垂らしがなければまずアタリは出ないし、垂らしが長すぎると食い逃げが多発する。キモは「軸にまっすぐ、ちょこっとヒラヒラ」である。

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軸にまっすぐちょこっとヒラヒラ(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

ポイントに着けば、攻めるタナの上限と下限が伝えられてスタートだ。まずはタナの下限まで落とし込んでから仕掛け分のタナを返し、しっかりと仕掛けを張ってから誘いをかけていく。

最もオーソドックスな誘いは、リールを巻きながらシャクる、止めるを繰り返すストップ&ゴーや、低速で巻き上げ続ける電動スロー巻きなどである。

「まるでマイカ釣りみたいだなぁ」と感じたアナタ、大正解。あんな感じでスピード変化と止めのミックスで誘ってみよう。イカはアタリ即アワセが鉄則だがタチウオはココからが醍醐味だ。

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アタリが出てもそのまま誘い続ける(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

いかつい顔に似合わず、コッコッコツコツと小さなアタリが断続的に続く。手を止めずにそのまま誘い続けると、タチウオがバックして自分のタナへ戻ろうと、大きく引き込むアタリを出す。そこでゆっくり大きくアワセを入れてフッキングする。

追い食いを狙おう

うまく掛けられたら、すぐに電動で高速で巻き上げてしまう釣り人を見かけるが、最低でも5mは手巻きでゆっくりと巻いていただきたい。異常な動きをする仲間に忌避反応をする魚種と活性が上がる魚種がいるが、タチウオは後者だ。

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ダブルを狙うのも比較的容易なターゲット(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

1匹掛けることができたなら、ついでにもう1つのハリにも周りのお友達を掛けてしまおう。非常に追い食いを狙いやすいターゲットである。

うまく食わせたときの重量感は、きっと満足してもらえる幸せな瞬間だ。

テンヤはアワセを入れよう

テンヤの場合も基本的には誘いに大きな違いはないが、途中にテンビンを介さないため、よりダイレクトに、よりスピーディーに攻めていける。

タナを広く探り、見つけたタナでシェイク、ポーズ。ジギングのように高速で攻めることだって時には有効だ。テンヤとテンビンの一番の違いはフッキングだ。

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掛けるまでのプロセスが魅力(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

食わせて掛けるテンビンは即アワセはご法度だが、テンヤは大きな掛けバリが下向きに1本。テコの原理で考えると分かりやすいが、タチウオが下からかんだ、つまりアタリの瞬間にアワセを入れることでタチウオを作用点にし、テンヤが上に向かう力をテンヤが回転する力に変えることで掛けるのだ。食い込ませる必要はない、頬に掛けて正解と言える。

妖美なタチウオを仕留めよう

取り込みはテンビンもテンヤもロッドでの抜き上げは危険で、ロッドの破損も招くのでテンビンなら必ず仕掛けを持って、テンヤならリーダーをつかんでから抜き上げよう。

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コツをつかめば数釣りを楽しめる(提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)

プロセスも楽しんでじっくりと堪能できるテンビン吹き流し、ルアーマンにもオススメのスピーディーに攻めて掛けるゲーム性も抜群のテンヤ。どちらがたくさん釣れるのか?どちらが大型が狙いやすいのか?生きたタチウオの妖しい美しさを見られたなら、そんな無粋な疑問なんかどうだってよくなるはずだ。

<週刊つりニュース中部版 峯卓/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年10月22日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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