ここのところ不調の神戸・和田防波堤だが、「こんなはずじゃない」と懲りずに釣行。常連を真似た遠投が当たり、大サバに大アジをキャッチした11月20日の釣行の模様をリポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
和田防波堤が不調?
大阪湾の回遊魚は秋にトップシーズンを迎える。2021年秋シーズンも各地の釣り場から青物の便りが連日伝わり、活況を呈していたが、意外や意外、沖波止の代表格の和田防波堤だけが、エアポケットの如く釣果があがらない大異変が生じた。

大勢の釣り人が訪れても、青物の回遊は薄く散発的で、場所もピンポイントでしか釣れない。サビキ釣りに至っては、小アジはほとんど釣れず、10月半ば以降は小サバもイワシすらも厳しくなり、現地調達でのノマセ釣りもできない状態になった。昨年まで釣果情報を賑わせていた常連達もお手上げ状態で、「アカン、また空振りや」、「今年はどないしたんやろ……」と嘆きの言葉がつい口に出てしまう。
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私(筆者)も10月の釣行は三連敗。初回こそイワシをエサにしたノマセ釣りでサゴシのバラシがあったものの、後2回はサビキ釣りで小サバやスズメダイに遊ばれて大惨敗。しかし私は諦めきれず、和田防はこんなもんじゃないと、意を決して11月20日、釣行を決めた。
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河内渡船の始発便で渡堤
朝4時過ぎに老舗の河内渡船に到着したが、10月の賑わいは失せ、店内はがらんとして寂しい。船長にウキサビキの釣況を聞くと、「午前中は釣れてへんね。夕方に西の赤灯台の辺りだけで、ちょこっと……」と、聞くほうも言うほうも弱気にさせられる第一声。
「数は減ってきたけど、青物はテトラ沖向きの何処でも、新波止でも、ポーアイ赤灯でも、おるのはおるんよ。ところが小アジが釣れへんから、アジ買ってきてノマセやってる」と、希望があるのかないのかよくわからない話。
5時の始発便も乗船者は10人余りと、晩秋の週末とは思えない寂しい出足。

遠投ウキサビキ釣りのタックル
あわよくばノマセ釣りもしたいと考えていたので、まずは「出っぱり」の船着場で下りて、そこから西側に移動して釣り座を構えた。他の渡船利用の先客も少なく、波止はオフシーズンかのような閑散とした状況の中、夜明け前に遠投ウキサビキ釣りの準備にかかる。
タックルは5.4mの磯ザオ5号にミチイト5号を巻いたスピニングリール、飛ばしウキは中通しのフロートウキ20号を選択した。クッションゴムを介して下に7号バリにハリス4号のデカアジ対応の太いハリスのサビキを接続し、その下にカゴテンビンをセットする。

テンビンの先にも色めの大人しいハリス3.5号のスキンサビキをセットし、サビキバリの一部には大サバやデカアジの食いがいいイサザ、ハゼコといった小魚のエサと、マイクロベイトに似せたリアル仕様のワームを刺してアクセントにした。

午前中は大サバ1匹のバラシだけ
夜明け直後から、内向きにサビキ仕掛けを遠投して釣り始めたが、全く反応がない状態が延々と続く。周りではルアーマンがサワラ・サゴシ、フカセ釣りの人は良型の波止グレ、シラサエビのウキ釣りの人はメバル・ガシラと、そこそこ釣果があがっていて、魚の活性はいいようだが、私はカヤの外。アジを買って持ち込んだノマセ釣りの人も不発で、お互い慰め合うばかり。
時間だけが過ぎ、夕方の時合いまで時間をつぶしているだけの状態になったが、11時半ごろに突然ウキがズボッと沈んだ。少し待って食い込みを確認してから巻き上げ始めると、グングンと強い魚の引きがサオ全体に伝わってきた。ついにきたかと慎重に寄せてくると、期待通りの大サバが海面に姿を見せた。
このワンチャンスを逃すまいと慎重を期してタモ網を手にしたが、大サバならではの海面での横走りに翻弄されたあげくに、タモ入れ直前で痛恨のバラシ。逃がした魚は大きいとは正にこのことだ。
午後からサバ&アジの時合い

午後からの釣りは、船長の言っていた西の赤灯台辺りに釣り座を移動し、夕マヅメの狙いに切りかえることにした。13時の便では夕マヅメ狙いや半夜釣りの人が多く渡ってきて、波止上に賑わいが出てきたが、その中で1人の常連の姿が目に留まった。
遠投カゴテンビン釣りが得意で、何度も釣果情報に掲載された凄腕のこの人がこの場所に訪れたことで、私にもチャンスはあると前向きな気持ちになったが、始めたのは期待外れのサヨリ釣り。常連は軽やかにサヨリを次々と釣りあげ、腕前のよさを見せてくれたが、遠投ウキサビキ釣りの参考にはならない。手本にしてあやかろうという思いは早々に崩れ去った。
散発的にガシラが掛ったものの、気持ちは晴れない。ところが14時半を過ぎたころ、近くの釣り人が大サバを釣り上げて、状況は一変した。常連も遠投カゴテンビン釣りに転じ、パタパタッとデカアジの釣果を重ね始めた。私も気合を入れ、手返しも繰り返すがアタリはない。うらやましがる私の視線に気づいたのか、「タナが合ってないんちゃうか?」とアドバイスを送ってくれた。
しかし、タナはガシラが掛かる底近くにセットしていて間違いないはず。内心焦り始めた。

「超遠投」で大サバ2匹を捕獲
「ワシらの分がなくなりますやんかあ」と大サバ中心の周りの釣り人から言わせるほどに、常連だけはデカアジの釣果を重ねていく。エサ付け、タナ、タイミングと、何が違うのかと常連の一挙手一投足に目を凝らすと、大きな違いに気が付いた。常連の手本の答えは「超遠投」。ウキの場所が常連は私よりもさらに遠かった。魚の群れは相当沖のほうに回っているようだ。
ならばと、まきエサカゴを1サイズ小さくし、その分アミエビをきつく詰めることで、サオのコントロールがしやすい遠投重視のタックルにマイナーチェンジし、常連と同じ距離の沖に投げ入れると、これが正解。数投目にウキがズボッと沈み。ほどなくしてサオ先から強い引きが伝わってきた。
大サバの魚信と確信し、今度こそと慎重に海面まで寄せてきて、午前中のバラシの反省から、今度はタモを使わず抜き上げを試みて成功。体長こそ38cmだが、丸々と太った魚体の見事な大サバをようやく仕留めることができた。

「今日は始まりがえらい早いな」と常連の声が聞こえてくる。15時台で夕マヅメには早いが、時合い到来とみて間違いない。活け〆・血抜きを急いで済ませて釣りを再開すると、すぐさまウキがズボッと沈んだ。
デカアジ2匹に小アジも追釣
16時前、今度はウキがボコボッと動き、寄せてくると今度は底に力強く潜るかのような魚信。大サバとは違う魚だと感じつつ、デカアジと小アジのダブルヒットを海面で確認し、そろりと落ち着いて抜き上げた。その後も赤灯台周辺の釣り人達は大サバ、デカアジの釣果を重ねていく。朝に船長から聞いたとおりの釣況を目の当たりにして、場所を移動して正解だったと感謝しきりだ。

アタリが小休止したところで、「1匹だけやけど、持って帰って」と、何と常連からデカアジのおすそわけ。これも釣り場での一期一会のご縁だと、ありがたく頂戴した。
程なくして次の群れが到来し、私を含め4人がほぼ同時にヒット。全員がデカアジを仕留めた。
最終釣果
この後、小アジを追加したところで日暮れとなり納竿。常連からプレゼントされた1匹とは別に、自力で釣った最終釣果は大サバ38cmまで2匹、デカアジ23cmまで2匹、小アジ3匹、ガシラ1匹となった。和田防の風物詩、遠投ウキサビキ釣りを満喫し、17時45分の迎えの便で波止を後にした。

帰り際に船長からは「釣れてよかったな」と、丸一日の釣りの疲れも癒える労いの言葉を貰った。釣果は鮮度も食味も抜群の食材として、夜遅くの食卓のメインを飾った。
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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>
▼この釣り場について河内渡船
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