釣り好きなら水の中の生物に一定の興味を持っていることだろう。ただ、水中の事は意外と判明されていないようだ。

今回は、興味深い海の生き物について紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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不老のクラゲ

ベニクラゲというクラゲをご存知だろうか。日本にも数種類がいるとされるベニクラゲだが、なんと老衰で死ぬことがないとされる。厳密には老いていくのだが、ある程度のところで若返ってしまうのだ。そんな事があり得るのかと思うが、実際に水槽実験において複数回の若返りが確認されている。

このクラゲの研究はまだまだ発展途上であり若返る際の遺伝子の情報など多くのことが研究されている。もちろん人類の夢の一つでもある不老不死への大きな一歩になる可能性がある。

意外と知らない海の生き物のコト 深海生物が水圧で潰れない理由とは?
クラゲ(提供:pixabay)

寿命という概念

以下余談だが、原核生物は基本的に皆寿命という概念はない。というか多くの動物以外の生物には寿命による死はない。我々の生活で目にする生物の多くがいずれは死ぬために、死は当たり前という感覚があるが、死は進化と引き換えに獲得したものであり、寿命のある生物の方が少数派である。

ちなみに原核生物というは分かりやすく言えば菌のことである。「あの世」や「死後の世界」なんて言葉もあったりするが「この世」の生物の多くには無縁の概念なのだ。もっとも寿命がないだけで食べられたり環境が合わなくなったりすれば死ぬため、不死身ではないということは伝えておきたい。我々の常識は他の生き物の視点では非常識なのかもしれない。

深海生物はなぜ潰れない?

よく水族館でカップ麺の容器が圧力で小さくなる模型が置かれている。実際、水深1000mで100気圧。地上の100倍の圧力が掛かる。そんな高水圧下においてなぜ生き物が潰れないのか?答えは、簡単に言うと空気がないから。である。水圧が高かろうと、潰れるのは空気だけで水や脂は潰れない。だから仮に人の体から空気を完全に抜くことができれば、深海でも潰れないのだ。

実際深海魚は空気を抜き水で体を満たしている。深海魚がゼリーっぽいというかブヨブヨしているイメージをお持ちの方もいると思うが、それも体内に水を沢山取り込み空気を抜いた結果である。また深海魚は浅い所の魚と異なり浮袋の中を空気でなく脂で満たしているのは同様の理由。空気では潰れてしまい浮袋としての効果を発揮できないなからだ(浮袋そのものを捨てた魚も多い)。

殻で対抗する種も

その一方で水圧に真っ向から対抗している生物もいる。それはザリガニやカニといった身近にもいる甲殻類だ。彼らは水圧にも耐え得る強靭な殻(外骨格)を獲得することで深海での生活を可能にしている。

中にはアルミニウムを纏うものもいるそうだ。

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タカアシガニ(提供:PhotoAC)


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外洋は例えるなら砂漠?

釣り人たるもの、なるべく人のいないスレていないポイントを探すものだろう。そういった意味では沖合にはロマンがあり、それを叶える船釣りにファンが多いのも頷ける。では、釣り船で一般的に狙う沿岸域を飛び出し遥か外洋はどうだろうか。

さぞや素晴らしい海が待っているかというとそうでもなく、陸地で言うならば砂漠地帯のようなものなのである。

意外かもしれないが、よくよく考えれば理由は単純。小中学校で学ぶレベルの理科で「生態系ピラミッド」と言う言葉はご存知だと思う。あれのスタートになる植物が外洋には少ないからだ。外洋のほとんどは水深が数千mの世界。海藻(海草)が生えることができず、生き物の棲家が少ない。さらに陸地由来の栄養も外洋にはほとんど届かず、プランクトンの発生も僅かなものになってしまう。

ピラミッドの基盤は僅かなプランクトンに託されることになるが、その基盤が僅かだと上はどんどんか細くなってしまう。故に外洋は砂漠に近しいものになってしまう。

また偶然にもそれらプランクトンも潮や風に流されてプランクトンの濃い所と薄い所に分かれる。まるで濃い所はまるでオアシスだろう。

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外洋は砂漠?(提供:PhotoAC)

産卵と外洋

大潮の満潮時に産卵する魚などがいるが、実は外洋が砂漠なのと関係があったりする。

満潮時に放たれた卵や稚魚は引き潮に乗り沖合に向かう。これには分布を広げたりする役割もあるのだが、自己防衛力の低い卵や稚魚の状態で敵となり得る他の生き物の多い沿岸から敵の少ない外洋に行くという側面もある。

外洋まで逃げ切れた卵や稚魚の多くは外洋に点在するオアシスに遭遇できずに短い一生を終えるのだが、運よくオアシスに流れ着いた個体は成長し沿岸に帰ってこれるという仕組みになっている。一見効率が悪いようにも思えるが彼が絶滅せずに生きているのは、それが正解だからに他ならない。

ちなみにここでの正解というのは単純計算でメスが生涯に大人になる個体を2匹以上産んでいるということ。人の合計特殊出生率と同じ。2なら両親から2匹の子が大人になる(新たな両親になれる)ため個体数は横ばいを維持できる。

だいぶ話が逸れてしまったが外洋には実はあまり夢がないのだ。もっとも魚自体はスレていないため群れとかに当たれば大釣りができるはずだが、一般人がそんなEEZや公海みたいなところで釣りをする機会はそうそうないだろう。

以上で計4回に及んだ海と海洋生物に関するコラムを完結する。説明が長くなり過ぎずないようにしつつも分かりやすくと思って執筆したが、私の説明力不足と文才のなさ故に難解なところも多々あったと思う。そんな中読んでくださった方々に感謝致します。


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<永井航/TSURINEWSライター>

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