だしの素になる魚はカツオだけじゃないってっ知ってましたか?我が国では様々な魚から様々な「節」が作られています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
注目を集める「牛深雑節」
多島海と緑の島のコントラストが美しい、熊本県が誇る風光明媚な観光地・天草。その最南端にある天草市牛深で、近年日本中のプロの注目を集めている食材があります。
それは「牛深雑節」。イワシやアジ、サバなどといった青魚を茹でて乾燥し、鰹節のように仕上げたものです。

雑節は鰹節と同様に薄く削り、だしを取るなどの利用法があります。各地の港町で雑節は作られていますが、中でも牛深雑節は地場のきれいな海水で茹で、自然乾燥するなどのこだわりがあり、料理人からの評価が高いといいます。
このこともあり、天草市は雑節の生産量が全国一位なのだそうです。(『うまみも香りも抜群 熊本が日本一!大注目の「雑節」の魅力に迫る』熊本放送 2022..5.22)
いろいろな雑節
雑節とは簡単に言えば、カツオ以外の魚で作られた「節」のことです。
いずれも鰹節と比べると知名度は大きく下がりますが、そのなかで比較的知られているのはおそらく「鯖節」でしょう。脂ののりがあまり良くないことで釣り人からの人気が低いゴマサバを主要な原料としており、これでとった出汁は青魚特有の風味が強く、うどんなどの汁に用いられます。
このほか、特に東日本で知られるのが、マルソウダを主な原料とする「宗田節」。血合いに由来する強いコクと僅かな渋みがあり、関東風のそばの出汁の素としてたいへん重要です。

全国に産地の点在する「鰯節」は、比較的脂が乗りにくいと言われるウルメイワシが主原料で、旨味が強く味噌汁や煮物など家庭で活躍します。
これらのほかにも、ムロアジで作る「鯵節」も地域によっては珍重されます。
どんな魚も雑節になる?
南九州では、キハダマグロで作られる「鮪節」も存在するそうです。
しかし、節になるのは青魚だけではありません。例えば北海道では、サケを使って作る「鮭節」が存在しています。

また、サク取りして削りやすくした「節」に加工するほどではなくとも、丸のままの魚を茹でて干した「煮干し」の原料となる魚は大変多いです。その中には、一般的に食用にされないネンブツダイやヒイラギなどの未利用小魚を使った煮干しも存在しています。
毒を持たない限り、どんな魚でも「節」に加工することは可能であると言えるでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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