アナゴは初心者でも手軽に楽しめ、食べてもおいしい魅力的なターゲットです。今回はそんなアナゴ釣りの基礎知識と、仕掛けへの工夫やアワセ方といったコツ、おいしい食べ方を紹介していきます。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

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アナゴの生態・食性

アナゴにも多くの種類がありますが、一般的に釣りの対象となるのはマアナゴです。生息域は北海道~九州までの近海。食性は肉食でゴカイ類や、甲殻類、魚類など様々な生物を捕食し、死んだ魚も食べる腐肉食性でもあります。基本は底にいるエサを食べているので釣りでもタナは底を狙います。

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マアナゴ(提供:週刊つりニュース関西版APC・町田りき)

産卵はまだ謎に包まれている部分が多いものの、ウナギと同じく黒潮上流の南方海域へ産卵回遊を行い、稚魚が黒潮に乗って日本近海に流れてくるのではないかと推測されているようです。

アナゴ釣りの時期

アナゴは一年中釣れる魚ですが、ベストシーズンは一般的には夏と言われています。ただ水温が高すぎると活性が下がるのか食いが悪くなるケースも多く、梅雨時期あたりが特にいい時期です。

冬も良い時期

冬も地域にはよるものの、天ぷらに最適なメソといわれる新子サイズが初冬頃に接岸し数釣りが楽しめます。冬のアナゴは脂が乗っており、さっぱりとした夏のアナゴとはまた違う味わいがあり美味しく、また釣り物の少ない時期に狙える好ターゲットです。

アナゴの釣れる時間帯

「穴子」の名の通り昼間は海底の穴に潜ったり、障害物に隠れたりしていますが、夜になるとエサを求めて行動を開始します。そのため釣りの時間は日没前後から。時合いのハッキリしている魚で、釣れるときはアタリが連発し、時合いが終わると急に沈黙してしまうことも多いです。

時合いは一般的に日没から2時間程度で、日没直後は特に食いが立ちます。ただ、深夜に連発したり潮にも影響されることもあり必ず当てはまるわけではありません。

アナゴを狙いやすい場所

狙う場所は、底質が砂泥地であることが第一条件。ここにアナゴの移動ルートとなる壁やカケアガリなどが絡む場所を選びましょう。

港湾部の岸壁であれば、足元の壁際は間違いなく鉄板ポイント。岸壁近くにはカケアガリが存在していることが多いので、併せてチョイ投げでも探るといいです。

また、砂浜に突き出した突堤なども魅力的なポイントになります。地形変化という要素はもちろんのこと、浜からの釣りと違って遠投の必要がないので手軽に楽しめます。

根と砂泥地の境目もまた、実績の高いポイントのひとつで、ゲストにカサゴなどの根魚が交じるような砂地の場所も狙ってみると面白いです。ただし、根掛かりが頻発するような場合は、手返しが悪くなるので避けた方が無難でしょう。

アナゴ釣りのタックル

アナゴ釣りに使うタックルを紹介します。

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アナゴ釣りタックル図(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

アナゴ釣りのロッド

竿はルアーロッドから投げザオ、船ザオ、イカダザオ、果てはセット物の安価なサオまで多彩なものが流用可能です。中でもアタリを取ることができる軟らかい穂先の竿がオススメです。アナゴ釣りは足元で連発することもあれば、チョイ投げにアタリが集中することもあるので、できれば複数の竿を用意しその日のパターンを見極めるといいでしょう。

アナゴ釣りのリール

リールはスピニングリールを使用します。ミチイトはナイロンなら3号、PEラインなら1号程度を巻けるリールを用意しましょう。ただし、PEラインはアナゴに巻きつかれるとほどくのが大変なので、先端にナイロンやフロロカーボンラインの4~5号をリーダーとしてセットする必要があります。また、岸壁直下の釣りであれば両軸リールも使用できます。

アナゴ釣りの仕掛け

アナゴ釣りの仕掛けは中通しやテンビン仕掛けなど色々な仕掛けがありますが、いずれも掛かったアナゴが絡むと仕掛けがダメになるので、絡み防止の対策を図るのがコツです。オモリの重さは潮の流れや水深にもよりますが、おおむね2~15号程度。軽いほうがアタリを取りやすいので、できれば軽いオモリを使うといいでしょう。

ハリスは2~3号前後で、やや太めのものが安心です。ハリは丸セイゴやチンタメバル、流線などの10号前後を使用するエサに応じて使い分けます。頻繁にハリをのまれる場合には、ネムリバリも効果的です。

仕掛けの絡み対策

市販のアナゴ仕掛けは、ハリスにチューブやビーズを通して絡み対策を図っているものが多いですが、最も効くと感じる対策は1cmの超ショートハリス。ハリスの長さで食いに差が出るケースは極めてまれで、これなら魚体を1周できないので、巻きつくことはありません。

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ローリング対策のためにヨリモドシを付ける(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

ただし、アナゴが掛かった際のローリング対策のため天秤仕掛けであればヨリモドシ(サルカン)が必須となります。結束の簡単なハリス止めを使うと便利です。

天秤仕掛け

天秤は両天秤や片天秤が使われます。アナゴは意外にもエサ取り上手で、気がついたらエサがないケースも多く2本バリも有効になります。

ただ、絶対に避けたいのが投げ釣り仕掛けなどの枝バリ式のもの。これらは高確率でミキイトに絡みつき、トラブルの原因となります。

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2本バリ仕掛けの工夫例(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

2本バリを使う場合はショートハリスを使用し、両天秤や片天秤+オモリの下にハリを1本など工夫するといいでしょう。

中通し仕掛け

中通し仕掛けはアタリがダイレクトに伝わるのがメリットです。オモリは、流されにくいオタフク型のオモリがよく使われます。こちらもハリスが長いと仕掛けの消耗が激しいのでショートハリスが有効です。

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仕掛けの一例(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

ブラクリ仕掛け

足元を狙う場合には、市販のブラクリ仕掛けも使いやすいです。置き竿で狙っても、海底を小突きながら探り歩くのも効果的です。

ケミホタルも有効

アナゴは光るものに反応するため、ハリスにケミホタルや夜光ビーズを付けるのも有効です。

アナゴ釣りのエサ

動物性タンパク質のエサなら広く好むアナゴですが、状況によってアタリが出るエサが違うこともあるので複数種類用意していくといいでしょう。出す竿ごとに違うエサを付けて、反応の良いエサがあればそれに揃えるのも効果的です。

イソメ類

アオイソメやイワイソメ、ジャリメなどの虫エサはポピュラーなエサとなります。ただ他の魚も好反応を見せるエサなので、エサ取りが多い場合は他のエサを使う方がいいでしょう。

付け方は通し刺しか縫い刺し。アオイソメやジャリメなど小さいものは一匹掛け、イワイソメなど大きいものは切ってタラシは3~4cmほど取ります。またアピール力を高めるために房掛けするのも効果的です。

魚の切り身

サンマやサバなどの切り身も、嗅覚に優れたアナゴにアピールできるエサです。塩に漬けてエサ持ちを良くして使うと効果的ですが、アミノ酸系の添加材で締めるとより釣果アップが期待できます。

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サンマの切り身は匂いも強く有効な場面が多い(提供:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

付け方は短冊状に切り、縫い刺しやちょん掛けにして使います。

イカの切り身

エサ持ちがよく、エサ取りが多い状況に強いです。付け方は魚同様に短冊状に切り、縫い刺しやちょん掛けにします。

アナゴの釣り方

釣り方は置き竿でアタリを待つ方法が一般的ですが、食い込みが悪い場合は軽く底を小突いて誘いを入れるのも効果的。複数の竿を用意し、足元とチョイ投げ、近投と遠投など、その日の当たりポイントを探ります。アタリは小さな前アタリがあることが多く、その後居食いして本アタリに繋がるイメージです。

しばらくエサを食べさせて、アワセのタイミングを計ることが重要になります。アナゴの口は意外にも硬いので、しっかりアワセを入れて確実にハリ掛かりさせましょう。そうすればハリをのまれることもなく、仕掛けのロスも最小限に抑えることができます。

時合いともなれば複数の竿に同時にアタリが出ることも珍しくありません。竿の数はあまり欲張らず、自分で面倒を見ることのできる範囲内にとどめましょう。置き竿の場合は突然のアタリで竿を持っていかれるケースもよくあるので、強く引けばイトが出るようにしておくといいでしょう。

中にはアタリもなくエサだけ取られるケースもあり、エサが残っていても古くなれば食いは悪くなります。エサの状態は定期的に確認し、状況に応じて新しいものに交換することが釣果を伸ばす秘訣です。バラシが頻発する場合はハリ先が鈍っていることも多いので、エサを交換する際に確認しておきましょう。

アワセのコツ

アナゴをエサ取りが上手く、確実に掛けていくには適切なアワセが重要です。竿先がピクリとしたり、波でフワフワと動く竿先が少し違う動きをするなど、エサの端を咥えて食べ始めた際の前アタリをまずは見逃さないようにしましょう。

前アタリを捉えたら竿を手持ちにしてテンションを掛けていると、引っ張っていくアタリへと変わります。この時にアワセても掛からないことが多く、引っ張られた分、竿先を送り込んでいきましょう。

すると、引きが止まる事が多くエサを居食いしているか、エサを離したかのどちらかです。ここでテンションを掛けてグイグイとした引き込みがあればしっかりとアワセます。エサを離している場合も少し待っているとまたエサを食べることも多いので、その場で待ちましょう。

抜き上げ後の処理

ヒットすれば抜き上げて一件落着。といいたいところですが、実はここからが腕の見せ所。釣り上げた魚をそのまま地面に下ろす人が多いですが、アナゴの場合は絶対にNG。地面に下ろせばアナゴは転げ回り、緩んだミチイトに巻きついてしまいます。

ハリスを短くしても、ミチイトに巻かれては意味がありません。そのため抜き上げたら、まずはミチイトを竿と同じ長さだけ残して巻き取る。続いて、魚をぶら下げたまま天秤やオモリをつかみ、その手で竿のグリップも一緒に握り込むといった動作をすれば、もうアナゴが絡みつくものはなくなるはずです。

針外しを用意しておく

またピストル型のハリ外しもアナゴ釣りには活躍します。先端のフック部分をハリに引っ掛け、引き金を引けばハリが外れてくれるので、そのままバケツやクーラーの中に落とせば、魚には手を触れる必要がありません。

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アナゴ釣りにあると便利な道具(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

使い方のコツは、ハリ先が下を向くようにハリス側を下にしてイトを張ること。ただし、ハリをのまれた場合には使えないので、その際は速やかにハリスを切るのが正解です。

これらの動作をスムーズに行うため、道具は全て手の届く範囲にそろえておくことが大切です。短い時合いを逃さないためにも、釣り座の整理整頓を心がけましょう。

アナゴの捌き方

釣ったアナゴは首の後ろを切って締め、ぬめりを塩で揉むか、酢、熱湯をかけるなどしてしっかり取ります。その後捌きますが、アナゴを捌くのはハードルが高そうだと思う人は多いでしょう。

しかし、やってみると意外にできるもの。捌き方の詳細は下記ページで解説していますので、参考にしてください。


やってみたら意外と簡単な『アナゴの開き方』 習うより慣れるが近道 - TSURINEWS

アナゴの料理

天ぷら、白焼き、煮アナゴなど何でも美味しい魚です。中骨をカリッと揚げた骨せんべいも最高のおつまみになります。また、たくさん釣れたときは、ミリン干しにすると保存が効きます。しょう油とミリンを同量合わせたものに30分ほど漬け込み、天気のいい日に数時間干すだけ。

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たくさん釣れたときは干物がオススメ(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

普通に焼くだけではなく、ご飯と一緒に炊き込んでアナゴ飯、水で戻して煮アナゴなど多彩なアレンジも楽しめます。この煮アナゴを使ったお茶漬けも美味しいのでオススメです。

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煮アナゴのお茶漬けは絶品!(提供:週刊つりニュース中部版APC・浅井達志)

アナゴの血は毒がある

アナゴの血液には、ウナギと同様にイクシオトキシンという毒素が含まれています。これはタンパク質性の毒なので、熱によって無毒化しますが、血が目や傷口に入ると炎症を起こすことがあるので、調理の際には注意しましょう。

これがウナギやアナゴを刺し身で食べてはいけないといわれる理由ですが、弱毒のためアナゴの刺し身を提供している店は意外にも多くあります。テッサを思わせる食感とほのかな甘みはなかなかのもので、気になる人は一度店に足を運んでみるのもいいかもしれません。

夜釣りは安全対策も万全に

暗い中での夜の釣りは思わぬ危険が潜みます。また、釣り場周辺の住民に対しても、昼間以上に配慮する必要があります。

ライトの用意やライフジャケットの着用など安全対策を万全にして、ルールやマナーを守りながらアナゴ釣りを楽しみましょう。


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<週刊つりニュース中部版APC・浅井達志/TSURINEWS編>

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