コロナ禍以降、釣りはアウトドアで行う安全なレジャー・スポーツということで、あらためて多くの人から脚光を集めている。中でも管理釣り場のエリアトラウトフィッシングは、手軽に安全に、さらに快適に釣りを楽しめるということで注目度が高い。

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夏に楽しむ管理釣り場

夏にトラウトフィッシングを楽しむことができる管理釣り場の特徴は、暑い夏でも冷たい水を確保できることだ。4月から12月が営業期間の、私が勤務する長野県・平村の平谷湖フィッシングスポットを例にとって紹介したい。

【2022年】夏のエリアトラウトを楽しもう おすすめルアーと使い方
高原にあるエリアでは夏でも快適(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

平谷湖は標高約1000mの高原に位置し、都市部とは気温が5~10度低いため、川からの水を取り入れて気温や水温が高くなる夏でも楽しめる。避暑を兼ねてのBBQやコテージでの宿泊、魚のつかみ取りといったアクティビティも、釣りとともに楽しめる。

トイレはもちろん、休憩できるレストハウスや食堂、足元も整備されていて、女性や子供、シニアの人も安心して利用できる。またレンタルタックルを用意し、ルアーなどを販売する売店、無料で利用できる各種の釣り教室もあって、初心者から利用しやすい。

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手軽に楽しめる(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

今回は、管理釣り場のスタッフとして、またインストラクターとしてほぼ毎日、初心者向けのルアー教室を行ってきた経験を生かして、その楽しみ方と攻略法を紹介したい。もうすぐ夏休みが始まる。1人でも、また家族とでも、管理釣り場で初めてのルアーフィッシングを、ぜひ体験してみてほしい。

初心者にピッタリ

なぜ初心者の方に管理釣り場での釣り(=エリアフィッシング)をおすすめするのかというと、定期的に魚の放流がされていて、釣り場にはすでにたくさんの魚がいるからだ。自然のフィールドではまずは魚を探すところから始まるため、知識や経験値が求められる。知識や経験のない初心者でも、気軽に始められるのがエリアフィッシングなのである。

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夏休みのレジャーにもおすすめ(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

放流とは、養鱒場で育ったトラウトが釣り場に放たれること。平谷湖では毎週土、日、祝日に行っている。

特に放流直後のトラウトは、初めて見るルアーの派手な色や、早くブリブリと泳ぐアクションに強い興味を持ち、ルアーに果敢にアタックしてくる。そんな釣りやすい放流魚を狙えることも、エリアフィッシングをおすすめする理由でもある。

管理釣り場のタックル

エリアフィッシングの魅力は、タックルが極めてシンプルであること。ロッドとリールを用意する。ガイドにラインを通し、先端にスナップを結んでルアーを付ける。イトを結ぶのは1カ所のみだ。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

そんな究極ともいえるシンプルさが、エリアフィッシングを初心者におすすめしたいもう1つの理由だ。それではもう少し詳しくタックルの説明をしてこう。

ロッド

エリア用スピニングロッドの6ft前後。硬さはULなどが一般的で、極端に硬いものや軟らかいものではなく、適度にハリのある標準的なものがおすすめ。

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6ft前後のロッドに小型のスピニングリールの組合わせが一般的(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

リール

スピニングリールの1000~2000番クラス。廉価なセットについているリールは、壊れやすかったりトラブルが起きやすかったりすることもあるので、避けた方がいい。

リールのハンドルの左右の取り付け位置も重要だ。これから始める人は、キャストする手と反対の手で巻くようにハンドルをセットすると上達が早い。例えば、右利きの場合は右投げ左巻きにセットすることをおすすめする。

ライン

初心者の人にはナイロンライン3lb(約0.8号)の透明カラーがおすすめで、スナップに直結する。PEライン、エステルラインのようにリーダーを結ばなくていいので、初心者におすすめだ。

スナップ

ルアーの接続にはスナップを使う。ルアー交換の度に結び直さなくていいので、ルアーチェンジが素早くできる。こまめにルアーローテーションをすることにより、釣果向上につながる。

サイズは00~000番などの小さなサイズを使う。ルアーフィッシングの中でも、最も小さく軽いトラウトルアー。それに合わせたサイズを使ってほしい。

スイベル付きスナップはそれ自体が重く、ルアーのアクションを妨げてしまうのでNGだ。

ラバーネットなど

ラバーネットは全長110cmぐらいの、柄の長いものを標準と考えてほしい。柄の短いタイプはコンパクトで持ち運びに便利だが、ネットインしづらくバラシの原因となる。

ネットの素材は、キャッチ&リリースが基本のエリアトラウトでは、魚に優しいシリコンラバー製を使ってほしい。玉網やクレモナ製は魚を傷めやすい。

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ランディングネットは必須(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

そんなシリコンラバー製のネットでも、太陽が照りつける日はネット部分が熱くなっている。魚の火傷を防ぐために水に濡らしてからネットインしよう。

また、魚の口の奥にフックが刺さることもあり、ペンチ類の携行は必須である。少し慣れてきたら、魚に触らず素早くリリースができるリリーサーも用意しておくといい。

その他

熱中症予防と頭部の保護のための帽子や、目をフックや紫外線から守るアイウエアも必需品だ。偏光グラスを使うと水中の魚が観察しやすくなり釣果向上にもつながる。この他、天候の急変時や肌寒いときにも羽織れる通気性のいいカッパは、車などに常備しておいてほしい。

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リリーサーがあればスムーズにリリースできる(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

レンタルタックル

初めて体験する人や、手ぶらで来た人にも楽しんでもらえるよう、多くの釣り場でレンタルタックルを用意している。

購入を検討している初心者で、アドバイスをくれる人がいない場合などは、まずはレンタルタックルを使ってから購入することをおすすめしたい。

おすすめルアーを紹介

スプーンやクランクベイト、ミノーがエリアフィッシングの代表的ルアー。また夏場を中心にポッパーなどのトップウォータープラグも。そんな数多くの種類の中から、初心者におすすめしたい、ぜひ用意してほしいルアーをシーン別に紹介したい。

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軽装で楽しめるのも魅力(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

放流はスプーンを使え

まず1つ目は、魚を最も釣りやすい放流シーンでのおすすめルアー、それがスプーンだ。中でも放流直後に使う放流用スプーンがイチオシだ。

カラーは通称、オレ金(表オレンジ/裏金メッキ)や赤金(表赤/裏金メッキ)と呼ばれる派手な色を用いる。

ウェイトは2g前後で、状況に応じて1.5~3g台まで使う。リトリーブスピードは、標準を分かりやすく「1秒間にリールハンドルを1回転」とすれば、放流直後の場合「1秒間に2回転」の感覚で速めに巻く。

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スプーンは放流時に威力を発揮する(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

レンジ(=タナ)は、スプーンが着水したらすぐに巻き始めるイメージでOK。放流されたばかりの魚たちは、初めて見るルアーに対して強い興味を抱く。より派手なカラー、速い動き、ブリブリと強い波動で泳ぐ、そんな刺激の強い物体にためらわずアタックしてくる。

リトリーブスピードが適正ではなくても、多少の巻きムラがあったとしても、勢いよくアタックしてきてくれるので、アワセの動作がうまくできなくても、オートマチックにフッキングしてくれることも多い。そんな放流時こそ初心者にスプーンを使ってほしい。

メインはクランクベイト

放流直後は放流用スプーンで簡単に釣れていたが、時間がたつにつれ反応が悪くなる。一度くわえて危険を感じたのか、見飽きて興味を失ってきたのか、魚も学習して簡単には釣れなくなる。

そこで、反応が悪くなってきたシーンで使いたいルアーがクランクベイトだ。クランクベイトは適正スピードの幅が広いため、ゆっくり巻いても速く巻いてもいい。また、ハンドルを巻いているとブリブリッと動きが手元に伝わり、使っている感覚がつかみやすい。

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メインはクランクベイト(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

クランクベイトにはいくつかのタイプがあり種類も多いが、夏のエリアでおすすめのクランクベイトを4つに分類して紹介したい。

水面系クランク

夏のエリアで最もおすすめしたいのが、ハイフロート(HF)タイプの浮力の強いクランクだ(デカミッツドライ、ポッツHFなど)。水面上でのストップ&ゴーやほっとけメソッド、また、ただ巻きで引き波を立てながら泳がせる。

ここでは水面系クランクのほっとけメソッドを紹介しよう。

水面が炸裂するような派手なヒットシーンを楽しめるのは、この釣りならではでだ。

使うタイミングは表層が活発な時間帯。水生昆虫が羽化しハッチし始めると、それを捕食するために魚たちのライズが始まる。そんなタイミングや、流れる雲や周囲の山や木々により水面に影ができるタイミング。または、エサやりタイムが近づき、魚が水面を意識しだす時間帯などがベストなタイミングだ。

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クランクはビギナーにおすすめ(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

まずはルアーをキャスト。水面に着水してから波紋が消えるまでポーズさせよう。魚は「エサが落ちてきた?」と、興味を持ってバイトしてくるので、すかさずアワセを入れること。

バイトせず、見切って去っていくこともある。その場合は、ブリブリッと動かしてポーズ、興味を持ってバイトする魚を待つ、を繰り返す。

日ごろ水生昆虫などの小さくて柔らかいものを食べているトラウトは、硬くて大きなルアーをすぐ離してしまう。ひと息入れずに、すかさずアワセを入れるのがコツだ。

食わせ系クランク

食わせ系クランク(プチモカ、ちびパニクラ、ピコイーグルプレーヤー、クーガナノなど)は、サイズが小さくて、思わず「食べちゃおう!」と思わせるサイズ感が特徴だ。基本となるルアーのダウンサイズモデルであることが多く、プチ、ちび、ピコ、ナノなどルアー名でも分かりやすい。

冷水性のトラウトにとって、タフなコンディションとなる夏のエリアでは、レギュラーサイズのクランクの大きなサイズと動きによる強いアピール力が、逆にマイナスになることもある。

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ランディングはロッドを手前に引いて行う(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

そんなレギュラーサイズクランクのコンセプトはそのままに、サイズと動きによるアピールを、小さくしたのがダウンサイズモデルだ。

食わせ系クランクは水面直下から表層が得意なレンジなので、そういった面からも夏のエリアにおすすめだ。

システム系クランク

クランクベイトの基本といえるルアー(クラピーシリーズ、パニクラシリーズなど)。リップの違いでSR、MR、DRなどのタイプがあり、潜行深度とスピードの組み合わせでシステマチックに使える。使い方はただ巻くだけではなく、レンジとスピードを意識して使ってみよう。

夏のエリアでの使い方は、例えばリップが長くて潜行深度の深いDRタイプのディープクラピーを使って、例えば水面から10cmの一定の浅いタナを、一定のスピードで巻いてみよう。

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メインターゲットはニジマス(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

夏のエリアは表層が好反応な上に、DRはリップ面積が広いため、ゆっくり巻けるところがこの釣り方の要点だ。

巻くスピードが遅すぎるとフローティングなので浮いてきてしまうし、速すぎるとDRなので潜りすぎてしまう。巻きスピードにムラがあると、浮いたり潜ったりして一定のタナを巻くことができない。

水面から10cmという浅くて見える深さで使うことで、ゆっくりとした一定のスピードで巻く練習にもなる。技術を磨く上でも初心者に特におすすめしたい。

くねくね系

その泳ぎ方からくねくね系クランクと呼ぶ(ココニョロ、なぶクラ、つぶアンなど)。元祖的存在であるココニョロの名を冠してニョロ系ともいわれる。形状は一般的な丸いラウンドタイプに対して、への字に曲がった細長い形状をしている。

ラウンドタイプのブリブリと力強く動くアピールに対して、デッドスローに巻いてもくねくねとなまめかしくアピールしてくれる。他のタイプのクランクベイトで釣れなくなったタイミングで使ってみよう。

ここで初心者お助けルアーを登場させよう。「クランクベイトでも釣れなくなってきた…」、「全然釣れない……」。そんなシーンでは初心者お助けルアーを使おう。

おすすめしたいお助けルアーは、Xスティックとセニョールトルネードのふたつ。どちらも名前を聞いただけで釣れそうな名前だ。

これら2つのルアーはその名の通り、初心者にありがたい存在なだけではなく、ルアーの基本操作である「ただ巻き」が習得できるため、数あるお助けルアーの中でも最もおすすめしたいルアーなのだ。

Xスティック

全長7cmの細い棒状のルアー。シンプルな形状と、泳がせると全く動かないことに驚くが、それが特徴なのだ。使い方は、Xスティックが水面に対して30度から45度になるよう、ゆっくり巻いてくること。

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Xスティック(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

スピードが速すぎるとXスティックが水平に近い角度になってしまうので、それを目安にスピードを調整してほしい。

おすすめのカラーはレッド、オレンジ、ピンクなどの派手なカラーと、食わせのイメージでキャラメルとカラシ。一番のおすすめは、意外なところでライトグリーンだ。注意する点としては流れに弱いので、止水のエリアで使ってほしい。

セニョールトルネード

針金とビーズで作られたルアー。見たことのない形状と、くるくると回転するアクション、その都度形作る?といったことに驚くが、それが特徴だ。

【2022年】夏のエリアトラウトを楽しもう おすすめルアーと使い方
セニョールトルネード(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

使い方は、らせん状のセニョールトルネードを、くるくる回転させながらリールハンドルを巻いてくるだけ。

魚がヒットした場合は、リールのハンドルをクルリと1回転素早く巻く巻きアワセをして、しっかりフッキングさせよう。らせん状の針金が伸びてしまい、フッキングパワーが伝わらずにバラしてしまうことがあるからだ。

注意する点は、針金とビーズで作られているため、魚が釣れるたびに形状が変わりやすいので、その都度形作ることが必要だ。形作りは簡単。指にぐるぐる巻き付けるだけだ。

おすすめのカラーは、レッド、オレンジ、やまぶきと、ミミズをイメージさせるクリアなブラウンだ。

初心者お助けルアーの中には、管理釣り場によっては使用禁止となっているものある。釣り場のルールを確認のうえ使用してほしい。

釣ったら食べてみよう

トラウトはサケ目サケ科に属するサケの仲間で、代表的な魚にニジマス、ヤマメ、イワナなどがいる。冷水性の魚なので、自然界では水がきれいで冷たい川の上流域に生息している。

【2022年】夏のエリアトラウトを楽しもう おすすめルアーと使い方
親子で釣りコミュニケーション(提供:週刊つりニュース中部版・服部鱒宏)

平谷湖ではこの他にブラウントラウト、ブルックトラウト、コーホーサーモン、ロックトラウト、サクラマス、イトウなどの魚種を放流している。養鱒場で栄養のあるエサを与えられ大切に育てられて放流されるため、食材としてもとてもおいしい魚だ。

おすすめの食べ方

トラウトの食べ方は、フライ、ホイル焼き、ムニエル、南蛮漬け、くん製など、さまざまな調理法があるが、この季節の一番おすすめしたい食べ方は塩焼きだ。平谷湖ではエサ釣りで釣り上げた魚は、塩焼きにして提供もしている。

竹串に刺し化粧塩をして、じっくり遠火で焼いた塩焼きは、かぶりつけばパリパリの皮とジューシーな身のハーモニーがたまらない。塩分も補給できるうえ、ビールにも合う。BBQコーナーを予約して、グリルで塩焼きを楽しむ人も多い。

調理はいたって簡単だが、竹串の刺し方にもコツがある。

キャッチ&リリース?キャッチ&イート?

キャッチ&リリースとは釣りを楽しみ、釣った魚にできるだけダメージを与えないよう優しく、そして感謝して水に戻すこと。

キャッチ&イートという言葉もある。釣って少なからず傷つけた魚を感謝していただくということだ。

平谷湖では、ルアーフィッシングをスポーツフィッシングと考えて、平谷の自然の中で魚との対話を楽しんでほしいと考えている。ルールではキャッチ&リリースを基本に定め、チケットの種類により持ち帰り可能な匹数を決め、範囲内で持ち帰って食べていただくことも推奨している。生きのいいプリプリのトラウトが釣れたら、ぜひイートしてほしい。

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エリアトラウトのキホン 「スプーン」と「クランクベイト」の使い方

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<週刊つりニュース中部版 服部鱒宏/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
平谷湖フィッシングスポット
この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年7月22日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【2022年】夏のエリアトラウトを楽しもう おすすめルアーと使い方 first appeared on TSURINEWS.
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