魚に豊富に含まれるカルシウムや脂肪が健康に良いことは知られてきましたが、最近「血合い肉」にも良い成分が見つかりました。しかもその効能は「不老長寿」!?

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

マグロの「血合い肉」を食べると寿命が伸びる? 長寿遺伝子増加...の画像はこちら >>

マグロの血合い食べると長寿に?

神奈川県と国立研究開発法人水産研究・教育機構などのチームがこのたび、マグロに含まれる成分が、体内の抗酸化力を向上させることを確認したと発表しました。

これはマグロやカツオなど遊泳力の高い青魚の筋肉中に含まれる「セレノネイン」という成分による効果で、これを豊富に含む食材を継続的に摂食することで体内の抗酸化力が増強されるのだそうです。

マグロの「血合い肉」を食べると寿命が伸びる? 長寿遺伝子増加に関係
マグロの血合い肉(提供:PhotoAC)

実験では、セレノネインをとくに多く含む「血合い肉」で有意性が高いことも判明。これを多く食べたグループはそうでないグループと比べ、「長寿遺伝子」との異名を取る呼ばれるサーチュイン2という遺伝子が最大で1.7倍に増加したといいます。

セレノネインとは

このセレノネインは、2010年に日本の研究機関によって発見された新規化合物。マグロ類、カジキ類、サバ類などの回遊魚の血合い肉や血液に多く含まれています。

マグロの「血合い肉」を食べると寿命が伸びる? 長寿遺伝子増加に関係
回遊魚の血合いに多い(提供:PhotoAC)

その生理作用として、活性酸素の生成防止および消去、ヘム鉄の酸化防止、DNA損傷修復作用、生活習慣病の改善などが推定されており、健康増進効果に期待が集まっているのです。

なぜこんな研究が?

これまでセレノネインは、養殖のブリに注入することで流通時のヤケ(肉が傷んでしまった状態)を防ぐ目的などで利用されてきました。しかしその高い抗酸化作用に目をつけ、2021年に神奈川県主導で、人への効果を研究するチームが発足、研究を続けてきました。

神奈川県には三崎港という日本最大級のマグロ水揚げ港があり、マグロは漁業のみならず観光産業の目玉ともなっています。そのため「マグロで健康になる」という事例が発見されるのは、三崎港を含む三浦半島全域の活性化に繋げられるのではないか、という期待があるのです。

マグロの「血合い肉」を食べると寿命が伸びる? 長寿遺伝子増加に関係
解体されるマグロ(提供:PhotoAC)

また同県では年々増加する医療費の削減を目標とし、病気にかかりそうな人をそうなる前に見つけ出して対処する「未病改善」を政策として推し進めてきました。高い健康増進効果を持つと思われるセレノネインに注目するのにはそういった理由もあります。

血合い肉は味が濃い一方で鮮度落ちが早く、未利用部位として処分されてしまうことも多い食材です。今回の新知見により、今後食材としての注目度が上がっていくことになるかもしれません。

全てのサカナが【変温動物】とは言いきれない? マグロやサメは例外

250年前と評価が大きく変わったサカナたち 出世頭はマグロ?

深海魚『アカマンボウ』が打ち上げられ話題 身質はまるでマグロ?

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

The post マグロの「血合い肉」を食べると寿命が伸びる? 長寿遺伝子増加に関係 first appeared on TSURINEWS.
編集部おすすめ