ブラックバスなどの外来魚駆除において活用される「電気ショッカー」。高圧電流を流して魚にダメージを与える手法ですが、保護すべき在来魚も殺してしまうのではないかと不安になります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
電気ショッカーによる外来魚駆除
宮城県栗原市にあり、湖内での釣りも盛んな花山湖。ここで先月、電気を用いたブラックバスの駆除活動が始まりました。
ブラックバスの駆除は、花山湖における重要な湖産資源であるワカサギの保護のために実施されています。駆除にあたって使用するのは、宮城県が所有する電気ショッカー装置。ワイヤーから300ボルトもの電気を水中に流し、ブラックバスを捕らえます。

同県にはすでに、電気によるブラックバス駆除で実績のある伊豆沼・内沼という湖沼があり、そこで駆除を行っている環境保全財団の職員の説明を受けながら進められました。
伊豆沼では、この方法で2000匹ほどいたと見られているブラックバスの成魚が、50匹程度にまで減ったと推測されています。今回の花山湖でも、1時間余りで35匹のブラックバスを駆除できたそうです。
電気ショッカー使用はポピュラー
今回のような「電気ショッカー装置を用いた外来種駆除」は、実は宮城県に限らず各地で行われています。
例えば、県内に多くのため池や湖を持つ鳥取県では2010年より、鳥取砂丘近くの多鯰ケ池で電気ショッカーボートを使った外来魚駆除を実施しています。こちらでも効果を発揮しており、徐々に外来魚の個体数が減ってきているといいます。

また海外でも、アメリカ・ケンタッキー州で外来種問題を引き起こしているハクレン等コイ科魚の駆除に、電気ショッカーが用いられています。
在来魚に影響はないの?
電気ショッカーは比較的高価な機器で、使用には専門の知識が必要であり、また手間もかかります。それでも外来魚駆除に電気ショッカーが用いられるのは「在来魚を傷つけずに、効率よく外来魚を駆除できる」ためです。
意外なことですが、実は電気ショックを与えても、魚がすぐさま死ぬということはないそうです。

その結果、在来魚より大きいブラックバスや、コイ科の大型魚が先に気絶するため、選択して漁獲でき、環境から除去することができるのです。仮に電流の影響が強く出て在来魚が気絶してしまった場合でも、しばらくすると意識を取り戻し泳ぎ始めるそうです。
個人での使用はNG
ただそれでも、電流が強すぎると在来種を含めて殺してしまったり、また生きていても背骨が変形するなどの悪影響が出る可能性があるというので、やはり扱いには注意が必要だと言えるでしょう。
また一般的に、池や川、湖などの内水面で電気を用いた漁法を行うのは法律または条例違反となるので、許可なく個人で電気ショッカーを使用してはいけません。
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<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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