西日本の郷土料理・アイゴのゼンマイ煮。「いつか釣れたらやってみよう」と思っていたら、その「いつか」がついにやってきました。

食レポしてみようと思います。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

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アイゴのゼンマイ

磯でのウキフカセ釣りのゲストとして釣れるアイゴ。ヌメリあり、磯臭さあり、ヒレに毒あり。更には見た目があまり美味しそうではなかったり。これだけ書いてしまうと、ダメダメばっかりがそろってしまっている魚なのですが、西日本地方では好んで食されている、上品な白身が美味しい優等生な魚。更にはこの魚の内臓「ゼンマイ」は珍味として、その身よりも珍重されており、これだけを取り出して食べる人も多いとか。

残念ながら関東地方(埼玉)在住の筆者は、今までアイゴのゼンマイを食することができなかったどころか、アイゴという魚自体を見たことすらなかったのですが、釣り歴17年目、剣崎沖のイシダイ五目船にて初めて出逢うことが叶いました。魅惑の珍味、もちろん試してみようと思います。

「臭い」で有名のアイゴのゼンマイ(内蔵)煮はサザエ肝の10倍苦い?
ようやく出会えたアイゴ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

釣り場での下処理

やはり臭みをとるために、まずすべきことは船上での血抜き。ゼンマイだけではなく、刺身にして美味しい白身を上質に保つためにも必ずやっておきたいひと手間。毒のあるヒレに気を付けて確実に処理を施します。ヌメリもかなりあるので、ワニバサミ等があればこれを使うとよいでしょう。

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慎重にエラを切って血抜き(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

血抜きを終えたら、ギンギンに冷えたクーラーボックスに入れて持ち帰ります。

自宅での下処理

帰宅後台所で下処理します。毒のあるヒレに注意しつつ丁寧に包丁を入れ、ゼンマイ(内臓)を取り出す。

取り出したゼンマイは翌日の夕方まで酒に漬けておきます。

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山菜のゼンマイに似た渦巻模様が特徴(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

磯臭さ、アンモニア臭さはあったものの、予想よりもかなりマイルド。バリ(小便という意味らしい)という地方名とは程遠い印象でした。今の所、先行きは明るいです。

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酒で浸し冷蔵庫へ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

濃いめのタレで煮つける

ぬかりなく下処理したアイゴのゼンマイ。更にぬかりのない、濃いめのタレ&多めの生姜にて煮つけてみます。すると、さっきまでマイルドであった磯臭さがだんだん強くなってきました。ちょっと長め(10分程)煮こみ、器に盛って、追加生姜を加えて完成!

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アイゴのゼンマイ煮(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

立ち直れないほど苦い!?

ひとくち目の印象は……「ほろ苦い」ではなく「かなり苦い」。失恋で例えたら、3年は立ち直れないレベル。焼酎で口の中を洗い、気を取り直してふたくち、みくち。思ったよりアンモニア臭は感じないものの(少しはあります)、苦みがサザエの肝の10倍、といった印象。ただし、脂のノリはものすごくあり、苦みをかいくぐって舌先に集中すると、甘み、旨味ともにかなりありそう。

個人的には「美味い」とは言い難い一品なのですが、珍味とは言っていいかな、って思いました。賛否両論あるかと思います。

釣れてしまった際には、是非試してみてください。無論、自己責任にて。

身は確実に美味い

ゼンマイについては「美味い」とは言い難い、と書かせていただきましたが、身については問答無用で美味いです。捌いて一晩寝がした刺身は、脂のノリ、旨味、身のしまり、上等なアジとカワハギを足して2で割った、といった印象。

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右下がアイゴ。見た目も美しい!(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

同日に釣れたアジ、ヒメジと食べ比べてみましたが、遜色ないどころか個人的にはその上を行くレベル。ただし、皮は磯臭いので、刺身で食する場合は確実に引いておいた方が無難でしょう。

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塩焼きはやや磯臭さあり(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

また、残りの半身を塩焼きとソテーにしてみたところ、火を通すことでさらにほどよく身がしまり、こちらも◎。特にニンニク風味満点のソテーは、皮の磯臭さを全く感じなかったです。

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ソテーは磯臭さを全く感じなかった(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

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<尾崎大祐/TSURINEWSライター>

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