釣り人からは「臭い魚」としてお馴染みのボラ。外道として嫌われがちですが、専門的に狙ってみると面白く、釣れる場所によっては美味しく食べられる魚です。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライターなおぱぱ)
実は美味しいボラ
ボラは引きもよく、釣り方によってはよく掛かる魚です。大物と思いきやボラでがっかり……なんて経験をした釣り人も多いでしょう。嫌われる理由はその臭い。筆者も東京湾奥で釣ったボラをランディングしたところ、タモから臭いが取れなくなり泣いたことも……。しかし、本来のボラは鯛のような身質の美味しい魚で、江戸時代では人気の高級魚として扱われていたこともあります。

なぜ臭い?
悪臭の原因は海底の泥の中や、排水から流れる有機物を好む食性にあります。淡水にも強く、生活排水が流れる河川など汚れた水域にも侵入する魚で、その食性上、水質汚染の影響を大きく受けます。そのため美味しいボラを食べるには釣る場所が重要です。また、鮮度落ちも早く、特に内臓や体表のぬめりから臭みが出てくる魚なので、下処理方法でも食味が変わってきます
ボラが釣れる場所
釣るだけなら幅広いエリアで釣れますが、美味しいボラを釣るとなると水質が良いことが条件になります。生活排水が流れ込むような場所は避け、外洋に面した堤防など沖からの回遊個体が狙える潮通しのいい場所を狙いましょう。あまりきれいなイメージのない内湾の東京湾でも、沖堤防など場所を選べば、美味しいボラを釣ることができます。

ボラ釣りの時期
ボラは一年中狙える魚ですが、食味で言えば「寒ボラ」とも言われ重宝される、脂の乗る冬が旬となります。また、冬は産卵のため外洋を回遊する習性からか、臭みが少ない個体も多くなる時期なので、釣り物の少ない冬に狙ってみるのもオススメです。春~秋は釣りで狙いやすいですが、高水温期ほど臭みのある個体が多くなります。
ボラのエサ釣りのタックル&仕掛け
ボラをエサ釣りで狙う場合、釣り方は多彩ですがチヌ(クロダイ)釣りやメジナ釣りの定番ゲストとして知られているように、オススメはウキフカセ釣り。まずはタックルについて紹介します。

エサ釣りのロッド
竿は1号~2号程度の磯竿やチヌ竿、長さは4~5mぐらいが使いやすいです。
エサ釣りのリール
大型は最大80cm近くなるので2500~3000番程度のスピニングリールを使いましょう。道糸はナイロンライン3号ぐらいを巻いておけば安心です。ドラグ設定はガチガチにせず、手で強めに引っ張れば糸が出る程度にしておきます。
エサ釣りの仕掛け
仕掛けは遊動式のウキ仕掛けを使います。ウキはボラのアタリが分かりやすい棒ウキが使いやすいです。ハリスは2号ほど、チヌと併せて狙うなら1.5号ぐらいに落としましょう。長さは表層を狙えるように50cm程度にしておきます。ハリスには浮力調整用のガン玉、ハリはチヌ針1号やグレ針5~6号程度を使いましょう。
ボラのエサでの釣り方
続いて釣り方を解説していきます。
ボラ釣りのエサ
コマセはオキアミにチヌ用やグレ用の集魚剤を混ぜます。付け餌は小さめのサイズのオキアミがいいでしょう。
ウキフカセの釣り方
コマセを効かせて表層にボラを寄せるのがベストです。ウキ下はボラの泳いでいる泳層に合わせますが、2m以内程度を狙います。付け餌にはあまり興味を示さないことも多く、コマセと同調することと、ボラの目の前にエサを持っていくことが重要になります。打ち返しは早めにして、コマセを投入してボラを寄せたら、仕掛けがコマセの中を通るように投入……を繰り返しましょう。

アタリは非常に微妙な場合が多く、反応があれば即アワセを入れます。この駆け引きがへらぶな釣りのようで面白く、ボラのウキフカセ釣りの魅力のひとつです。また、底層も回遊する魚で、コマセをダンゴ状にして底を狙う「ダンゴ釣り」でも定番のゲスト。チヌと合わせてダンゴ釣りで狙うのもいいでしょう。それ以外にはブッコミ釣りや太めのサビキ仕掛けでも狙うことができる魚です。
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ボラのルアー釣りのタックル
ボラはルアーでも釣れる魚です。ただ、狙って釣るにはコツが必要で、再現性が高いのはプランクトンを食べるボラを狙う方法です。小型プラグやジグヘッドを使用するため、ライトタックルでパワフルなボラと対峙することになります。非常にスリリングなやり取りを味わえるのが魅力の釣りです。
ボラルアー釣りタックル&仕掛け図(作図:TSURINEWS編集部)ルアー釣りのロッド
ロッドはライトゲームロッドを使用します。ジグ単用のロッドで時間をかけてやり取りするのも面白いですが、もう少しやり取りでの優位性を重視するなら使うルアーをプラグやフロートリグメインにし、L~MLクラスのライトゲームロッドや、チニングロッドなどを使うといいでしょう。
この釣りではロッドにある程度の負荷が掛かるので、あまり高級なロッドを使うのはオススメしません。折れたり劣化しても泣かない安物でいいでしょう。
ルアー釣りのリールとライン
リールは2000~2500番程度のスピニングリール。タックルバランスからドラグを効かせながらのファイトになるので、ドラグ性能が高いものを使用しましょう。ラインはキャスト性能を重視してPEラインの0.4号程度を巻きます。リーダーも細糸でフロロカーボンライン4lb~6lb(1~1.5号)程度を結束しましょう。
使用するルアーと釣り方
使用するルアーはメバリングやアジングで使用するような小型のフローティングプラグやシンキングペンシル、軽量ジグ&ワーム(フロートリグも使い分ける)など。表層~中層でパクパクと口を開けながらプランクトンを食べているボラの口先を通るように、ルアーをスローリトリーブやドリフト、ときにはテンションを張って口元に置いておくだけ……といったスローなアクションでアピールします。

ボラを走らせながらやり取りする都合上、混雑した釣り場では迷惑になるのでやめておきましょう。また、バチ抜けシーズンにシンキングペンシルのドリフトで狙う方法もあります。こちらはシーバスタックルなどを使えるのでやり取りも楽です。
美味しく食べるには下処理が重要
釣り上げたら〆と血抜きをしっかり行い、釣り場でぬめりとウロコを取ってしまいましょう。また、臭みの原因となる内臓もその場で傷つけないように取り出してします。家までは水や氷に身が直接触れないように袋などに入れ、保冷して持ち帰りましょう。
家で三枚におろしても臭いがある場合は、3%の冷塩水に5分ほど漬ける塩水処理を行うと気にならなくなる場合があります。なお、からすみで有名な真子のほか、白子や幽門も美味しく食べることができます。食べる場合は水洗いしてから、酒や塩で臭みを取るといいでしょう。
美味しい食べ方
癖のない白身のため刺身や焼き物、揚げ物など、どんな料理にも合います。臭みのある個体であれば、揚げ物など臭いをごまかせる料理にするといいでしょう。
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<TSURINEWS編集部>
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