沖波止でのチヌ(クロダイ)釣りを存分に楽しみたいと和歌山県の水軒一文字に釣行。テトラポットの水際の切れ目を探り歩く前打ちでは悩める時間だけが過ぎ去ったが、転じた落とし込み釣りでは開始から10分ほどの速攻でチヌ38cmの釣果を手にすることが出来た。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
和歌山県の水軒一文字に釣行
6月は産卵を終えたチヌが体力を回復しようと捕食が活発になる時期。かつては神戸港の沖波止で前打ち、落とし込み釣りが存分に楽しめたが、現在は立入禁止となってしまった。
特に和田防波堤と沖の新波止のテトラポットは前打ちの絶好のポイントで、幾多もの良き思い出が残っている。
夢よもう一度となりそうな釣り場はないかと思いを巡らせていたところ、ふと頭に浮かんだのは、外向き(沖向き)はテトラ、内向き(陸向き)は垂直壁面という形状の和歌山県紀北の水軒一文字。梅雨の谷間となった6月10日の釣行を決めた。

なお、水軒一文字と渡船の受付方法などの詳細は、水軒一文字に渡す水軒渡船のホームページのほか、私(筆者)が以前に投稿した記事でも紹介しているので、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。
関西の沖波止紹介【水軒一文字】 乗船時の注意点と新・旧波止の特徴
名物の平鯵(ひらあじ)が不調
多客日は始発便繰り上げや駐車場の満員札止めもありうると、深夜未明に車を走らせる。途中で大阪府内の釣りエサ店Tポートと伊勢吉に立ち寄り、スポット的に入荷していたイ貝を購入。
和歌山県内入りしてからは、マルニシ本店で岩カニも購入して、深夜2時に水軒渡船の駐車場に到着すると、先客は車1台と拍子抜け。3時に現場を仕切るおかみさんが現れ乗船受付を開始したが、集まった釣り客の数はざっと20人足らずと少な目。
「ホンマはええ(好調)はず。今年だけアカン」と当惑気味に語る船長の悩みのタネは、超遠投のカゴ釣りで狙う名物の平鯵(ひらあじ)の不調。
ルアーでの青物も小康状態で「お客さん少ない……皆さん釣れますように」と、おかみさんは嘆き節。常連たちを中心とした紀州釣り、フカセ釣り、テトラの穴釣り・探り釣りが主流の中、私も少しでも良い報告が出来ればと思いを胸に、釣り人たちを乗せた始発便は定刻の3:40に出船した。
釣り場と前打ちのタックル
水軒一文字は旧波止と新波止の2つの波止の総称で、位置関係や船着場などは略図を参照いただきたい。
水軒一文字略図(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)今回はテトラの切れ目を探り歩く前打ちと、垂直壁面ギリギリにエサを落としていく落とし込み釣りの両方が可能な旧波止に渡ると決めていて、5番の船着き場で降りる。
日の出前に準備した前打ちのタックルは、6.3m竿の前打ち仕様の専用竿を使用し、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の3号ラインを巻いた落とし込み専用リールをセットする。
ラインの先には市販の目印仕掛けを接続し、ハリス2.0号を直結する。テトラにハリスが擦れて切れてしまうリスクを考えれば、ハリスは硬めでかつ太めが良い。針はチヌ針3号で、チモトにはガン玉2Bをかませる。
エサは岩カニとイ貝を選択したが、現地採取は困難なので釣りエサ店で購入して持ち込むしかない。エサはビニールバケツに入れ、こまめに新鮮な海水に入れ換えつつ、釣り歩く分だけエサ箱に小分けにして持ち出すようにしたい。
ビニールバケツに入れたエサ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)前打ちは不発に終わる
準備が整い、4:30頃から前打ちをスタート、岩カニを横掛けにして水際のテトラの切れ目を探り歩く釣り方だが、水軒一文字での初挑戦は2つの誤算によって悩み続けた結果、ガシラ(カサゴ)1匹の不発に終わった。
前打ちで釣れたカサゴ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)1つ目の誤算は岩カニのサイズ。活きは良かった一方でサイズが小さかったせいか、エサ取りのアタックが多く、早々に使い果たしてしまった。
その中でもガツンという強めのアタリや、岩カニが噛み潰されたアタリもあったので、サイズが大きければ違ったチヌへのアプローチという面で違った攻め方があったのではと悔やんだが、エサ店側の入荷状況によるものなので、釣り人側ではどうしようもない。
沖向きテトラを攻める前打ち(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)2つ目の誤算は波止に積まれたテトラの大きさと積まれ方。テトラが大きく雑然と積まれているので、足場は非常に悪く、長大な波止でも水際に降り立てる場所が、想定していたよりもはるかに数少なかった。
釣果は探り歩いた距離に比例する釣り方だけに、時間だけを浪費した感は否めなかった。エサをイ貝に変えてからアタリはなく、9時過ぎに前打ちに見切りをつけて、残り時間は落とし込み釣りに転じることにした。
落とし込み釣りのタックルと攻め方
落とし込み釣りのタックルは竿が落とし込み釣り専用の3.9mに変わっただけで、前打ちの時の目印仕掛け部分だけを短く切ってそのまま流用。
落とし込みタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)エサはイ貝の繊維掛け。旧波止の内側は一段低くなっていて、海面とは垂直立下の形状になっている。その壁面ギリギリにエサを落としていく。
壁際ギリギリを狙う(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)38cmのチヌがヒット
海水の色は外向きが澄んで波気立っていたのに対し、内向きは前日までの大雨の影響もあって濁り気味で、潮の動きも良くない。
前打ちに固執した結果残り時間も少なくなり、どうやら期待薄だという暗い気持ちは一転。開始10分程で竿先からモゾッとした感触が伝わり、テンションを微調整すると、目印が明確に引き込まれる会心のアタリに遭遇。
ここぞとばかりに鋭くアワせると魚の重みが乗った。魚の引きからコントロールは十分できる大きさだと予想。怖いのはバラシだけ。主導権を渡すことなく海面に浮かせて、空気を吸わせればこちらのもの。無事タモ入れして38cmのチヌを手にした。
口元にしっかり掛かった針掛かりを見ると、自力で釣った実感が一層増してきて喜びもひとしお。
この後、納竿間際にもアタリがあったがフッキングには至らず。前打ちで4時間半を費やしてもダメだったチヌが、落とし込み釣りのほうが活性が高く、開始10分で釣れたのだから、釣りは何年やっても分からないものだ。
口元にハリ掛かり(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)おかみさんから労いの言葉
10時過ぎにあわてて納竿し、10:30の予約便で波止を後にした。最終釣果はチヌ38cm1匹とガシラ1匹となった。
乗船場に戻ると同船者たちは出迎えのおかみさんにそれぞれの釣果を報告。アコウやマダコなどの釣果に続いて、私の報告にもおかみさんから「みんな頑張って釣ってくれている」と労いの言葉があった。
帰宅途中に更新されたホームページの釣果情報を見ると、ハマチ、平セイゴ、グレ、チヌなどの釣果があがっていて、中には落とし込み釣りでチヌの二桁釣果の人もいるなど、幸運にも魚の活性の良い日の釣行となったようだ。
あとは平鯵が今後戻ってくることを期待したい。帰宅後は釣果のチヌとガシラは酒蒸しにして賞味した。
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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>
▼この釣り船について水軒一文字
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