7月22日に愛知県東部にあるヘラブナの管理釣り場を訪れた。この日は夏のヘラブナ釣りを満喫しようと、短ザオで浅ダナを狙っての釣りを楽しんでいく。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 戸松慶輔)
当日の釣り方と仕掛け
管理池は多くのヘラブナが放流されており、魚影は非常に濃い。さらには水温が上がり活性が高いヘラブナが狙えるとあって、夏の暑さにも負けず多くのヘラ師たちが釣り座を並べる人気の釣りの1つ。
暑さ対策さえすれば釣果も出しやすいため、ここで私の実釣レポートも交えつつ夏のヘラブナ釣りを紹介したい。
この日釣り座に着いたのは午前10時すぎ。7尺のサオにウキ下が1m、エサは両ダンゴを使用して、メーター両ダンゴという釣り方でスタート。サオはふそう高千穂7尺。ミチイトはナイロン0.8号、ウキは凱の彩羽の浅ダナ両ダンゴ用4号(ボディ寸6cm)、ハリス20cmと28cm、ハリは上下ともにはりよしの丸袖スレ7号を用意した。
この日の私の釣り方はウキからサルカンまでを1mに設定して、水面から1m下を狙う釣り方だ。中部では魚を狙う「タナ」について規定がない場所も多く、今回の釣り場もその1つ。
しかし関東では「メーター規定」といって1mより上のタナを狙うことが、ルール上禁止されている釣り場も少なくない。そのためこの釣り場のルール上問題があるわけではないのだが、何となく関東ルールに従ってこの日は釣りを楽しんでいく。
メーター両ダンゴでスタート
まずヘラブナを周辺に寄せるためにエサをどんどん入れていく。エサ打ちから10分もすると、水面にちらほらと魚影が見えるようになってきた。さすがに夏はヘラブナも寄るのが早い。
ウキにサワリが出始め、ナジんだところで鋭くウキが入る。サオにはずっしりと重みがかかり、この日の初ヒットの感触を味わう。サオを絞って必死に抵抗するヘラブナをサオでいなしてぷかりと浮かせると、25cmほどの美しいヘラブナが顔を見せてくれた。
1匹目が釣れてすぐにエサを入れると、ウキが立った直後にトップがズドンと入る消し込みアタリ。分かりやすいアタリに、してやったりでサオを絞る。キュンキュンとイト鳴りをさせて逃げ回る元気な1匹は、30cmを超えるグッドサイズのヘラブナだった。
スタートから準備した仕掛けとエサで、狙い通りに順調な釣りが展開できている。ハマればハイペースでヘラブナが釣れ続くのだが、果たして今回はどうなのだろうか。
状況にアジャストできずやや失速
エサ打ちを重ねていくと、いよいよヘラブナが水面にわいてきた。ヘラブナが寄ってきたことで、仕掛けが魚にピンポンされてしまってウキが落ち着かない。おそらくエサは落下途中で落ちてしまっているだろう。
そこでエサ持ちを良くするために、試行錯誤をしていく。エサを練ってみたり、エサ持ちの良いエサを追加したり、ウキとオモリを大きくして魚がわいている層を早く通過させようとしたり。
手は尽くしたもののうまく調整しきれず、数匹追加したところでいよいよ釣れなくなってきた。
魚は水面にたくさんわいてきて、エサを打てば魚がわっと集まってくる。しかしハリの付いたエサをなかなか食ってくれないのだ。そんな状況になすすべもなく、いったん頭を冷やそうと昼食休憩を挟む。
食い渋りに強いとされるウドンセットで
お昼を食べながら落ち着いて状況を整理してみる。夏で魚がたくさんわいている。しかし人も多く、魚が警戒して食い渋りの状況になっていると予想。ということはダンゴの時合いではないのかもしれない。
そこで食い渋りの状況でも、ある程度安定した釣果を出せるウドンセットで午後は勝負する。仕掛けはウキを凱の彩羽、浅ダナウドンセット(ボディ寸5.5cm)に変更して、上ハリスはナイロン0.6号7cm、下ハリスはナイロン0.4号28cmとした。ハリは上下ともにはりよしの丸袖スレで上バリは9号、下バリは5号。
今回私が使っているはりよしのハリは、9号で他社の7号相当。5号で3号相当の大きさとなるので参考にされたい。
バラケは粒戦50㏄、粒戦細粒50㏄に水を150㏄入れて5分ほど放置。吸水させたらヤグラを200㏄、セット専用バラケを100㏄入れてかき混ぜる。エサの準備が完了して、いよいよ午後からの釣りスタートだ。
メーターウドンセットで大物連発
メーターウドンセットに期待を込めてエサ打ちをしていくと、数投でウキが受けるような動きが出てくれる。ヘラブナがまだ辺りをうろついていたようだ。そろそろくるかと集中してウキの動きを見つめる。
ここでバラケがぶら下がって落ち着いたタイミングで、チャッ!とウキが入るアタリが出てくれた。
すかさずアワせると、魚は掛かっているはずなのに、暴れるでもなく悠々(ゆうゆう)と水の中を泳いでいる感じ。「あれっ」と思いつつ、さらにサオを曲げてテンションをかけると、大物が突如として牙をむいた。
一気に沖や左右に走り回り、ゴンゴンと強く首を振る。活性が高い夏のヘラブナ、しかも大物ともなれば、その引きはものすごく強い。無理なやり取りは極力控えて、サオに仕事をさせるようにやり取りしていく。
桟橋の下に何度も突っ込まれそうになりながらもついに観念して、水面に口を開けて浮いてきた。これは大きい。午後の1匹目は、計測の結果41cmという大物だった。
気分を良くしてさらに追加を狙うと、今後は着水直後にウキが寝たまま一気に水面へ引きずり込まれた。食いっ走るアタリにサオを立てると、こちらも大暴れして釣られまいと抵抗する。
無理せずサオでいなしながらやり取りを楽しんで、取り込んだ1匹は先ほどと同サイズ。40cmのヘラブナで大物連発だ。
そこからは少し落ち着く時間帯はあったものの、ポツポツと追加して夏の元気いっぱいのヘラブナとのやり取りを楽しんだのだった。
親子でヘラブナ釣り
ここで周りを見ると、初心者らしき人が親子で釣りに訪れていたので、早速話を聞いてみることにした。
岡崎市から来ていた中村慶太君は、家族と一緒に釣りに来ていた。普段は釣りをあまりやらないようだが、たくさんのブルーギルが釣れているようだ。
2人ともヘラブナを釣ったことがないらしく、その瞬間をシャッターに収めるべく許可をいただき、近くで見学させてもらう。
するとほどなくしてお父さんにヒット。ウキが消し込むようなアタリにサオを上げて、お子さんよりもひと足お先にヘラブナを釣り上げた。「人生初めてのヘラブナです」と顔がほころぶ。
さてお父さんに負けてはいられない慶太君だが、ヘラブナがくる前にブルーギルが釣れてしまう。それでも諦めずにエサを打っていくと、ウキがキレイに入る理想的な食いアタリ。
慶太君がサオを立てて見事にヒットに持ち込んだ。レンタルの短ザオが中ほどからグイグイ曲がり込み、力強い引きに襲われる。たまらず慶太君は両手でサオを持って応戦。じんわり魚を浮かせて、初のヘラブナを手にすると「重かったです」と興奮気味に話してくれた。
ウドンセットで安定
無事2人の釣果を見届けた私は、自分の釣り座に戻って釣りを再開する。夕方が近づくにつれて人のプレッシャーが少し抜けたのか、魚の警戒心もやや薄れたようだ。
エサと仕掛けは午後のスタート時のまま、少しだけペースアップして釣果を重ねられた。後半にも40cmクラスの良型が釣れたり、連発も交じったりと夏のヘラブナ釣りを心から楽しませてもらった。
この日は特定のパターンで釣れ続けるという感じではなく、いろいろなタイミングでアタリが出て、絞り切れなかったのは今後の課題だ。夏のヘラブナ釣りと言えば浅ダナで両ダンゴの釣りがハマれば強い。しかし土日などの食い渋っているような状況では、ウドンセットに軍配が上がる日も少なくない。
活発にエサを追いかける夏でも、ヒットに持ち込むにはさまざまな状況判断が必要で、なかなか難しい一面もある。人よりもたくさん釣ろうと思えば難しいヘラブナ釣りだが、夏は活発にエサを追うため、ある程度の匹数ならば初心者でも釣りやすい。
ヘラブナ釣りのベテラン諸氏においては、活性の高い夏の釣りを今後も楽しんでいただければ嬉しいし、逆に初心者の方はヘラブナが釣りやすい季節に強烈な引きと、楽しさを感じていただけたらと思う。
<週刊へらニュース戸松慶輔/TSURINEWS編>
▼この釣り場についてひだ池
この記事は『週刊へらニュース』2023年8月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 管理池で夏のヘラブナ釣りを満喫【愛知・ひだ池】子供も本命ゲットに笑顔 first appeared on TSURINEWS.
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