高級魚の代表格ともいえるフグ。とはいえ毒があり捌くのに免許がいるため、アングラーからは単なるエサ取りとして嫌われることも多い魚です。

そんなフグを食材として狙えるのが船でのフグ釣り。船宿の免許を持ったスタッフが捌いてくれるので毒の心配も不要です。今回はカットウ仕掛け&食わせ仕掛けで狙う、フグ釣りの基本を解説していきます。

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釣れるフグの種類

フグといってもさまざまな種類がいます。釣りをしない人にもなじみがあるのが、フグの王様トラフグ。養殖もされており、関西のてっちり、てっさ、てっぴはあまりにも有名です。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
様々なフグが釣れる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

今回のカットウ&食わせ釣りでも、トラフグが釣れることもありますが、生息域が若干違い、なかなか狙って釣るのは難しい魚となります。一般的にこの釣りで狙えるのは、ショウサイフグ、コモンフグ、ヒガンフグ(アカメフグ)の3種類。また、秋には無毒のサバフグが釣れることもあります。

出船エリア

フグ釣りが盛んな地域は関東や中部、関西エリア。出船時期は秋~冬ごろに出船する船宿が多いものの、一年中狙う船宿もあります。

フグの毒の処理は?

フグといえば真っ先に連想するのが「毒」。フグは種類によって毒のある部位が異なります。そのためフグをさばく免許を持つには、さばく技術よりも知識を求められます。もちろんフグ狙いで出船している船では、船長やおかみさんなどスタッフがフグ調理免許を持っており、釣ったフグは全てさばいてくれます。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
船宿でさばいてくれる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

「身欠き(みがき)」という、薄皮を取って三枚おろしなどにすれば食べられる状態まで処理してくれるので、たくさん釣れても釣行後の処理の手間が少ないのもこの釣りの魅力でしょう。

「カットウ」と「食わせ」2つの釣り方

フグの船釣りは、基本的に地域や時期、また釣り人の好みによってカットウ仕掛けと食わせ仕掛けを使い分けて狙います。カットウ仕掛けはエサに寄ってきたフグを引っ掛けて釣る仕掛け。食わせ仕掛けは名前の通り、エサを食べさせて針に掛ける通常スタイルの釣りです。大ざっぱにいえば型を狙うならカットウ、数を釣るなら食わせの方が有利となります。

フグ釣りのタックル

まずは、2つの釣りに最適なタックルを紹介します。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
フグ釣りのタックル&仕掛け図(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

フグ釣りの竿

カットウ釣りに関しては専用の竿が多く発売されています。地域によって使うオモリの重さが違い、軽い重りを使う東京湾は湾フグロッドと呼ばれるライトな竿が使われるため注意が必要です。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
東京湾のタックル図(作図:週刊つりニュース関東版 編集部)

カットウ専用竿に共通した特徴は、この釣りに求められるフグがエサをつついたときにそのアタリを感知できる鋭敏な穂先と、フグを掛けるときにカットウバリを貫通させるしっかりしたバットパワーを有することです。

食わせ釣りに関してはカットウ竿の流用も可能ですが、カワハギ専用の竿も最適です。カワハギのようなおちょぼ口を持つフグを釣るには、カワハギ釣りに共通するものがあります。

フグ釣りのリール

合わせるリールは、カットウ、食わせともに小型の両軸リールが一般的。とはいえ、投げて広く探るのも有効なのでスピニングリールを使う人もいます。必須ではないですが、できればハイギアタイプを使うと、手返しの面で有利に立てるでしょう。

フグは狙う水深が5~30mと、決して深くはありません。ラインは100mも巻いてあれば十分ですが、場所によっては根掛かりとの闘いになり、高切れの恐れもあるので可能なら150m以上巻いておくといいでしょう。ラインの材質はアタリの取りやすいPEライン。太さは1号程度が標準です。これに摩擦対策のリーダーとしてフロロカーボンラインの3~4号を1~2mほど接続します。

フグのカットウ釣り

冬の大型アカメフグシーズンなどに有効なカットウ仕掛け。仕掛けの詳細や釣り方を解説していきます。

カットウ釣りの仕掛け

基本の仕掛けはオモリと一体型になったエサ付け専用の針の下に、カットウ針と呼ばれる掛け針を1本ないし2本セットする仕掛けです。そのほかにも下オモリ式の仕掛けや、底釣りに特化した仕掛け、スレたフグに強いアーム式の仕掛けなどもあり、地域によって使う仕掛けが若干違ってきます。船宿に推奨のセット仕掛けが売られているので、最初はこれを購入するのがいいでしょう。

また、食わせが有利な小~中型フグやカワハギが混ざるときはカットウ仕掛けの上に食わせ仕掛けを装着したり、エサ付け針が食わせ針としての機能を持ったハイブリッド仕掛けを使うといった方法もあります。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
カットウ仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

仕掛けを自作するなら専用のカットウバリ14~15号に、フロロカーボンライン10~14号を15~20cm前後接続しましょう。2本のカットウバリを付けることが多く、その場合は段差を付けるため1本のハリスは少し短くします。根掛かりの多い釣りなので、数セットは用意しておきたいところです。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
替えバリとオモリは多めに(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

カットウ釣りのオモリ

オモリは専用のものが市販されていて、カラーバリエーションが豊富。例えば曇っているときはグロー、晴れているときはアカキンやピンク、ホログラムシールが貼ってあるものが有効になります。同様に派手なオモリを使用するテンヤ用の遊動オモリや、タイラバ用のオモリを流用する人もいます。

テンヤやタイラバのオモリは高比重のタングステン製オモリが多く発売されており、シルエットを小さくして潮の影響を受けにくくできるので、速潮のときなどに釣りやすいというメリットがあります。

カットウ釣りに使うエサ

カットウ釣りで使われる主なエサは、アオヤギ(バカ貝)のむき身とブラックタイガーなど冷凍エビのむき身が使用されます。アオヤギは冷凍したものを販売している船宿が多いので、それを購入するのが手っ取り早いでしょう。エビのむき身を使うときは、塩を振り掛けて身を締めてから使うとハリ持ちがよくなります。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
カットウのエサ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

エサはエサ針にたっぷりと付けます。この時、外れにくいように針に刺すことを心がけましょう。アオヤギなら外れにくい水管にハリを通し、縫い刺しにします。刺したらハリの軸の上方にこき上げ、2~3個のアオヤギをハリに付けていきます。これで集魚効果を高め、フグにアピールできます。エビは頭側の殻は剥いておき、尻尾側から針を付けます。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
エビエサの付け方(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

カットウ釣りの釣り方と誘い方

エサを付けたらそっと仕掛けを投入。底を取ったらオモリが底に着くか、着かないかのいわゆる「ゼロテンション」でアタリを待つのが基本です。

頻繁に根掛かりするような場所を狙う時は、50cmほど巻き上げた位置でアタリを待つ場合もあります。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
タナ取りとアワセのイメージ(作図:週刊つりニュース関東版 編集部)

誘いを入れる場合は一定間隔でアワセにもなる誘い上げと、誘い下げを繰り返すタイム釣りが有効。待っている位置から50cmぐらいすーっと竿を持ち上げて少しポーズ、その後エビが自然落下するような速度でゆっくりとフォールして元の位置に戻しステイします。

底で釣る場合は着底後のステイ時に糸ふけが出ているとアタリが捉えられなくなるので注意しましょう。また、根掛かりの少ない場所では少しキャストして前述の誘いと同じような要領で、リフトアンドフォールしながら手前に探ってくるのも有効です。

カットウ釣りのアワセ方

アタリはフォールするエサをフグが見ていて、フォール中かステイ時にコツッとかコンコンというアタリが穂先に出ることが多いです。フォール中の場合はカットウ針の位置がフグの真下にあるかわからないので、底に着いて一呼吸してからアワセ。それ以外のときは即アワセをいれます。また、誘い上げ時もフグが針に引っかかて竿先がモタれるといった違和感が出たら、竿を持ち上げる速度を上げてアワセましょう。

アワセのコツとしてはカットウ=引っ掛けというイメージを持っている人も多いと思いますが、フグを引っ掛けようと素早いアワセや大きく竿をあおるのはNG。せっかくエサに寄ったフグを散らしてしまうことになります。ハリスの長さ分だけ、すっとずらすようなイメージで上に持ち上げましょう。フグが針に掛かればズシッという重量感が手元に伝わります。

この瞬間がカットウ釣りの最大の醍醐味といえるでしょう。

カットウ釣りの巻き上げ方

フグがかかったら素早くリールを巻き、糸のテンションを緩めないように一定のスピードで巻き上げましょう。カットウバリにはカエシがないので、糸を緩めるとバラシの原因になりポンピングはNGです。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
ラインを緩めないようにやり取りするのがコツ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

大型のフグだと青物のように横走りしたり、水面に向かって急上昇してきたりします。走ったときは竿の弾力でため、上に向かってきたときは一気に糸を巻き取りましょう。

釣果アップのコツ

注意点の一つとしては、エサの状態に気を配ること。フグは貝のワタが大好物で、ワタを全部食べられ水管だけになると極端にフグの寄りが悪くなります。ワタがなくなったら、すぐにエサを付け替えましょう。エビもアオヤギ同様にボロボロになったり、新鮮な半透明の身ではなく白くなったりすると食いが悪くなるので頻繁に付け替えます。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
こまめにエサを替えるのが釣果UPのポイント(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

また、釣れない時間が続いたら、エサのチェックだけでなく針も見るようにしましょう。カットウ針がオモリに絡んでいたり、針先が曲がったり折れたりしていることも。特に岩礁帯がメインのポイントになる場合は、針先の損耗が激しくなります。釣りにおいて最も重要なパーツは魚が直接見て口にするエサと針とも言えます。エサと針の状態は常に気にかけるようにしましょう。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
ハリの状態にも気を配ろう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

フグの食わせ釣り

秋の寄りフグシーズン(小型が浅場で群れる時期)など、小~中型フグメインに数釣りを狙う際に有効なのが食わせ仕掛けです。引っ掛けて釣るカットウ釣りとは釣趣も変わってきます。

食わせ釣りの仕掛け

使う仕掛けは、胴つき2~4本針。釣趣などはカワハギ釣りに近いものがありますが、カワハギとフグで決定的に違うのが、フグは鋭い歯でハリスをかみ切ってしまうことです。したがってハリスを切られない工夫が必要になってきます。

フグ人気を受けて各メーカーからも、フグ食わせ仕掛けが市販されています。それを見ると、ハリスにチューブをかぶせていたりケプラーを使っていたりとハリス切れ対策が施されています。

自作仕掛けもおすすめ

これらの市販仕掛けを使うのもいいですが、単純な胴つき仕掛けに工夫するだけなので自作も容易です。針は専用のフグ針10号前後か丸セイゴ10~12号、丸海津など。小型主体のシーズンならカワハギ針を使うのもいいです。ハリスの太さは3号でミキイトは4号程度。いずれもフロロカーボンラインを使います。

ミキイトとハリスの接続は、回転ビーズと自動ハリス止めを使うといいでしょう。自動ハリス止めを使うことで、針が折られたりハリスを切られたりしたとき、素早くハリスだけを交換できます。

ハリスには市販されているビニールチューブを通し、チモトにかぶせてしっかり固定します。チューブの長さはハリスの長さにもよりますが3~4cmといったところ。また、ハリスにケプラーを使うのもいいです。

食わせ釣りに使うエサ

食わせ釣りでは、冷凍エビを切って使うことが多いです。他にはカワハギで使うアサリを使う人もいます。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
食わせ釣りのエサ付けはコンパクトに(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

エサの付け方はアタリがあれば高確率でフグを手にできるように、カットウと違って針にコンパクトに付けます。冷凍エビなら1cm幅にカットして使い、アサリはカワハギ釣り同様に縫い刺しにします。

食わせ釣りの誘い方

前述したように食わせ釣りは、カワハギ釣りに通じるところが多い釣りです。カワハギと同じくおちょぼ口を持つフグはエサ取り名人でもあり、ハリに掛けるのがなかなか難しいのも似通っています。狙うタナは主に底付近。アタリがあるまでゼロテンションで待つのもいいですが、カットウと同じく誘いが有効です。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
食わせ釣りの誘い(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

誘い方はゆっくり仕掛けを上下させて誘う方法や、カワハギ釣りと同じように仕掛けを弛ませて張るを繰り返す誘い、小刻みに穂先を揺するなど様々。色々試してその日に有効な誘い方を見つけましょう。

食わせ釣りのアワセ方

アタリがあったら即アワセが基本となります。高活性時は、はっきりと分かりやすいアタリが出ますが問題は食い渋ったとき。モゾモゾッという前アタリだけで終わることが多いので、そんなときは誘いをかけて本アタリを呼び込むようにしましょう。

また、エサの付け方にもこだわると釣果に繋がります。アタリだけでハリ掛かりしないときは、エサを小さくカットしたり、ハリ先をわずかに出すようにするなど工夫してみましょう。

フグの美味しい食べ方

フグが釣れたら船宿でさばいてもらうまでバケツに生かしておく人もいますが、エラを切ってバケツで血抜きし潮氷を作ったクーラーに入れて締めておくと鮮度を保ててより美味しく食べられます。

フグのカットウ&食わせ釣り解説 【エサ・仕掛け・釣り方のコツ】
食味は最高(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

釣趣も面白く、アフターフィッシングも楽。なにより刺身や鍋、唐揚げなど食味が最高、と魅力がいっぱいの船フグ釣り。ぜひ挑戦してみて下さい。

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<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

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