砂浜からのキスの投げ釣りと堤防のハゼ釣りが盛期を迎えている。各釣り場から活況が寄せられ、釣りの初心者もキスやハゼが簡単に釣れる今シーズン一番のチャンスが巡ってきた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・JOFI愛知・大田豊明)
サーフで投げキス釣り
9月2日、駒ケ根市の小松原さんの車で早朝3時半に自宅を出発して知多半島美浜町へ向かう。
途中でキス釣りの定番エサのイシゴカイを買い、美浜町の海岸に到着したのは5時前だった。日の出は5時25分、あけぼのの空は薄く赤みがかっている。潮は旧暦7月18日の大潮からの中潮で、投げ釣りにはいい潮回り。
砂浜から手を振っている人が見える。最近めきめき投げ釣りの腕を上げている山田さん家族4人だ。合流して釣り座を構え、釣りの支度に取りかかる。いつもながらワクワクする瞬間だ。
キス投げ釣り仕掛け
タックルは、サオはシマノキススペシャルDX4m、リールはシマノキススペシャル。ミチイトはPEライン0.8号を200m巻き、その先にPEラインのチカライト0.8~5号を結んでいる。オモリは富士工業の海草固定テンビン23号。仕掛けは自作のがまかつF1キス6号バリ×4本。エサは細めのイシゴカイだ。

キス4連パーフェクト
オーバーヘッドキャストで100m沖へ仕掛けを投入する。さびいてくると、3色(75m)から2色(50m)でキス独特のプルップルッという小気味いいアタリがある。上がってきたのは18~20cmの型ぞろいのキス4連パーフェクト。実に気持ちがいい、キス数釣りの面白さを感じる瞬間だ。

砂浜にゾロゾロと上がってくるキスを見るたび、この釣りを考案した先人に畏敬の念を禁じ得ない。釣法を発展させてきた団体や競技会にも感謝の思いでいっぱいだ。
キス投げ釣りの歴史
キス投げ釣りの歴史をひも解こう。キスの一投多魚釣法は、あのアジやイワシのサビキ釣りからヒントを得たという。
ルーツは徳島の釣り人と聞く。いわゆる「阿波釣法」として釣り人の間で一目置かれる聖地だ。
そこでサビキ釣りをマネしてハリ数を増やした仕掛けを考案し、ひそかに実釣を繰り返したという。
ハリ数が増えるとトラブルも増える。投げたときに仕掛けが絡むという多点バリ仕掛け特有の悩みだったようだ。そこで従来のオーバーヘッドやスリークオーター投法から、サイドスロー投法が編み出された。
同時にキスの数釣り大会も開催されるようになり、この釣法が市民権を得て、以後、独特の釣り文化を形成するまでに成長する。今や釣り団体はもちろん、各釣具メーカーもキスの数釣り大会を独自に開催し、多くのファンでにぎわい、一つのジャンルを築いた。
この釣法は思わぬ副産物も生んだ。一つの釣りで、これだけ多くのハリを消費する釣りは他に見当たらない。6~8本バリは当たり前、多いときは10~20本使うキャスターもいる。その仕掛けにかける情熱たるや、これまた敬意を表すると同時に、消費するハリの数は膨大な数字だろう。
子どもたちも17cm以上の連掛け達成
少し遅れて横江ファミリー2人も到着し、山田ファミリー、横江ファミリー、私、小松原さんと並んで釣りに没頭した。あちこちから歓声が上がり、良型のキスが釣れ盛る。
山田家では、中2の聖也君が遠投して良型をゲットしている。

負けまいと小1の陽太君も頑張って釣っている。

隣の横江家では、小5の隆之介君がこれまた良型のキスを連掛けしている。

初夏のころのような小型は交じらず、どれも17cm以上の大きなキスばかり。
この日は満潮が午前7時だったので、潮に乗ってキスが浅瀬に寄っているようだ。
キス以外には、セイゴとカレイ、サヨリが上がった。特にサヨリは大型で、釣った隆之介君は声のトーンを上げてそのときの様子を語ってくれた。
釣果は早朝2~3時間に集中
今年は7月8月と気象観測史上初となる高い気温が続いている。海水温も30度を超え、キスにとっても猛暑に違いない。そのせいか、キスの盛期が少し後ろにずれているように思う。
これから10月にかけて砂浜や堤防からキスのアタリが続くと予想する。釣れる時間帯は早朝の日の出から午前8時までだろう。日が昇るとキスは沖へ移動してしまう。早朝の2~3時間を集中してキス釣りを楽しもう。
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<週刊つりニュース中部版APC・JOFI愛知・大田豊明/TSURINEWS編>
▼この釣り場について美浜町のサーフ
この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年9月22日号に掲載された記事を再編集したものになります。