イギリス生まれの発酵食品であるマーマイト。ビール酵母を主原料に作られていて、酒粕に近い性質を持った食品です。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・杉本隼一)
マーマイトとは
皆さんはマーマイトをご存知でしょうか。イギリス生まれの食品でニュージーランドでも製造されています。ビールの蒸留で沈殿した酵母を主原料に作られており、イギリス版の酒粕に近い性質を備えているのも特徴です。

また、ビタミンBや葉酸といった栄養が豊富で栄養食としての一面もあります。しかし、味が独特かつ強烈なためにイギリス人の中でも味の評価が真っ二つに割れてしまうほど。日本はもちろん、イギリスやニュージーランド以外の国ではあまり普及していません。
主原料がビールの醸造沈殿物である点に注目し、マーマイトで切り身を漬けてみたら粕漬けのように柔らかくふっくらして美味しいのではないかと思いつきました。
しかし、切り身のマーマイト漬けを作って実食した情報がなく、今回は思い切って試してみることに。味は全く未知数のために期待と不安が入り混じった不思議な気持ちです。
クロダイをマーマイトに漬けてみた
今回は釣ってきたクロダイを使ってマーマイト漬けを作ってみます。たくさんエサを食べていたのか脂が乗って美味しそうです。半身1枚とアラは別の食べ方で頂くとして、漬け込み用に片方の半身を確保しました。

クロダイはウロコと内臓を取り除いてから3枚におろし、半身を4等分の切り身にします。
チャック袋に入れた切り身とマーマイトをしっかりと馴染ませ、冷蔵庫で一晩以上漬け込めば完成です。

そのまま食べてみると
ここで、試しにマーマイトをそのまま食べてみました。食べた瞬間強烈な味が口に広がり思わず苦笑い。非常に表現が難しい味ですが、甘さが一切無い栄養ドリンクを限界まで煮詰めてドロドロにしたようなイメージです。

マーマイトに漬けたクロダイを焼く
翌日漬け込んだ切り身を取り出すとすっかりマーマイトの色になり、中までしっかり漬かったようで一安心。ここからは西京漬けや粕漬けと同様に軽く洗い流して水気を取ってから魚焼きグリルで焼きます。
魚焼きグリルを使う場合にはあらかじめ余熱でグリル内を熱してから焼くと網へのくっつき防止に効果的です。また、漬けた切り身は焦げやすいため弱めの火力でじっくり加熱すると焦げを防止できます。
約7分後、焼き上がったマーマイト漬けを取り出すとどこかで嗅いだことのある香ばしい香りが漂ってきました。美味しそうな見た目で期待出来そうです。

実際に食べてみた
そのまま漬けたものとみりんで伸ばしたものを食べ比べてみます。まずはそのまま漬けたものから試食。
ビール酵母の効果なのか身は柔らかくふっくらしており、塩味もちょうどいい加減です。続いてみりんで伸ばしたバージョンも食べてみますが、こちらはややマイルドな印象を受けました。
しかし、時間差で焦げた醤油のような味が襲ってくるため油断は禁物。たくさんは食べられませんが、お酒の肴には良いかもしれません。

味はイマイチ
今回は試食も兼ねてマーマイト漬けを作ってみましたが、結論を言えばマーマイトで魚の切り身を漬けるのはおすすめしません。ただ、ビール酵母の効果で粕漬けのように柔らかくふっくらさせる効果がある点も分かりました。
柔らかさと塩味が良かった分、風味さえ克服できれば美味しく食べられるかもしれません。マーマイトは煮込み料理やスープに入れるとコクが出て美味しく食べられるので用途としては洋料理のコク出しや隠し味に使うのがおすすめです。
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<杉本隼一/TSURINEWSライター>