2023年11月、青物絶好調の武庫川一文字に2度釣行。ルアーマンがひしめく中で、辛うじて両立可能な「エレベーター釣法」によるノマセ釣りを試みた。

2度ともアタリがあったが、ラインブレイクと針外れという悔しい結果に終わった。実際に青物を釣り上げることはできなかったが、今回の釣行記では、エレベーター釣法の解説を交えて、青物釣りの魅力を綴ってみたい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

エレベーター仕掛けのノマセ釣りで青物狙い釣行も無念のバラシ【...の画像はこちら >>

青物狙いの沖堤防釣り

ブリ・メジロ(ワラサ)、サワラ・サゴシ(サゴチ)といった青物の好釣り場の武庫川一文字は、2022年秋と同様に2023年秋も活況に恵まれた。

エレベーター仕掛けのノマセ釣りで青物狙い釣行も無念のバラシ【武庫川一文字】
エレベーター仕掛けのノマセ釣りで青物狙い釣行も無念のバラシ【武庫川一文字】
武庫川一文字周辺図面(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

2番から6番の船着き場に渡す最大手の武庫川渡船では、早朝便に事前予約制を導入している。特に土日祝の予約は、受付終了当日に約300人の枠が瞬殺するというフィーバーぶり。

少しでも青物の回遊状況が良いエリアに釣り座を構えようとする釣り人心理から、土日祝は前夜から駐車場開門待ちの車の長い並び列が出来る。スタッフも対応に追われるという悩ましい状況も生じているようだ。

エレベーター仕掛けのノマセ釣りで青物狙い釣行も無念のバラシ【武庫川一文字】
エレベーター仕掛けのノマセ釣りで青物狙い釣行も無念のバラシ【武庫川一文字】
武庫川渡船(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

筆者(私)も2022年は泳がせ釣法のノマセ釣りでメジロを手中にしており、その時の模様を以前の投稿でレポートさせていただいた。

武庫川一文字の詳細を紹介した記事と合わせて、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。

武庫川一文字に執念の4連続釣行 ノマセ釣りで62cmのメジロ捕獲し溜飲

大阪湾の沖波止紹介:武庫川一文字 管理行き届いた運営で安心安全釣行

武庫川一文字で2連戦

2023年秋のトップシーズンも青物は絶好調。ルアーが門外漢の私は、活きた小アジをエサにしたノマセ釣りで獲物を手中にしようと、11月3日、11日の2度釣行した。

3日の釣行は深夜3時前に現地に到着したにもかかわらず、駐車場開門待ちの車の長い並び列の後方に甘んじてしまい、4番船の送りで人気のない3番の船着き場で仕方なく下船。4番寄りにわずか1か所だけ空いていた釣り座を辛うじて見つけて最悪の事態は回避できた。

一方、11日の釣行では、前日までの悪天候の影響で、武庫川渡船の始発便が1時間繰り下げの6時開始となった。

当日キャンセル者の恩恵もあって、私は2番船に乗船し、4番の船着き場で下船して5番寄りの好釣り座を確保できた。

4番船着き場(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

当日のサビキタックル

両日ともスタートはエサの小アジを釣るためのサビキ釣り。私のスタイルは、波止の内向き(陸向き)で置き竿にしてアタリを待つ竿下サビキ。

タックルは、磯竿5号5.4mに、ミチイト4号を巻いた両軸リールをセット。撒き餌カゴは、サビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介する。

サビキは7号針、ハリス3号の太ハリスで、蓄光タイプの黄色のスキンのものを選択。撒き餌カゴはカゴテンビン仕様にして、テンビンの先にもサビキをセットし、アクセントとして3つの針にオキアミを付ける。タナは底ギリギリが定番だ。

この組み合わせは見事にハマり、晩秋の11月という不安をものともせず、両日とも小アジは1時間足らずで十分な数を確保できた。小アジはスカリバケツに移して海中に漬けて活かしておき、別の海水バケツに小分けしておくという、活きの良さを保つ配慮を施した。

ルアーマンとの共存が可能な「エレベーター釣法」とは

釣り人の大半はルアーマンで、沖向きに頻繁にキャストを繰り返す。エサの小アジは十分に確保できたものの、左右の幅をとるウキ流しでの泳がせ釣りだとおまつりトラブルを招くので避けざるをえない。

そこで、両隣がルアーマンでも辛うじて両立可能な沖向き縦方向のノマセ釣り「エレベーター釣法」を今回は採用した。

エレベーター釣法は、釣り糸の末端に10号以上の重いオモリをセットして、沖向き20mほどを目途に投げ入れる。

オモリが着底したら活きた小アジを針掛けした別ラインの仕掛けを、スナップなどを使って外から釣り糸に掛けて、エレベーターのように滑り落して小アジを海中に送り込むという釣り方だ。

活字だけでは分かりにくいので、TSURINEWS編集部による過去の掲載記事を、記事内の図解とともにご覧いただくとイメージを掴みやすいと思う。

波止でのノマセ釣りで1m超えブリ登場 決め手はエレベーター仕掛け!

しかし、この記事の仕掛けは、太ハリスで針も大きく、小アジに負荷がかかり傷みやすい。また、磯竿5号に重いオモリは竿先折れのリスクもあるので、私は違ったタックルを用いた。

当日のエレベーター釣法のタックル

私のエレベーター釣法のタックルは、オモリ20号まで耐用できる投げ釣り用の竿に近い特殊な磯竿10号5.4mに、ミチイト5号を巻いたスピニングリールの組み合わせ。

エレベーター仕掛けは、ミキイト8号約10mにウキ止めゴムとセル玉を、海面から3ヒロあまりの深さで止まるように調整する。ミキイトの下には捨てイト2号1mにオモリ15号をセットする。

ミキイトには8の字スナップを通し、ハリス4号1.5mに管付丸セイゴ12号の親針と管付チヌ1号の孫針を結んだ活きアジを泳がせるラインを接続する。

仕掛けを沖目に投げ入れ、あとは活きアジが沖目で海面から3ヒロまでのタナを自由に泳いでいる間に、メジロの群れが回ってきてアタックしてくるのを待つばかりという算段だ。

エレベーター仕掛けでのノマセ釣り(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

11月3日は青物好調も11日は激渋

早々と小アジを確保でき、いよいよ本命の青物狙いに転じたが、回遊状況が潮回りや天候などに左右されるのが青物狙いの難しさ。

竿下サビキ釣りで小アジを確保(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

好天に恵まれ9時過ぎまでの上り潮の3日は、朝5時半頃からあちこちでサゴシがあがり始め、中にはサワラも混じる好調ぶり。別のエリアではブリも釣れていて、武庫川渡船のホームページの釣果情報の更新が追い付かないほどの好調ぶり。

一方、前日の天候不良の影響が残った11日は冷たい北風が止まない曇天で、潮回りも6時過ぎの満潮からは下げ潮という釣りづらい状況のせいか、青物の回遊状況は激渋。

午前中に私の付近で見かけた釣果はサワラ1匹、サゴシ2匹だけで、大半の釣り人はノーバイトの惨憺たる状況。

ルアーだけで挑んだ釣り人は丸ボーズの憂き目を見る結果となった。

エレベーター釣法にヒットするが釣果なし

一方、私のほか小数派が試みたエレベーター釣法は、活きた小アジをエサにしたノマセ釣りの強みを発揮。波止全体では複数の釣り人がブリやメジロを釣りあげていた。しかし、ルアーと違ってフロロカーボンハリスを使っていることから、ブリ・メジロには対応できても、鋭い歯のサワラ・サゴシには弱い。

私も3日には8時半過ぎに竿先をひったくるような強いアタリに遭遇。リールのドラグ調整を施して巻き上げにかかるとパワフルな魚の手応えが伝わってきた。

大物と判る竿先の反応を見た周りの釣り人からの視線を受けながら奮闘するも、途中でフッと軽くなり、仕掛けは丸々切られてしまっていた。ミチイトはざらついていたので、サワラが一瞬掛かっていたのだろう。その後もう1回アタリがあったが、釣れたのはエソでがっかり。

釣れたのはエソ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

11日の激渋の日は、またしてもエソにガッカリした後の11時過ぎに、東方向でルアーマンがサワラをヒットさせた傍らで、私にも竿先がガクガクっと震えるアタリがあった。少し待ったが食い込みには至らず、巻き上げてみるとハリスは傷だらけで切れる寸前。サゴシに小アジだけを食いちぎられた跡ということのようだ。

沖向きの波止際でサッパ大漁の嬉しい誤算

エレベーター釣法でメジロを釣り上げた人がいたので、私の仕掛けにアタックしたのがサゴシじゃなくてメジロだったらなあと、悔しい思いが募る釣行となったが、嬉しい誤算もあった。

エレベーター釣法は待ちの釣りなので、片手間に沖向きの波止際でサビキ釣りを試みたところ、小サバや小アジに混じってパラパラと釣れたのが、平べったい魚体のサッパ。

小骨が多く火を入れた調理で生じる臭いが気になるという声もあるが、釣魚としての新鮮なサッパにはそうした心配は無用。

サッパを美味しく食べられるのは釣り人の特権とばかりに楽しみながら釣り続け、クーラーの底が埋まるぐらいの大漁となった。

沖向き波止際でサッパ連釣(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

青物は釣れなかったが収穫あり

結局、2度の釣行とも青物は釣れなかったが、私のエレベーター釣法には2度ともサワラ・サゴシがアタックしてきたので、タックルも釣り方も武庫川一文字で通用することを実感できたのは収穫だった。

また、黄色の蓄光サビキは、3号の太ハリスでも小アジに大いに訴求し、副産物としてサッパも釣れたので、また一つ有力アイテムを手にしたという思いもあった。

調理の下ごしらえは面倒ではあったが、鮮度抜群のサッパの唐揚げと小アジの南蛮漬けは絶品。今度はこの食卓にメジロの刺身やカマの塩焼きなども並べてみたいという新たな意欲が湧いてきた。

サッパの唐揚げと小アジの南蛮漬け(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)

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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>

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