今回は、ボートショー2024「海ゼミ」に持ち込んだ筆者のカヤック【ホビー ミラージュ・アウトバック】をくわしくご紹介します。足漕ぎカヤックの上位機種がどのようなものかご理解いただける内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
ホビー ミラージュ・アウトバック
ホビー ミラージュ・アウトバックは、ホビーカヤックのラインナップ中、中級者から上級者向けのモデルとされています。
安定性と機動力を高レベルで両立した船体に、快適装備や収納スペースを数多く盛り込んだ設計が特徴です。

中~上級者向けモデルといっても、エントリーモデルとくらべて操作が難しくなったり、漕ぐのが大変になったりすることは全然ありません。むしろ、釣りのしやすさを考えられた充実した装備は、初心者にこそ恩恵が大きいともいえます。
重量と価格はエントリーモデルよりかはアップしますが、水面に浮いてしまえば快適そのもの。これからカヤックフィッシングを本格的にやっていくと決心している方であれば、いきなりアウトバックを手に入れても後悔することはないはずです。
それでは、アウトバックの各部についてくわしく見ていきましょう。

アウトバックのスペック
全長:3.89m
全幅:86cm
船体重量:約38kg
完成重量:約46kg
最大搭載重量:約192kg
価格(税込):594,000円(カラーによって違いあり)
全長は軽自動車に合法的に積載可能なサイズ。気になる重量は、足漕ぎカヤックとしては標準的です。価格は安いに越したことはありませんが、購入後に艤装(カスタマイズ)する必要がほとんどない豪華な装備を考慮すると、致し方ないところでしょう。
軽量級の手漕ぎカヤックが20kg前後であることや、10万円台から買えることを考えると、少々覚悟がいることは否定できませんが、そこは「陸での手軽さをとるか、海での釣りのしやすさをとるか」、好みの問題になってきますね。

アウトバック各部の特徴を紹介
アウトバックに搭載されたテクノロジーや、装備されているパーツの特徴を紹介します。
ミラージュドライブ180ターボ+キックアップフィン
ホビーカヤックの心臓部ともいえるミラージュドライブ。
アウトバックは、前進・後進の切り替えが可能で、障害物と接触するとフィンが自動格納される「キックアップフィン」を装備した「ミラージュ180ターボ」を採用しています。
「ターボ」というのは「ターボフィン」を採用しているという意味。ノーマルフィンよりも長くて、推進力が増す効果があります。
後から単品で購入してアップグレードもできますが、意外と高価なパーツなので、標準装備はうれしいポイントです。

フロントハッチ
ホビー ミラージュ・アウトバックに乗って誰もが恩恵を実感するのが収納力の高さです。
フロントハッチは想像以上に容量があります。船体内部に通じているので、分解式のドーリーであれば収納できてしまうほどです。

一般的にカヤックのフロントハッチに入れるものは、釣行中にアクセスすると艇が不安定になるので陸上で使用するものに限定されます。しかし、アウトバックは安定感抜群なので釣行中にアクセスすることも可能。純正オプションのクーラーバッグを内蔵すれば、フロントハッチをクーラー代わりに使うこともできますよ。
とはいえ、筆者の場合は他の収納スペースで事足りているので、ハッチライナー(収納ボックス)を装着して段差乗り越え用のスロープなどを入れています。

センターハッチ
センターハッチは小物の収納に便利。筆者は、リーダーやスナップの予備やロープ類、ミラージュドライブのスペアパーツなどを入れています。防水性は高いですが「完全防水」ではないので、濡れて困るものは念のため防水ケースに入れてから収納しています。

ちなみに、センターハッチ横の薄いゴム板はスタンディングパッド。立ち上がって釣りをする時の滑り止めです。

リアラゲッジスペース
シート後部のラゲッジスペースは、一般的なフィッシングカヤックとくらべるとかなり広め。後述しますが、大きなクーラーボックスを収めることができます。ラゲッジスペース左右の側面には艤装に便利なトラックレールを標準装備。太めで丈夫なバンジーコードも、もちろん標準装備です。
リアハッチはありませんが、穴あけ加工をすれば円形のハッチを追加することができます。親切なことに、位置決めがしやすいようにあらかじめ円形のくぼみが設けてありますよ。釣り具だけではなくキャンプ道具も積んで無人島に上陸する場合など、収納力アップが必要になった時はぜひ増設を検討したいですね。

キックアップラダー(ラダー格納システム)
アウトバックのラダーは、出艇・着岸時には破損防止のため格納できる設計です。操作は手元のケーブルを引っ張れば格納され、もう一度引っ張ればロックが解除され操舵可能になります。

ガーディアン・トランスデューサー・シールド
ガーディアン・トランスデューサー・シールドは魚探の振動子を格納するシステム。こちらも操作はケーブルを引くだけです。

ハイスペックな魚探ほど振動子が大きくなり、船底から出っ張りますが、アウトバックなら何ら問題なし。着岸時に振動子を傷つける心配はありません。

H-Rail&トラックレール標準装備
アウトバックは、ホビーが特許を取得しているH-Railを標準装着しています。H-Railとは12面体のパイプで、クランプ型のマウントベースを使用して様々な艤装品を取り付けることができます。
それに加えて、フィッシングカヤックでは一般的なトラックレールも前後に装備。たいていの場合、船体に穴を開けずに艤装できるのは、このような充実したレール類を標準装備しているのが大きな理由といえます。

快適なシート
アウトバックに搭載されるのはVANTAGE CTW SEAT。蒸れにくいメッシュ生地の座面は、高さ調整やリクライニングが可能です。さらに、内蔵されている脚を伸ばせば、単体でビーチチェアとしても使える機能を備えています。釣りだけでなく、水辺でのレジャーを徹底的に楽しもうという、ホビー社の遊び心が表れている部分といえますね。

筆者の場合は、シート高を上げることでシート下を収納スペースとして活用しています。アウトバックは安定感が抜群なので、シートを一番高く(重心を高く)しても不安は感じません。大きなルアーケースも置けるので、ビッグベイトなどを使用する時期にはとても便利。
シート下の収納を快適に使えるカヤックは意外と少ないので、アウトバックのお気に入りポイントの一つです。

筆者の装備(艤装)を紹介
筆者が普段使用している装備も紹介します。
大きなクーラーボックスも横積みできる
アウトバック購入と同時に手に入れたクーラーボックスが、ダイワの「ライトトランクα SU3200」。
これがアウトバックのリアラゲッジに横置きできてピッタリ!内寸56.5cmで、それなりに大きな魚でも入れられて重宝しています。

縦置きならまだしも、外寸69cmのクーラーボックスを横置きできるカヤックはそうはありません。前後にスペースが残るので、クーラーボックス以外の荷物も収納できる余裕があります。

ロッドホルダー類
カヤックフィッシングに必須なのがロッドホルダー。アウトバックには、もともと船体に4か所のロッドホルダーが設置されていますが、延長・増設することでさらに使いやすくなります。

メイホウVS7055
筆者がクーラーボックスを載せていかない時に積んでいくのがメイホウの「VS7055」。
タックルボックスとしてルアーケースなどを収納するのに加え、オプションを追加してメインのロッドホルダーとして使用しています。キャスティング時に邪魔にならないよう、自分の背中のすぐ後に設置できるのが良いところです。
その日持っていくロッドの本数やグリップ長などに合わせて、いろいろと組み合わせを変更できるためとても便利。カヤックフィッシング以外でも使い回しできるので、一つ持っておいても損はないでしょう。

ロッドホルダーエクステンション
右後部のロッドホルダーには、純正のエクステンションを使用。海面からの高さを確保してリールが海水を被るのを軽減したり、グリップの長いロッドの収まりを良くしたりするのがおもな目的のパーツです。
筆者の使い方は、魚を取り込んでフックをはずす時や、タックルを持ち替える時のチョイ置き用。右手側のちょうど良い位置にあり、ロッドを深くホールドしてくれるので、必ず毎回装着しているアイテムです。

左側にロッドホルダーと魚探
左前方には、魚探とレイルブレイザ製ロッドホルダー2 +ロッドホルダーエクステンダーを装備。
魚探はホンデックス「PS-611CN」とRAM MOUNTS製パーツを組み合わせています。ワンタッチで脱着できる点や、細かな角度調整が可能な点がお気に入りです。

フラッグはダイソー竿を改造
セーフティフラッグは、ダイソーの振り出し竿を利用した自作品。車内に収納する時や、人混みの中でカヤックを引いて移動する時は縮められて便利です。もちろん、市販品も数多く販売されていますが、単純な構造のアイテムなのでDIYで安く済ませてみました。
メジャートレイ
釣れた魚のデータを記録しておきたい筆者の必需品がメジャートレイ。塩ビ製のハードな素材のおかげで、魚を載せてもしっかり正確に計測できます。
おかっぱりで使うクルクル丸めるタイプは、平らなスペースが少ないカヤック上での釣りには向いていません。Kayak55さんのメジャートレイは、伸縮式で110cmまで計測できるので、かなりの大物でも測定可能な優れものです。ぜひ、このメジャートレイに収まらない魚を釣り上げたいものです。

パワーポール
アウトバックの後端部には、パワーポールを取り付けるためのボルト穴が設置してあります。おそらく、ほとんどの方がパワーポールって何?と思うはずです。筆者自身もそうでした。

「パワーポール」を簡単に説明すると、アンカー代わりの長い棒を電動で水底に打ち込むアイテムです。日本の海で活躍する機会はほぼないですが、水深の浅い湖沼でのバスフィッシングが盛んな本国アメリカでは、メジャーなアイテムのようです。
ボルト穴は、パワーポールを取り付けなくても、セーフティフラッグやスパンカー設置する際のベースとして利用することも可能。自作パーツを取り付ける際などに、船体に新たな穴を開けずに艤装できるのはうれしいポイントです。

アウトバックは釣りに最適なカヤック
今回は、筆者の愛艇ホビー ミラージュ・アウトバックをご紹介しました。ホビーカヤックの上位機種がどのようなものか伝われば幸いです。
筆者は、なるべくシンプルな装備で荷物を減らしたいタイプなので、そこまで目を引く艤装はないかもしれません。しかし、アウトバックは拡張性がとても高いカヤックで、アングラーの様々な要求に応えられる懐の深さがあります。
もし、ホビーカヤックを手に入れようとお考えであれば、ぜひ候補に入れてみてください。
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<福永正博/TSURINEWSライター>