桜が散り季節は春から夏に移り変わろうとしているが、海の中も気温の上昇とともに活気づいてきた。今回注目したのは富山湾。

2008年の東海北陸道の全線開通で中部地区のアングラーにとっても、ぐっと身近になったエリアだ。4月19日にライトソルトゲームを楽しむため、富山行脚としゃれこんでみた。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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今回の釣りプラン

富山湾は中部エリアのアングラーにとって、遠征というほど遠距離でもないが、身近な釣り場というわけでもない。一宮から富山市街地まで約230kg、所要時間で約3時間ほどだが、釣り談義しながらだとあっという間に着いてしまうぐらいの距離だ。

今回のプランは事前に松尾さんと打ち合わせた結果、19日の午前6時すぎに出発し、予定では9時半に到着。富山市内の釣具店で情報を収集し、昼から本格的に釣ろうとなった。

富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
ショアジギングタックル(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

肝心のポイントだが、松尾さんが調べたところ富山湾東部の入善、生地、魚津辺りでアジングが好調とのこと。また魚津ではショアジギングで、現地でいうフクラギ、つまりハマチが釣れているらしい。ただし、これは朝夕のマヅメに釣果が集中しているらしく。釣り開始予定の日中では厳しいかも……とのこと。

だが回遊魚はサオを出してみないと分からないので、昼からワンチャンあるかも……のショアジギング、夕方から有力情報のあった生地(いくじ)でアジングという計画を立てた。

今年の富山湾の概況

さて、今年の富山湾はなんといってもホタルイカ!これに尽きるだろう。まれにみる豊漁で毎夜のように浜に身投げしているらしい。本来であれば新月大潮の夜中に接岸するのだが、今年は潮回りに関係なく接岸し、深夜の浜にはそれをすくう多くの人でにぎわっているとのこと。

実際釣行当日の夜も丑三つ時にもかかわらず、海岸線には多くの車が行き交い、浜にはサオではなく網を持った無数の人影が見えた。

またこの時期になると、接岸するホタルイカを捕食するフィッシュイーターも増加。その捕食者を狙うホタルイカパターンなるものも確立されており、まさにご当地メソッドといえる。シーバスやクロダイ、メバル、回遊魚などがターゲットになるのだが、ホタルイカを模したご当地ルアーも多く販売されている。

ワンチャンにかけてショアジギング

さて松尾さんと合流し、東海北陸道をのんびりと北上。ひるがのSAと城端PAで休憩を挟み、富山市内の釣具店フィッシャーズに到着したのは10時前だった。ホタルイカパターンのプラグなど見学しながら、ふと見るとキス開幕の文字が。ハマチがダメだったときのため、チョイ投げでもしてみるか……と簡単な仕掛けとエサ代わりにパワーイソメを購入。

そのまま東に進み、魚津漁港に到着したのは昼すぎだった。魚津漁港の大突堤は立ち入り禁止だが、釣れているのは車を止めた駐車場のすぐ前のテトラ。近くにいたアングラーに聞くと、早朝は多くの人でにぎわったらしい。魚を絞めたと思われる血痕も、ちらほら見受けられた。

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魚津漁港でショアジギング(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

松尾さんはショアジギングにしては比較的ライトなロッドに2500番のスピニングをセット。

かなり水深があるとのことなので、50gのジグをセットしていた。テトラの上から見ると手前は海藻が繁茂しており、その少し沖からドン深になっているようだ。松尾さんに聞くと、50gのジグでも着底にかなり時間を要するとのこと。

本命ポイントでデイアジング

私も少し離れて9.6ftのシーバスロッドを振り始めたが、予想通りというか、アタリは皆無。赤ナマコが引っ掛かってきただけで、魚のアタリは全くなく1時間後2人で再び会議。

このままチョイ投げしながら粘って夕マヅメにかけるか、生地へ移動してデイアジングに切り替えるか。松尾さんの意見はデイアジング。チョイ投げはどこででもできるだろうということでタックルを片付け、黒部市の生地漁港へ向かうことにした。

富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
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生地漁港のポイント(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

20分ほどで有力情報のあった生地漁港に到着。船だまりがやや奥まった所にあり、水路で外海に出るようだ。その水路に架かる可動橋は現在工事中。対岸の堤防に行くには、かなり大回りしなければならない。

どこの港もそうだが、常夜灯があり足場も良く非常に釣りやすい。

生地も同じで、南側の護岸は手すりまであり、安全面もばっちり。大突堤はやはり釣り禁止なので、その付け根に入ってデイアジングの開始となった。

雪代の白濁りで水温急降下?

港内のあちこちを探り回る松尾さん。だが、たま~にフグにワームをかじられる程度で、本命のアタリは全くない。私は何か釣れないかと、パワーイソメでチョイ投げをしてみた。

だがエサはかじられもせず、そのまま戻ってくる。実はここまでの無反応には心当たりがあった。途中通ってきた常願寺川の流れは、明らかに白濁りで雪代を多く含んでいることがひと目で分かった。

そしてショアジギングをしていた時に、戻ってくるジグが異常に冷たいのだ。そしてこの生地漁港の中も、明らかな白濁り。戻ってきたチョイ投げのオモリを触ると、びっくりするほど冷たい。

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チョイ投げでメゴチヒット(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

チョイ投げでかろうじて釣れたのは、ふてくされてパンパンに膨れたフグとかわいいメゴチのみ。顔ぐらいは見られるかと期待していたキスにはフラれてしまったが、富山湾のキスの濃さは特筆モノ。

GWごろには十分な釣果が望めるだろう。

この雪代流入には松尾さんも薄々気づいていたようで、少し移動することにした。次に向かったのは入善町の入善漁港。だがこちらは濁りこそマシだったものの、水の冷たさは変わらず。「夜にかけますか……」といったん休憩を入れ、名物ブラックラーメンで冷えた体を温めることにした。

本番のナイトゲーム開始

そして周囲が薄暗くなった午後6時30分、気合を入れて生地に戻る。常夜灯に明かりが入り、同時に昼間はゼロだったアングラーも増えてきた。電気ウキを投げている釣り人に聞くと、ヤリイカ狙いらしい。見ている前で、小ぶりながらヤリイカを抜き上げていた。

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まぶしいほどの常夜灯がある生地漁港(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

濁りがひどい港内を避け、松尾さんは大突堤の対岸にあたる手すりのある護岸に入る。LEDの常夜灯がまぶしいほど周囲を照らすので、海面にはくっきりと明暗ができている。

やはりナイトゲームは日中と違って、雰囲気が一変する。ココは期待しかない……と見ていると、松尾さんに待望のヒット。

富山入りしてから9時間、ようやく手にしたのは小さなカサゴだったが、うれしいうれしい1匹だった。

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ファーストフィッシュはカサゴ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

待望のアジ登場

「アジっぽいライズもあるんですよね」と松尾さん。カサゴを数匹釣った後、「コレ、アジですよ」と抜き上げたのは、まぎれもなく本命のアジ。ライズのあった表層ではなく、ボトムからの巻き上げにヒットしたらしい。

少し離れた所のアングラーは、20cmクラスのアジを上げているようでいよいよ楽しくなってきた。少しして先行のアングラーが帰ったため、そこに入ると、すぐ横はテトラ。その際を通すと、根魚が百発百中でヒットしてくる。しかも先のカサゴよりもかなりサイズアップしたヤツなので、エステル0.25号のラインだと取れない魚も。

富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
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カサゴは入れ食い状態(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

そこで私が松尾さんに代わり、チヌタックルで探るともうカサゴが入れ食い。ジグヘッドが着底した瞬間に食っており、大小さまざまなサイズが上がった。中には抱卵個体もおり、やはり富山は魚が濃いね~と松尾さんと2人で顔を見合わせた。

ソゲやイネゴチに名前の分からない魚も

松尾さんの方はというと、沖へ投げてこちらもアタリ頻発。

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意外な魚種イネゴチもヒット(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

無だった昼間は何なのか……と思うほどアタリが出る。

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イネゴチを手にパシャリ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

上がってきたのは、25cmほどのソゲ(ヒラメ)にイネゴチ、カサゴはもちろんムラソイのようなキジハタのような……、名前の分からない根魚も。

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あなたのお名前は……?(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

少ないながらアジも姿を見せるが、いかんせんサイズが上がらない。せめて20cmアップがほしいと、キャストを繰り返す松尾さん。港内も見てみたが、やはり白濁りがひどくアタリは皆無。反応があるのは常夜灯周りだけだ。

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重々しい引きでソゲも上がってきた(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ひとしきり釣った後、撮れ高十分ということでサイズアップを目指して経田漁港、魚津漁港へと移動してみた。だが経田で松尾さんが小メバルを1つ釣ったのみ。日付が変わり、粘り続ける松尾さんだったが、午前3時についにギブアップ。富山に来てから17時間、ようやく今釣行の幕が下りることになった。

富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
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ソゲ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

まとめ

さて、今回は雪代流入という想定内ではあるけど、まあ富山だし大丈夫だろう……という楽観思考を吹き飛ばす悪条件下での釣行となった。春にはよくあることだが、それでも夜になってからの連発劇は、さすが富山湾と思わせるもの。地元アングラーに聞いたところ、「5月に来たらいいよ。水温も上がるしアジやメバルならいくらでも釣れるよ」とのこと。

富山湾ライトルアー釣行でアジに苦戦もカサゴは入れ食いに ゲストにヒラメやコチ
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富山湾のアジングはおすすめ!(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

さらにはGWに入ればホタルイカパターンが終わるとともにさらに海が活気づき、ライトゲームだけでなくショアジギングも面白くなるらしい。さらに加えればチョイ投げで狙うキスなんかもファミリーにはお勧め。ぜひ豊穣の富山湾で、さまざまな釣りを楽しんでいただきたい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

▼この釣り船について
生地漁港
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年5月10日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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