今年の夏はとんでもない暑さが続いており、渓流は各地で渇水模様となっている。そんな状況でも釣りに行きたくなるのは、やはり渓流餌釣り師の性(さが)だろうか。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
前日からの雨で水量は?
前週はほぼ雨が降らず酷暑となっており、現地のライブカメラを確認すると明らかな渇水模様。だが、前日から雨が降り始め、これはラッキーだと喜んでいたら、晩~夜中は結構な雨量になってしまった。正直なところ、一時は釣りを諦めることも検討した。
迎えた釣行当日の明け方に現地の天気を確認すると、まだ雨は結構な強さで降り続いていた。そこで出発時間を40分程度遅らせて、6時ごろ到着するように現地へ向かった。到着するとまだ普通に雨は降っていたものの、予想に反して水量はほとんど回復しておらず、渇水のままだった。状況としては少々厳しいが、安心して釣りを楽しめそうだ。
入渓前の事前準備
今回の釣行は、著者にとって二度目の天川村となる。事前準備は大切だ。
ニジマスがいる
天川周辺では、稀にニジマスが釣れることがある。洞川温泉の一部区間ではニジマスが自然繁殖しているため禁漁区となっており、また本流のC&R区間では良型のニジマスを放流している。
これらが偶然釣れてしまった場合について、X(旧Twitter)のDMで漁協に問い合わせを行ったところ、「禁漁区やC&R区間外であれば、渓流釣りシーズン内はニジマスのキープが可能です」との回答を頂いた。また、今回の釣行とこのやりとりについて記事化の確認をさせて頂いたところ、こちらも快諾頂いた。実にありがたい。
日券を購入
著者が訪れた早朝は漁協の営業時間外。渓流釣りの楽しむなら、遊漁券の購入は必須事項となる。

早朝から唯一日券を購入できるのは、「福西豆腐店」さんだ。3500円を支払い、無事購入した。その際、今回使用するエサであるブドウムシ(700円)とミミズ(450円)も併せて購入しておいた。

洞川へ入渓
まずは観光客が比較的少ないであろう、洞川温泉より下流部を攻めてみることにした。
入渓
川合交差点からやや北へ上がり、トンネルを超えた先に橋があるのだが、そのやや上流部辺りに駐車スペースを発見。今回はここから入渓することにした。

仕掛け
いつもは兵庫県宍粟市の揖保川水系で渓流釣りを楽しんでいる著者。地元で使用している仕掛けをそのまま流用している。結構な渇水だったので、オモリはG3からスタートし、水深によって使い分けていくスタイルだ。

入渓場所からアタリ連発!
2年前にも訪れたことがある区画なので、ある程度の地形は把握済み。あちこちに真新しい足跡が残る中、流れがある場所を狙いながら流していくと、早々に15cm程度のアマゴがヒット。ここから、退屈しない程度にアタリが出る。

流石の魚影の濃さ
天川村は「アマゴの聖地」と言われるだけあり、やはり魚影は濃いようだ。流れの淀みにはアユやアマゴ、ハヤがハッキリと見えるレベルで泳いでいるし、遡行中に岩陰からアマゴが飛び出してくる……という光景を幾度となく目にした。これは地元の揖保川水系ではほぼ見られない光景だ……。
流れ込みで良型キャッチ!
順調に釣り上がって行くと、岩盤の間を流れる良い感じの流れ込みを発見。白泡が立っている上、シモにウケとなる岩があり、雰囲気は抜群だ。

早速仕掛けを反転流で馴染ませてから白泡の流れへと誘導すると、目印がスッと消し込むアタリ。中々の引き味で、見事23cmの良型をキャッチ。この他、遡行が不可能となる巨大な淵まで釣り上がり、午前9時半ごろまでに13匹のアマゴをゲットした。
23cmの良型アマゴ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)トンネルのすぐ先から再入渓
一度脱渓した後車へと戻り、しばし熟考。先ほど通過した、トンネルを抜けた直後のエリアが気になったので、川を下って再入渓することにした。大変入り辛い場所だったが、どういう訳かこの周辺も足跡だらけ。釣り荒れていたのか、やや釣り下がった場所で2匹、少し釣り上がった場所で2匹を追加しただけだった。
移動して川迫ダムの下流へ
洞川以外の他の場所を見てみたくなり、昼前に大きく移動することにした。
みたらい渓谷の先へ
他の川はどうなのだろうと考えるのは渓流師なら至極当然かもしれない。という事で、川迫ダム方面へと向かった。みたらい渓谷周辺は観光シーズンという事もありごった返していたが、その先にあるトンネルを超えると人が激減。だが、簡単に降りられる場所が無い。
支流には禁漁区があるので、その事を考慮しながら進んでいくと、ようやく川へと降りやすそうな場所を発見したので、再入渓。このエリアはかなり入渓しにくいのでは……と考えたのだが、実際は足跡だらけ。考えることは皆一緒のようだ。
一か所一尾
川迫川も大変な渇水状況となっており、川幅はかなり狭くて浅くなっている。が、畳一畳分くらいの落ち込みが点在していたので、6.1mの竿を用いて離れた場所からブドウムシを打ち込むとアマゴの反応がある。スレやすく厳しい状況ではあるが、少しずつ追加していく。
当日狙ったポイント(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)淵でもヒット
水深が6mはありそうな巨大な淵もあり、一見魚影が無いものの、仕掛けを沈めていくとどこからともなくアマゴが登場。「見えている魚は釣れない」というが、この場所は関係なかったようで、ス~っとやってきて普通に食ってきた。
深い淵(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)まだ釣り上がってみたいという欲求はあったのだが、いつしか太陽が出てきてからは相当な暑さとなり、体力の限界。14時半ごろに納竿とした。
天川村はやっぱり聖地だった
この日の最終釣果は、23cmまでのアマゴが25匹。家族で食べる10匹とキープとした。
渇水で大変釣り辛い状況の中、これだけの数のアマゴが見られたのは、魚影が濃い天川村ならではと言えそうだ。
処理済みのアマゴ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)注意してほしいのは、今回著者が訪れた洞川・川迫川は場所によって谷が深くなっており、おいそれと脱渓出来る環境ではないということ。また、岩が大きくて歩き辛いエリアもある。入渓した場所をきちんと覚えておき、急な増水などに備えて、帰るルートも随時確認しながら釣行しよう。間もなく禁漁期を迎えるが、是非天川村の魚影の濃さを堪能してみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>