家族で楽しめるアクティビティの代表格、潮干狩りのシーズンがやってきた。シーズン初期である4月8日、釣り人ならではの視点で楽しんできた様子をレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
家族で潮干狩り
潮干狩りは、小さなお子さんから我々のようなアングラーまで、幅広く楽しめるアクティビティだ。まずは、今回著者が訪れた潮干狩り場がどのような場所か、そして「何を持参すればよいか」等を紹介したい。
場所は姫路市・的形
著者の住む兵庫県では、4月頭頃から潮干狩りがスタートする場所が多い。今回家族で訪れたのは、兵庫県姫路市にある的形潮干狩場・海水浴場だ。毎年4月1日から6月30日まで潮干狩り場として営業しており、それ以降は海水浴場となる。

2025年現在の潮干狩りの料金は大人1500円・子供900円で、駐車料金は500円(1台/1日)となっている。
アサリ以外も狙える!
的形潮干狩場ではメインとなるアサリの他、時期や潮の状況次第でハマグリやマテガイも採集することが可能だ。

今回は残念ながらアサリのみだったが、過去にはハマグリが大漁に採れたこともある。
持参物
一般的に潮干狩りで使用する物を表にまとめてみたので、潮干狩りの際の参考にしてみてほしい。

洗濯ネットを入れている理由だが、貝類は持ち帰る際、水に浸してしまうと酸欠になり死んでしまう。そのため、水から出して洗濯ネット(100均で十分)に入れ、クーラーで軽く冷やしながら持ち帰るのがオススメだ。さらに著者は、「釣り人ならでは」の視点で幾つか釣具も持参した。こちらは後ほど紹介したい。
手分けして大漁ゲットを目指す
迎えた当日。この日はあいにく嫁さんだけ仕事だったため、学校から帰宅直後の息子、著者、そしてお義母さんの3人で、潮干狩りへと向かうことになった。
当日の潮汐
潮干狩りにおいて非常に重要となるのが、当日の潮汐だ。この日は若潮で8時58分に満潮(144cm)、15時22分に干潮(51cm)となっており、およそ90cm程度潮位が下がる事になっている。現地に着いたのは13時頃で、潮は既にかなり引いていた。最初は波打ち際から初めて、徐々に沖へと捜索範囲を広げていくという算段となる。
まずは普通に掘る
支度を整えた後、早速波打ち際をクマデやスコップで掘ってみたのだが、中々出てこない。まだ初期という事もあり、水温がかなり低いようだ。そこで、多少深めを意識して掘り進めていくと、15cm近く掘ったところでようやく1つ目のアサリを発見。そこからは退屈しない程度に出てくるようになった。

子供でも楽しめる
苦戦している息子には、「広く浅く探る、ただし今日はやや深めに掘る」という採り方を伝授。さらに探すべき場所として「砂の流れ(砂紋)や波・海底に変化がある場所(ヨブ)を探す」という事も併せて伝え、お義母さんと共に広範囲を掘り進めてもらうと、ようやくある程度纏まって採れるところを発見。

軌道に乗ってきたので、二人には安全な波打ち際を攻めてもらう事とし、著者は徐々に沖へと移動してみる事にした。
深い場所は荒れにくい
元々渓流釣り師である著者は、日頃からチェストハイウェーダーを愛用している。この強みを活かし、水深が膝程度の所まで歩を進めてみた。
すると、スタッフが事前に撒いたのであろうアサリが、目視で多数確認できたので、これ幸いと拾っていく。
この視点は釣り人ならでは!?
ここまである程度は採れていたので退屈こそしないものの、やはり潮干狩りの魅力と言えば「纏まってザックザック出てくる!」ではないだろうか。
そこで著者は、釣り人お得意の思考パターンを巡らせ、思いついた作戦を実行。これが見事にハマったので紹介したい。
アサリがいるラインを考える
サーフからの投げ釣りを楽しむ際、PEラインのマーカーを基準として「投点から~mラインに多い」といった考え方をすることが多い。そこで、1個発見したラインを基準に波打ち際から沖に向かって進むのではなく、並行に進んで掘ってみることにしたのだ。

狙ったのは砂紋に変化のあるラインで、この時は波打ち際からおよそ6mと、3m。これが見事にハマり、掘ればザクザクとアサリが採れ始めた。
道具は不要!?
最初の方こそ水中でクマデを使用していたのだが、やはり海中でクマデを動かすと水の抵抗がキツイ。そこで、砂に対して軍手をした掌を当て、撫で押ししながら円を描くようにしてみると、驚くほど簡単に採れる。
手に直接貝の感触が伝わるので、取りこぼしも少なくて済む。陸では道具、海中を狙う際は軍手を装着した手……と使い分けるのが良さそうだ。
良いポイントには沢山!
釣り中も「良いポイントに当たった」という事があるように、アサリにも潮の流れ・地形的に「固まって棲息する場所」というのがあるようだ。砂紋だけでなく、水面/ヨブの状態・潮の流れを確認して山立てをし、その場所を丹念に探るとハズレが無い。
結果、大漁!
ある程度経ってから戻ってくると、コツを掴んでいた息子とお義母さんも中々順調だったようだ。周囲の家族が苦戦し、小さなバケツに僅かしか入っていない中、我が家は大漁となった。15時半頃終了としたのだが、最終的に3~3.5kg程度のアサリを採る事が出来た。これには息子もご満悦だ。

あると便利な釣具紹介
ではここから、今回著者が使用した「あると便利な釣具」を紹介したい。
ウェーダー
今回著者は最初からウェーダーを着用して挑んだ。海水温がまだ低い為に水着は厳しい訳だが、ウェーダーなら一切問題が無い。かなり深いところまで行ける上に、濡れることを全く気にしなくていいのは、潮干狩りにおいて大きなアドバンテージと言えるだろう。
持っている方は、是非着用してもらいたい。若干「ガチ勢感」が出るのは否めないが……!
ビク
渓流釣りで日頃愛用しているビクが、潮干狩りの最中も最高の相棒となった。肩紐を一番短くして首から下げておけば、採集したアサリをそのままワンタッチでインできるため大変効率が良い。万が一傾いても、構造上貝をこぼす事もないので安心だ。

バッカン
潮干狩りはその特性上、どうしても砂まみれになる。勿論、大抵の潮干狩り場で綺麗に洗う事が可能だが、今度は濡れた道具を車に積む際にどうするか……と言った問題が発生する。全ての道具を収納できるキャパを備えたバッカンは最強アイテムかもしれない。

空のペットボトル
これは釣具ではないのだが、採ってきた貝を砂出しさせる為に現地の海水は必須だ。海水程度の濃度の塩水でも可能ではあるが、砂を吐くレベルが全く違うので、海水は是非持ち帰ってほしい。今回は8リットル程度の海水を詰めて持ち帰り、砂出し中に3回水換えを行ったのだが、丁度いい量だった。
採ってきた後は?
最後に、採ってきたアサリをどう処理するのかを紹介しよう。
砂抜き
吐き出した砂を再度吸い込んでしまう事を避ける為、著者はスノコ付きタッパーを愛用している。

こちらにアサリを重ならないように並べ、やや貝の表面が出る程度に海水を注ぐ。完全に水没させると窒息してしまうので注意しよう。後はアルミホイルでフワっと蓋をし、使い古したタオルで周囲を覆って暗い状態にすると、落ち着いて砂を吐いてくれる上に周囲が水浸しになる事を防ぐことが出来る。

後は6~8時間に1度水換えを行いながら、可能であれば丸1日程度は砂抜きを行いたい。8~12時間程度でも食べれなくはないが、普通に砂が残っている印象だ。
匂いに注意
どうしても途中で死んでしまう貝が出てくるのだが、これが強烈にドブ臭い。放置すると周囲の貝が全てダメになるので、マメにスメルチェックを行い、死んでいれば即処分しよう。
アサリ料理を堪能
こうして砂抜きを終えたアサリだが、やはり王道の酒蒸しが超絶に旨いため、個数を分けないと取り合いになってしまうレベルだ。さらに、残り汁にパスタを入れて、バターで絡めても最高だ。さらに翌日、我が家ではアサリご飯と佃煮も堪能した。

保存方法
砂抜きが終わったアサリは、真水でしっかりと殻の表面の汚れを取ったら、ジップロックに重ならないように並べて急速冷凍しておこう。こうすれば料理する際、そのまま放り込むだけでOKというお手軽さだ。
最高に楽しい潮干狩りを堪能
著者が訪れた4月初旬はまだ水温が低かったため、アサリがやや深くに潜っていたり、浅場の方が攻めやすかった。この記事が出る頃には気温・水温が上昇し、ベストシーズンとなっているはずで、より採りやすくなる事だろう。
その反面、日差しが強くなり日焼け・熱中症のリスクが大幅に増すので、対策を採りつつ水分も補給しながら、家族で楽しんでみてはいかがだろうか。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>