私たちの想像をはるかに超える巨大な生き物たちが暮らす広大な海。その深さは最深部で1万924メートルにも及び、まさに地球最大の生態系といえます。

そんな海にすむ巨大な生き物の中でも、特に魅力的な3種の生き物をご紹介します。

『サカナト』で読む

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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海の賢者「クジラ」

最初に紹介するのはクジラ。地球上最大の動物であるシロナガスクジラをはじめ、多種多様な仲間がいます。

体重200t『シロナガスクジラ』

シロナガスクジラは、体長は最大30メートル以上、体重は200トン近くにもなり、心臓は小型車ほどの大きさがあります。

この巨大な体の主食は、なんと体長わずか数センチのオキアミ。大きな口で海水ごと吸い込み、ヒゲ板で濾しとって食べています。

歌を歌う『ザトウクジラ』

ザトウクジラは、長い胸びれと力強いジャンプ(ブリーチング)が特徴です。

特にオスは歌を歌うことで知られ、複雑な旋律を持つ歌は繁殖行動に関係していると考えられています。その歌は10~30分続くことがあり、繰り返し歌われることもあります。

【海の巨大生物】クジラ・ジンベエザメ・ダイオウイカの知られざる魅力
【海の巨大生物】クジラ・ジンベエザメ・ダイオウイカの知られざる魅力
ザトウクジラ(提供:PhotoAC)

深海のハンター『マッコウクジラ』

マッコウクジラは、深海で狩りをするハンターとして知られています。

頭の中には「脳油」と呼ばれる特殊な油が詰まっていて、これがエコーロケーション(音を使った探知能力)を助けていると考えられています。

3000メートルを超える深さまで潜る記録もあり、ダイオウイカや大きなイカを捕まえて食べます。その狩りの詳細は未解明の部分が多く、今後の研究が期待されています。

水族館の人気者『ジンベエザメ』

世界最大の魚・ジンベイザメは、ゆったりと広い海を旅するサメの仲間です。

体長は平均10~12メートルですが、最大20メートル以上の個体も確認されています。

体重は15トンを超え、巨大な体を持ちながらも、とても穏やかな性格です。

【海の巨大生物】クジラ・ジンベエザメ・ダイオウイカの知られざる魅力
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ジンベエザメ(提供:PhotoAC)

体の表面には白と黄色の斑点模様が広がり、その優雅な泳ぎはまるで海の芸術作品。大きな口を開けて泳ぎながら海水ごと吸い込み、プランクトンや小魚を濾し取る姿は、まるで「巨大なフィルター」のようです。

この巨体にもかかわらず、人間を含む大型生物を襲うことはなく、ダイバーと並んで泳ぐ姿もよく目撃されます。

深海の伝説『ダイオウイカ』

長らく「幻の生物」とされてきたダイオウイカ。その体長は最大で15メートル前後と推測され、深海の神秘を象徴する巨大生物です。

【海の巨大生物】クジラ・ジンベエザメ・ダイオウイカの知られざる魅力
【海の巨大生物】クジラ・ジンベエザメ・ダイオウイカの知られざる魅力
ダイオウイカ(提供:PhotoAC)

目の大きさは最大で約27センチとされ、これは地球上の全ての動物の中で最大級。この大きな目は、深海の暗闇で獲物を探すのに重要な役割を果たしています。

かつては漁師の伝説や打ち上げられた死骸でしか存在を確認できませんでしたが、2004年には日本の研究チームが世界で初めて生きた姿の撮影に成功。その神秘的な姿は、深海の生態に新たな知見をもたらしました。

マッコウクジラの体表には、ダイオウイカの吸盤による傷跡がしばしば見つかっており、深海での捕食関係を示す証拠となっています。

海の巨大生物と未来

クジラ、ジンベイザメ、ダイオウイカ。それぞれが驚くべき特徴を持ち、海の中で独自の暮らしをしています。

彼らの生態にはまだ解明されていないことも多く、研究が進むたびに新たな発見が生まれています。

ただ、環境問題や気候変動の影響で、海の生き物たちの暮らしが脅かされているのも事実。彼らの姿を未来にも残していくために、私たちができることを考えていきたいですね。

<minto/サカナトライター>

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