連日の雨がようやく止んだ五島列島。筆者は晴れ間の下、散歩中に水たまりで泳ぐアメンボを見つけました。

よく見る光景ですが、「どうやって浮いてるの?歩いてくるの?」と疑問が。身近な存在なのに、知らないことだらけだったのです。

『サカナト』で読む

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

意外と知らない『アメンボ』が水の上を歩ける理由 実はカメムシ...の画像はこちら >>

アメンボの名前の由来は匂い?

「アメンボ」という名前の由来にはいくつかの説があります。

よく言われるもののひとつは「飴のような臭いがする坊や」でアメンボ。もうひとつが「飴のような臭いがする細長い棒」でアメンボです。

両方に共通しているのは「飴のような臭いがする」という点。そう、実はアメンボはカメムシの仲間であり飴玉のような臭いを出すことで天敵から身を守っているのです。

同じカメムシの仲間であるにも関わらず、ここまで放つ臭いが違うとは……。生物は本当に不思議ですよね。

アメンボはなぜ水の上を歩ける?

アメンボはどのようにして水の上を歩いているのでしょうか?

実は、アメンボの脚には、びっしりと“細かい毛”が生えています。さらに、その毛には「水をはじく油」がついていて、これが水に浮かべる秘密です。

また、水面を移動する際は中脚をオールのように扱い、後脚はバランスを取りながら進みたい方向へ向かう舵のような役割をしています。

アメンボが水面に浮かぶことのできる理由がもうひとつ、それは体重がとても軽いということ。

アメンボの体重は種類にもよりますがおよそ0.04gしかなく、アメンボ25匹で1円玉1枚の重さです。

水に沈まない落ち葉のようですね。

空を飛ぶアメンボ

雨上がり、突然できる水たまりの上で当たり前のように浮かんでいるアメンボですが、彼らはどこからやってくるのでしょうか。

陸を歩いてくる? いいえ、アメンボは空を飛んで移動してくるのです。

最長500m先まで飛んだアメンボも確認されているといいます。飛んでいるアメンボの姿はなかなか想像できません。

意外と知らない『アメンボ』が水の上を歩ける理由 実はカメムシの仲間で空も飛べる?
意外と知らない『アメンボ』が水の上を歩ける理由 実はカメムシの仲間で空も飛べる?
波紋をたてて泳ぐアメンボ(提供:PhotoAC)

アメンボは意外にも肉食!

いつも水たまりに浮かんでいるアメンボですが、水面に落ちてきた虫の体液を吸って生きています。

アメンボの口は針のように尖っており、獲物の体に突き刺すと体の中身が溶け出してしまう液を流し込み、溶けた液を吸うのです。

溺れながら体液を吸われるなんて、想像しただけでも恐ろしい……。

身近な生き物の発見

普段何気なく見かける生物も改めて調べてみると、自分の特徴を生かしながら生活しているということがよく分かります。何気ない水たまりにも、小さなハンターの物語があるんですね。

こうしてアメンボについて知ってみると、次にアメンボを見かけたとき、ちょっと目を向けたくなります。雨上がりの町を歩くときは水たまりに注目してみてくださいね。

<ティガ/サカナトライター>

編集部おすすめ