世界の文化に出会えるのが万博の魅力。多様な魚食文化に触れてきました!
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
大阪・関西万博
連日ニュースを賑わせる大阪•関西万博。筆者もつい先日、取材に行ってきました。
世界各国のイメージを投影した多種多様なパビリオンは見ているだけでも飽きず、その展示物は我々日本人が見たことないような情報ばかりでとても楽しかったです。しかし筆者が一番楽しみにしていたのはやはり「食べ物」
魚料理が大好きな筆者、訪れたパビリオンに魚料理があればできるだけ注文して食べてみました。なかでも良かったと思うものをいくつかご紹介します。
王道のフィッシュ&チップス
和食以外の魚料理で知っているものはありますか、とアンケートを取ったら、おそらく上位に来るのが「フィッシュ&チップス」でしょう。
我々日本人にとって英国料理といえばこれ! というフィッシュ&チップス、英国パビリオンで本場の味わいが楽しめると聞いたので試してみました。
着席して程なく出てきたのがこちら。

細長い短冊状のフィッシュが、指よりも太いフライドポテトの上に乗っています。魚はタラ系の白身でサッパリながらもジューシー、よく言われる独特の臭みは全くありません。
味付けは塩のみで、卓上のチリビネガーをビシャビシャになるほどかけると厚い衣と相まって美味しいです。ライトでドライなビールとの相性も抜群でした。
ポルトガルの「バカリャウコロッケ」
続けて向かったのがポルトガルパビリオン。イギリス同様海洋覇権国だった歴史を持ち、肉よりも魚を好むとされています。
注文できた魚介メニューはバカリャウコロッケ。ポルトガルの国民食といえる干し鱈「バカリャウ」を戻してほぐし、ジャガイモに練り込んで揚げたものです。

パッと見は普通のコロッケに見えますが、衣が薄くパン粉を纏っていないためほくっとした口当たりです。よく練られた滑らかな記事は魚の風味がいっぱいで、バカリャウ由来の塩気がちょうどよく、ビールとも白ワインとも非常に合いそうな味わいでした。
バカリャウは日本だとちょっと手に入れづらいですが、普通の干し鱈なら乾物屋で当たり前に買うことができます。干し鱈を使いつつ塩気をうまく足してあげることで、バカリャウコロッケの味は再現できそうな気もしました。
サウジアラビアの「サイヤディーヤ」
万博で出会った最も印象深い魚料理は、サウジアラビアパビリオンレストランの「サイヤディーヤ」です。そもそもここのレストランは美味しいという評判な上に、席数が極めて少なく、入場待ちの行列にたどり着くことすら困難であるといわれていました。
2日にわたり挑戦して何とか列の入り口が開くのに遭遇し、そこからさらに2時間半並んでようやく辿り着いたレストランで出てきたのがこのサイヤディーヤ。

ハタ科の魚の丸揚げが、ピラフ的な炊き込みご飯の上に盛り付けてあります。カリカリに揚がった魚の香ばしさはもちろんのこと、魚の出汁や玉ねぎの甘味がよく効いた炊き込みご飯は極めて贅沢な味わいで、これは並んでも食べたい味だと思いました。
このサイヤディーヤ以外にも、アラブ諸国のパビリオンレストランには魚とライスを合わせた料理がいくつかあり、そのいずれもが和食のそれと大きく違う味わいを感じさせてくれました。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>