釣った魚は自分でさばいて食べるのもよいが、そんな腕前もない場合は、なじみの居酒屋なんかに持ち込む手もある。しかし筆者の知る限り、魚の持ち込みに関しては、あまり良くない顔をされることが多いようだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
居酒屋に魚の持ち込みしてもいい?
なじみの居酒屋であれば、「ああ、魚持ち込んできてくれてもいいですよ」と軽く請け負ってくれることもあるかもしれない。それならば遠慮することはないのだが、お店の状況によって、どちらかといえば苦い顔をされることがほとんどではないだろうか?どうにも魚の調理というのは困らせものみたいだ。
まず、チェーンのお店では原則としてお断りである。個人経営で、魚の調理もできますという料理人の方がいらっしゃる場合に、釣魚を持ち込んでいいという可能性も出てくる。
持ち込んでいいかどうかは、お店の仕様次第ということも多いようだ。最初からまったく受け付けていないところもあるかもしれないが、まあOKの場合は、大前提として、床が洗えるような仕様になっているらしい。
これは魚の調理の際、床にうろこなどが飛んでしまうからだ。どんな厨房か、そんなことも気にしなければならない。

以下、筆者が知っている釣魚持ち込みOKのお店の例を2つ示したい。
OKのお店の場合
快く釣魚持ち込みを受け入れてくれる大阪難波の居酒屋がある。もちろん一見さんではそういうわけにはいかないだろうが、何度か通っていて、こちらが釣り好きであることを知ると受け入れてくれる。
このお店で釣魚を持ち込む際には、「できたらうろこは落としてきてくれ」、そして「ワタは出さなくていいから、おいしく食べたいなら海水につけてきてくれ」と言われる。
私はここの大将のことを料理の天才だと思っているので、「海水につけてきてくれ」というのは何か確かな理由があることなのだろうと思いつつ聞けていないが、まあ鮮度が落ちにくいということだろう。
「うろこだけ落としてきて」と言うのは、単に面倒臭いかららしい。「シーバスやなんかは持ってくるなよ」と言われるので、魚種も選ぶところがあるのだろう。メバルとアジなら「別にいいよ」とのこと。
私も通ううちにお店の中のことはよく知るようになっているが、ここの厨房はちゃんと床が水で流せるようになっている。だから魚を調理することもできるのだ。実際に定番メニューで魚類の提供も多い。

部分的にOKのお店
近所の居酒屋でも、一軒だけ、「あー魚ね、よく言われますね……」とちょっと苦い反応を示しながら部分的にOKを示してくれるお店がある。
このお店は串揚げ屋さんなのだが、やはり厨房がざっと水をかけて洗い流せる環境にはなっていないのだ。また基本的に大将が一人で切り盛りしているから、調理が追い付かないということもあるらしい。
「まあね、でも持ち込む前に一言連絡もらって、どこかで処理してきてくれたらいいですよ」という返事はもらうことができている。
このお店は商店街の中にあるので、夕方、まだ魚屋さんが開いている時間ならば、「魚屋でさばいてもらうからとりあえず持ってきてもいいよ」ということもある。

ちなみにここの店主は一年ほど前に釣りに挑戦したが、挫折してしまった様子である。私が釣りライターであることを告白すると、「やっぱり人に教えてもらわないとダメなんだろうな」と呟いていた。
基本的には歓迎されないかも
魚を基本にやっているお店なら、いい魚種を持ち込めば確かにお店としてもうれしいこともあるのかもしれないが、基本的に釣魚の居酒屋への持ち込みは歓迎されない様子である。
だが、私もこうして聞きまわるうちに、「近所の魚屋さんでさばいてもらう」方法があることを、はじめて知った。なるほど。私のように調理の腕前が壊滅的な人は、そんな方法があることも覚えておこう。
<井上海生/TSURINEWSライター>
