東京湾では、タチウオは年間を通して人気の高いターゲットである。時期ごとに活性や行動パターンが変化し、まるで夏と冬では別の魚種かと思えるほど釣り方が異なる。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)
タチウオの特徴
タチウオは水中で頭を上にして立っているように見えることから「立ち魚」と呼ばれたり、刀のように細長く銀色であることから「太刀魚」と呼ばれることもある。
時期や活性によって縦に泳ぐこともあれば、横に泳ぐこともある。夏の東京湾では小型の個体も多く、群れで回遊するため、比較的釣果を得やすい。坊主(釣果ゼロ)になりにくく、船釣りデビューにもおすすめの魚種である。

東京湾の天秤タチウオ釣り
東京湾の天秤タチウオ釣りを攻略するには、次の3つのポイントが重要だ。
エサのつけ方
エサは回転せずまっすぐになるように付けることが基本。短冊状の鯖やこのしろの切り身の中心に針が通るようにし、縫い刺しに固定する。中心に針が通らない、もしくは針の軸に対しまっすぐに切り身が通っていないと仕掛けが海中で回転し、魚がエサを食いづらくなりアタリも減少する。
棚(水深)
群れのいる水深に正確に仕掛けを合わせることが必須である。指示棚より深くすると群れが散る恐れがあるため注意が必要だ。遊漁船の場合大抵何mから何メートル、と船長が指示をしてくれるので指示された水深より仕掛けを深く落とさないように注意したい。
誘い
タチウオは動くエサに好反応を示す。誘い方や巻き幅のパターンを変えつつ、釣れている人の動きを観察することが重要だ。

夏時期の仕掛け
基本は一本針仕掛け、そのハリにサバやコノシロの切り身を付けるシンプルな構成だ。夏は小型主体のため、針はやや小さめ(1/0または2/0)、ハリスの長さは2m程度が適している。
それに対し、冬は逆テーパー仕掛けで2.5m程度の長めのハリスを使用し、フォールでゆっくり餌が落ちるような仕掛けで食わせるのが一般的だ。活性の違いによって、テーパー仕掛けとテーパーなしを使い分けることが効果的である。
夏でも人によりかけるタイミングによってライン切れが目立つようなら、逆テーパー仕掛けにしてラインを一部補強することも対策の一つだ。餌が動きづらくなる分、多少アタリは減る傾向にあるが対策としては有効だろう。

筆者のおすすめ仕掛け
夏の東京湾では、2m前後のハリスに小型のタチウオバリ、ハリスはフロロカーボン6号程度、針は1/0の小さめのものが扱いやすい。少し中型がまじる時期になってきてからは2/0サイズの針と使い分ける。

夏の誘い方
夏は活性が高く、積極的にエサを追う個体が多い。基本はシャクりとリールの巻きを1セットとする動作を繰り返す。細かく早めのピッチで餌が小刻みに海中で揺れることをイメージして竿を動かすとあたりやすい。
このしゃくりのタイミングや巻き幅の違いが釣果に直結するが周囲で釣れている人の動きを観察し、同じパターンを試すことが効果的だ。
一方、冬の太刀魚は積極的にエサを追いかけないため、一回大きくエサをしゃくり上げた後は、自然とフォールさせてステイさせるパターンで食うことが多い。
夏の太刀魚と同じイメージでしゃくってしまうと冬場はとたんにアタリが減るという面白い特徴がある。冬の太刀魚の当たり方はまた別の機会に紹介したい。
アタリのパターン
タチウオのアタリは、ガガッという前アタリが数回続き、その後に重みが加わるのが典型的。活性が高い時はワンバイトで竿が引き込まれる時もあるが、大抵は長い短冊状のエサの先端から咥えて喰っていくことが多いので、最初のアタリから口を離してしまわないよう慎重に喰わせていって竿が引き込まれる本アタリのタイミングを見計らって合わせる必要がある。
同じようにしゃくり続けて竿が食い込むパターンもあればワンバイトした後、巻き幅を少なくして食わせやすくしたり、早く勝負が着く日は強気に巻き幅を変えずに追わせることも。その日の手応えを注意深く観察したい。
ロッド選びも重要
誘いから食わせまでの動作をスムーズにつなげるロッド選びも重要だ。硬めのロッドはしゃくった際のアピール力が高い反面、繊細なアタリを弾いてしまうこともしばしば。
初心者にはゲームロッドの7:3調子で少し柔らかめの竿が向こうアワセになりやすくおすすめだ。
ちなみに冬の食いが悪い時の貴重なアタリはもっと繊細で、一度でも違和感を与えてしまうと離れてしまう。食いが悪い時ほど柔らかく、食い込みの良いロッドや天秤を使用することが本あたりに導くために必要だと痛感する。
船の天秤タチウオ釣りQ&A
ここからは、これから天秤タチウオ釣りに挑戦する上でよくある質問と回答をまとめてみた。
Q1. 持ち物や服装はどうすればいい?
雨が降りそうな日は、雨具があると安心。晴れの日の場合は、強い日差しを避けるための日焼け止めや帽子、水分補給の飲み物も必須だ。
ライフジャケットは船宿が貸してくれるが、快適に釣りがしたいのであれば腰巻きタイプを購入すると涼しい上に動きやすい。
Q2. どうやって持ち帰ればいい?
クーラーボックスと保冷剤(または氷)を用意する。タチウオは細長いので長さに合うサイズのクーラーが便利。氷は船宿で販売している場合もあるため、事前に確認しておくと安心。
Q3. どんな料理がおすすめ?
タチウオは刺身・塩焼き・天ぷら・ムニエルなど幅広く楽しめる。鱗がないため捌きやすく、魚を捌いたことがないビギナーにもおすすめ。釣ったその日は刺身、翌日は天ぷらといった食べ方も人気だ。
夏ならではの釣りを楽しもう
夏のタチウオ釣りは、同じ日でも流しごとに当たり方が変化する。当たりにつながるパターンをいち早く見つけることが釣果アップの鍵だ。東京湾の夏タチウオは、初心者からベテランまで幅広く楽しめる絶好のターゲットである。この時期ならではの数釣りをぜひ満喫したい。

<津久茂真奈美/TSURINEWSライター>
