釣りはあくまでアウトドアだ。海、山、川など様々なフィールドがあるが、そのどれにも危険に遭遇するリスクは常にある。

マダニが媒介する恐ろしい感染症(SFTS)もその例外ではない。そして、この人の命さえ脅かすマダニ感染症患者が急増しているのだ。筆者は専門家ではないが、釣り人も無関係ではいられないこの「小さな恐怖」について実態と予防について調べてみた。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

「釣り場に危機迫る?」マダニが媒介する感染症『SFTS』が過...の画像はこちら >>

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは

これは、いわゆるウイルスで、このウイルスを保有するマダニに刺されることによって人や動物に感染する怖い病気だ。さらに厄介なことに、例え刺されていなくても感染した動物(ペットを含む)の体液や血液に触れるだけでも危険があることだ。

「釣り場に危機迫る?」マダニが媒介する感染症『SFTS』が過去最多! 生息域を知っておこう
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こんな河川は要注意(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

潜伏期間と症状

万が一、SFTSに感染してしまうとどうなるかだが、まず潜伏期間は6日から2週間程度と言われている。そして気になる症状だが、主に発熱や倦怠感、下痢、酷くなると意識障害などを引き起こす。さらに致死率はなんと30%にもなるというから驚きだ。

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除草が入る場所も(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

マダニの生息域

これについては可能性も含めると、全国各地ということになる。筆者の住む関東にももちろん生息している。では、具体的にどんな場所が危ないのかを詳しく上げてみよう。

草むら

都心の釣り場ではあまりないが、地方へ行くと河川や野池の周りは最も気を付けなくてはならない。背丈ほどに伸びた草むらや、藪地帯には高確率で潜んでいる。そして、マダニの体長は通常3~8mmととても小さく目視が難しいので細心の注意が必要だ。

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草むらは長袖長ズボンで(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

公園

のんびりと公園の芝生で昼寝もできないのかと思うと悲しくなるが、それだけ身近に危険が迫っているということだ。芝生も怖いが、公園にだって背の低い樹木やちょっとした草むらはある。

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身近な公園も注意(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

実はこんな所にもマダニの恐怖はある。人間だけでなくマダニはペットにも寄生するので、散歩させるときは要注意だ。

野生動物が出る場所

話題となっているクマ、さらに鹿やアライグマにコウモリなど、人間の生活圏に入り込んでいる野生動物は上げたらきりがない。

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小さい虫はわかりにくい(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

そして、近年マダニ被害が増えている原因のひとつに考えられているのがこれらの動物にくっついて移動し、生息域を広げている可能性があることだ。あまり触る機会はないと思うが、野生動物には近寄らないことだ。

予防と感染の処置

まず、釣りやキャンプなどの野外の遊びでは真夏でも長袖長ズボンは絶対だ。できるなら、グローブや首ともにもタオルなどを巻いてほしい。

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煙倍増の線香は有効(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

有効とされている虫よけも、「ディート」や「イカリジン」配合のものが効果的だ。さらに、ハッカ入りのスプレーや、太くて煙が倍増している蚊取り線香なども用意すると万全だ。

刺された時の対処法

万が一にも刺されてしまったら、自分で引き抜くのは絶対ダメ。口が傷口に残ってしまい、さらに悪化してしまう。そのままの状態ですぐに病院で処置してもらうのが正解だ。

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虫よけは成分を確認(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

正しく恐れる

マダニに刺されてしまってもパニックになる必要はない。まずは落ち着いて病院へ直行だ。

というのも、全てのマダニがSFTSウイルスを保有しているわけではないからだ。保有率は数%ととても低いと言われている。だからといって油断するのは禁物だ。

釣りやキャンプ、山登りでもしっかりと対策をして、後日少しでも体調がいつもと違うと感じたら念の為に病院で診てもらうことをおすすめする。

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秋は大物も釣れるが……(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

マダニの活動は夏場だけではなく秋が深まる11月頃まで続く。釣りも一番釣れる時期に入るが、必要以上に恐れることなく、こんな危険もあるんだと頭の片隅に入れておくくらいで十分だ。

<宮坂剛志/TSURINEWSライター>

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