長野県塩尻市にある田川浦湖をご存じだろうか。こぢんまりとしたかんがい用ため池だが、きれいな桟橋が整備され入釣は楽チン。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース編集部)
田川浦湖の概況
田川浦湖は1932年に農業用ため池として完成した人造湖。貯水量は約2万6千立方メートルあるが周辺の田畑を潤すものとして十分ではなかった。そこで1952年、隣地に貯水量約27万5千立法メートルのみどり湖を増設し現在に至る。
当初は両湖とも農業用がおもな用途だったが、現在は観光ならびにヘラブナ釣りのメッカとして太公望たちを楽しませている。

水位の違いと現況
数のみどり湖、型の田川浦湖と呼ばれるように住み分けがされており、その日の気分でどちらに釣行するか選ぶことができるのがうれしい。
また両湖とも桟橋が整備されており釣り台なしで手軽に狙うことができる。なお8月23日現在、みどり湖のほうは大減水しており桟橋からの釣りは不可能。釣り台を出しての釣りになる。
ところが同じ水系にも関わらず田川浦湖のほうは満水となっていて、これについて常連に話を聞くも「よくわからない」との答えが返ってきた。

アベレージサイズと難易度
型の田川浦湖と呼ばれるだけあってアベレージサイズは尺2寸前後と驚きの数字。みどり湖が7~9寸とされるので、その差は歴然だ。ただし数は出ない。
また良型ゆえにIQが高く一筋縄では攻略できず、この難しさが釣り人のハートに火を付けヘラ道場的に利用する人も少なくない。
ポイント
メインは左桟橋で常連の多くは真っ先にこの桟橋を目指す。取材日当日も、入口から見て奥寄りに底釣り組の常連が5~6人は並んでいた。
次いで桑原桟橋。最大の収容人員があり、また釣り座が北向きなので夏の暑さにも強い。ただし水深が浅いので、どちらかと言えば底釣り向き。

水深がもっとも深いのがエン堤桟橋で釣り方を選ばないのはうれしい。ただし山肌に沿って風が吹きやすいので向かい風を受けやすい。

以上、3つの桟橋があり全収容人員はおよそ50人前後。以前、みどり湖大会の代替地として田川浦湖で開催した時は80人以上の参加があったそうだが、釣り座間隔はキツキツだったらしい。なおその時の上位入賞者の多くは桑原桟橋だったことを付け加えておこう。
釣り方とエサ
実釣取材でお付き合いいただいた同湖および、みどり湖をホームとするマルキユーフィールドスタッフ・松本学氏による解説は以下のとおりだ。

宙でも底でも明確な型の差はない。
常連の多くは両ダンゴの底釣りで楽しまれている。竿は9~12尺程度。ただし並ぶと沖め有利な傾向はある。
1枚でも多く数を伸ばしたいのなら宙釣りに分あり。ただし両ダンゴだとエサ合わせが難しいので、盛期ならトロ掛けセットで始めて、魚の活性次第で両ダンゴにシフトするのが効率的とのこと。ただしトロ掛けセットのバラケ合わせも難しい。
これら難しさの要因は一に二も型のよさと口数の少なさによるもの。ウキを動かしてくれる中・小ベラがいればアタリ数も期待できるが、それがほとんどいないので食い渋ると、とことんウキは動かなくなってしまう。
実釣取材での展開と課題
実釣取材日もまさにこれ。記者の実力では到底太刀打ちできず、にも関わらず両ダンゴの宙釣りをやったものだからウキはほとんど動かせなかった。一方、腕達者な松本氏はトロ掛けセットを選択。
しかし同氏の腕をもってしても連続アタリを出すのは難しく、食い渋った時の怖さを痛烈に実感させられた。松本氏いわくトロ掛けセットだけでなく場合によっては固形物のセットも視野に入れたほうがいいのでは、とのアドバイスだった。
<週刊へらニュース編集部/TSURINEWS編>
この記事は『週刊へらニュース』2025年月9日5日号に掲載された記事を再編集したものになります。