大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？ 画像（5枚）

夏になると増えるクラゲ。毒を持つ種も多く、人は基本的に近づかない存在ですが、意外にも魚が隠れていることがあります。

ダイビング中にユウレイクラゲなど大きなクラゲを見つけたら、触手に注意しつつ中を覗いてみましょう。そこには小さな魚たちが身を寄せているかもしれません。彼らはなぜ危険なクラゲに入り込むのでしょうか？

【『サカナト』で読む】

（アイキャッチ画像提供：まっさん【伊東のインストラクター】）

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クラゲの毒で守られる幼魚

クラゲの中によくいる小さな魚は、イボダイの幼魚やハナビラウオの幼魚であることが多いです。これらの魚たちは、クラゲの中を住処にしています。

大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
ここに住もう！（提供：まっさん【伊東のインストラクター】）

クラゲの触手には毒があるため、幼魚たちは周りの天敵から身を守ることができます。彼らは体表に粘液が多く、クラゲの毒の影響を受けずに、触手のなかで暮らしていくことができるのです。

その姿は、まるで有毒のイソギンチャクに隠れて暮らすクマノミのようですね。

クマノミの体表にも粘液がありますが、この粘液はシアル酸という成分が他の魚より極めて低いのだとか。イソギンチャクはシアル酸に反応して刺胞を発射するため、シアル酸が少ないクマノミはイソギンチャクに刺されずに過ごすことができるそうですよ。

クラゲと一緒に海を漂う

イボダイの幼魚やハナビラウオの幼魚は、クラゲを乗り物のようにして移動することもあります。

大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
連れて行ってー（提供：まっさん【伊東のインストラクター】）

クラゲの中に住むことで、クラゲが流れていくのと共に、自らを遠くに運ぶことができるのです。

大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
ユウレイクラゲに隠れて、旅をするイボダイ幼魚（提供：DiveFamilyYellow川坂秀和）

彼らにとってクラゲは、まるで「愛車」のよう。“動く家”とも言えるかもしれません。

クラゲはご飯にもなる？

イボダイの幼魚やハナビラウオの幼魚たちは、クラゲ“家”として過ごすだけでなく、一緒に移動するクラゲを食べることもあります。

ダイビングでも、小さな魚がクラゲの触手をちゅるちゅると食べていたり、傘の部分をつついていたりする姿が観察できますよ。

大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
大きなクラゲの中に暮らす小さな魚たち　クラゲと一緒に過ごす理由は3つ？
ユウレイクラゲの触手を啄むイボダイ幼魚（提供：DiveFamilyYellow川坂秀和）

大きいクラゲには、長い触手や傘の部分が食べられてボロボロになっている個体を見つけることもあります。

童話に出てくる“お菓子の家”を彷彿とさせる、なんとも贅沢な生活をしていますね。

魚にとっては一石三鳥！？

小魚にとってクラゲは、家であり、車であり、ご飯でもある存在。広い海で、クラゲと小魚、そしてダイバーが出会うのは、まさに一期一会です。

クラゲと一緒に過ごす魚の話を紹介しましたが、傘の部分にエビが乗って移動している姿も見たことがあります。

これからの時期、こんな出会いも楽しむことができます。皆さんもぜひ、ダイビングで小さな物語を見つけてみてはいかがでしょうか。

観察する際は、くれぐれも触手に注意してくださいね！

＜まっさん【伊東のインストラクター】／サカナトライター＞

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