アユ釣りはいよいよ終盤戦に突入した。9月になれば田んぼの稲穂はこうべを垂れ、朝は肌寒さを感じる。

数狙いも面白いが、この時期はやはり大アユ狙いが面白い。各河川から、大アユの吉報が聞かれるのもこの時期だ。アユは25cmを超えると別次元の釣りになる。27cmを超えたらもう格闘だ。大アユには数釣りにはない醍醐味がある。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

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大アユが狙える河川

今年、中部で大アユが狙える本命河川は、岐阜県の益田川と白川だ。白川は毎年大アユが釣れることで有名だが、益田川は水害の影響でここ数年低迷していた。それが今年は当たり年なのだ。8月頭で26cmも出ており、8月下旬~9月頭には尺アユも夢ではない。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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25cm超えの大型がそろう(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

しかし益田川は終わるのも早いので、9月中ごろまでがリミットだと思う。白川は9月いっぱい狙えそうだ。他には馬瀬川下流も8月頭で25cmオーバーが出ている。穴場なら馬瀬川上流で、ここも8月頭で25cmが下流で出ている。

そして9月に入ってから急上昇するのが根尾川だ。昨年は9月中すぎに尺アユラッシュがあった。私は釣行したのが9月下旬で27cmまでしか釣れなかったが、10月中すぎまで大アユが狙えたので、他の川が終わったころでも楽しめるのが魅力だ。

大アユのポイント

大アユのポイントは時期によって異なる。お盆明けから9月の中旬ごろまでは瀬を中心に流芯でも大アユが狙えるが、9月の下旬ともなれば気温が下がり、大アユは産卵を意識し荒い流れから深場や緩い流れに着き場を移す。

終盤は瀬ではオスが多くなり、トロではメスがよく掛かる。そしてメスのオトリが断然有利になるので、オトリ店ではメスを意識して選別したい。特に大アユに関してはポイントが重要で、大アユが着くポイントは案外毎年一緒であることがデータを取っていると分かる。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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ポイントは比較的絞りやすい(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

そのため多少の時期のズレはあるものの、釣れる河川とポイントは絞りやすいと思う。重要なのはタイミングで、近年は釣り人が多く情報が流れるのが早いためか、釣れた話が出たポイントはすぐに釣れなくなる傾向がある。状況を先読みし、タイミングを合わせて行くか、釣れたポイントに似たポイントを探すのも手だ。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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大アユは緩い流れに着く(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

元気があればウエットスーツを身にまとい、限界ギリギリまで立ち込むか、超長ザオを使って手つかずのサラ場を直撃する方法もある。

大アユのタックル

サオ選びについて。サオは大河川なら長ザオが断然有利。

長ザオによって生まれるイトフケの余裕がオトリの動きを良くするし、掛けたときにタメが利く。中小河川の放流河川なら、9mの急瀬タイプがあれば十分対応できると思う。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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大アユ狙いのタックル(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

穂先は大アユをオトリに扱うことを考えると、太チューブラーが無難。ただし大河川で野アユの活性が低い場合は、ソリッド穂先や細チューブラーも有効になる。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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タックルは強固なものを(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

水中イトの選び方

水中イトは基本高比重、高強度のタングステンメタルを使用する。タングステンメタルは沈みが良く、石のスレに強いので重宝する。終盤になり瀬で反応が悪くなり、泳がせないと掛からないときは複合メタルを使用する。水中イトの特性を知り、適材適所に使い分ければ効率アップだ。

ツケイトと仕掛け構造

ツケイトは上下なし。PEラインでチチワを作り、水中イトに直接編み込んでいる。大アユが掛かると上ツケイトで飛ぶケースが結構あるので、数年前からこの方法にしている。この方法にしてからトラブルが激減した。下ツケイトはなく、ハナカン周り直結のいわゆるワンピース仕掛けだ。

ハナカン周りの工夫

ハナカン周りは、大アユ釣りで最もトラブルが多い箇所だと思う。ハナカンはフック式で中ハリスはフロロカーボンラインが基本。

サカサは泳がせなら普通サイズで良いが、立ち込みや返し抜きをする場合は大きめの方が扱いやすい。

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ハナカンはフック式(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

掛けバリの種類と使い分け

掛けバリは基本3本イカリと2本、3本チラシ。3本イカリは追いが良い状況なら太軸を選択、追いが悪ければ、泳ぎと刺さり込み重視で細軸の大バリにする。チラシは基本3本チラシで、オモリを使用した大河川における引き釣りに効力を発揮する。

チラシなら掛かってしまえばまずバラシはないし、追い気のないアユも口掛かりで掛かるケースもある。イカリで釣った後でも何匹も拾えるのもメリット。ただし根掛かりのリスクもある、特に渓流相の川で使用すると根掛かりが多い。

根掛かりが多い流れでは、2本チラシにすれば根掛かりは減る。ただし掛かりは遅くなる。ハリのタイプは基本キツネタイプ。号数は基本どのハリも8~10号だ。

オモリを使いこなし大アユゲット

オモリの使い手は良型をそろえる。私の周りでも、オモリの使い手は皆初期から型をそろえてくる。理由は簡単。

オモリを使えば、良型が潜む瀬のド芯、荒瀬、深瀬、泳がせでは到底オトリが入らない流れに送り込むことができるからだ。

つまりオモリを使いこなせば、大アユに巡り会える確率が格段にアップするのだ。オモリ使いの基本は、常にテンションを張りオモリの重みを感じることで、上流へ上流へ引くことを意識することが大事だ。

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オモリを使いこなそう(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

引くスピードはその日の野アユの活性に応じ、高活性なら早く、低活性なら遅く引くこと。オモリの利点のひとつにオトリを引きやすいことがあるが、これは欠点にもなる。理由は一度オトリを通した流れでは、次がこないと思ってしまうことがあるのだ。

ポイントを早くつぶせるのは良いが、早すぎて釣り残しが出てしまうケースも出てくる。そのためここぞと思う流れでは簡単に見切らず、自分が前に出たり後ろに下がったりして横に縦にいろいろ探ったり、オトリを交換して反応の良いオトリを探したりする。時間を置いて再度攻め直すことも大事だ。

「尺サイズも夢じゃない!」大アユ釣りテクニック完全解説【河川・タックル・取り込み】
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思わず見入ってしまう太いアユ(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

オモリの号数は大河川なら重めのオモリで、まずは扇状に引いて様子を見る。中小河川では小さめのオモリが基本だが、サオ抜けになりやすい引き落とし寸前の流れや、大石と大石の間を通す場合は、重めオモリに替えると大アユがドカーンッとくるはずだ。オモリを使いこなせれば底が見えないような深瀬、水深のあるエン堤下なども攻められるようになる。

大アユの取り込み

大アユ釣りの醍醐味は掛けてからの取り込みにある。ここぞと思う流れにオトリがナジんだら、「絶対に掛かる」「絶対に取り込む」の気持ちでアタリを待つ。前もって抜くか寄せるか決めておき、掛かったらすぐにはサオを立てず、サオを信頼し、弾力をフルに生かして掛かりアユの疾走を止める。

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サオを信頼して走りを止める(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

サオをすぐに立てると、掛かりアユに走られてなかなか浮いてこない。立ち込んでいる場合は、重心を後ろにかけて耐える。野アユの疾走を十分に止めた後、抜くなら抜き、寄せるなら石裏や手前の流れに誘導して取り込む。

ただし27cmを超えたら、尺アユ専用でないと引き抜きは厳しい。27cm以上が掛かった場所が荒瀬なら、まず瀬の芯から外し手前の岸際に押さえ込むように寄せる。言うのはたやすいが、結構強引なやり取りが必要なので、前述のようにタックルは基本強固なものが必要となってくる。

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岸際に押さえ込む(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

そして大アユ釣りで大事なことがもうひとつある。「適切な休憩時間が必要」ということ。大アユ釣りでは、タックルが強固な分サオは重い。場所によっては立ち込みが結構必要で、デカいほど取り込みに時間がかかり、場合によっては付いて下り体力を消耗する。

数釣りよりも体力と集中力を消耗するので、それに応じた休憩時間を設けないと、大事な時に釣りが雑になる。一日2回以上は休憩が必要だ。

Q&A:大アユ釣りのよくある疑問

ここではは、大アユ釣りの質問をまとめた。

Q1. 大アユ釣りのベストシーズンはいつ?

大アユは8月後半から9月いっぱいが盛期になる。河川によっては10月まで狙える場合もあるが、多くの川では9月がピークだ。

Q2. 初心者でも大アユは狙える?

狙うことは可能だが、通常のアユ釣りよりもタックルが強固でやり取りも難しい。最初は地元の釣り人や経験者と一緒に釣行し、立ち回りや取り込みのコツを学ぶのが安心だ。

テーマを持つ

何事もテーマを持つことは大切だと思う。テーマを設ければ、そのテーマに向かって仕掛けを準備し、足りなければ釣具店に買い足しに行く。河川の状況を調べ、あれこれ想像する。こんな時間が案外楽しかったりする。それでなおかつイメージ通り釣りができて、釣果がついてきたら最高に楽しい釣りになる。

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イメージ通りに獲った1匹は最高(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

シーズン終盤、数狙いか型狙いかで分かれるかと思うが、私は大アユをテーマに終盤の釣りを楽しむ予定だ。大アユを狙えるのは今しかない。万全のタックル、気持ちで挑もう。

<週刊つりニュース中部版 松森渉/TSURINEWS編>

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