和食材というイメージの強い「海藻」。しかし意外にも、西欧の料理においても利用されています。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
石川で出会った「こな」のピザが絶品
先日、石川県能登を旅行していた際、たまたま入ったカフェで食べたピザが絶品でした。

「こなPizza」という名前のピザなのですが、生地の上にたっぷりの「こな」という海藻が乗っているという変わり種。ミスマッチなのではないかと思いましたが、食べてみると磯の香りともちっとしたピザ生地が非常によくマッチしており、オリーブオイルが食感をうまくまとめていて非常に美味しかったのです。
こなとは能登の呼び名で、標準和名はカヤモノリという海藻だそうです。一般的には汁の実に用いられることが多いそうですが、ピザの具としても素晴らしい働きを見せてくれました。
イタリアンの「海苔パン」
実は、イタリアンでは海藻を具材に使うことは少なくありません。例えば、青のりの一種をピザ生地に混ぜ、カリッと揚げたパンは「ゼッポリーニ」と呼ばれ、日本のイタリアンレストランでもよく見かけます。

他にも「ダルス」という名前の海藻が、カルパッチョの添え物になっているのを見かけることがあります。ダルスは紅藻の一種で、焼くとベーコンのようにカリッとなるため加熱調理されることもあるそうです。
また、日本のひじきやわかめ、昆布などの海藻が調理に用いられることもあるそうです。面白いことに当地でも「la hijiki」「la wakame」といった呼ばれ方をされているといいます。
西欧料理における「海藻」
海藻を用いるのはイタリアだけではありません。お隣フランスでも、日本料理などの影響を受けた「ヌーベルキュイジーヌ」というジャンルの料理で、わかめなどの海藻が用いられることがあります。

また英国のウェールズでは、海苔をコンソメスープで似てペースト状にしたものをパンに塗って食べる「ラバーブレッド」という料理があります。
アメリカではこれまで海藻を食べる文化は殆どありませんでしたが、近年その栄養価の高さと、環境負荷の小ささから、食材として注目する向きがあるといいます。当地ではしっかり加工され、代替肉の原料などになるようです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>