夏から秋へと季節が移ろうこの時期、釣り人にとっては、いわゆる「端境期(はざかいき)」と呼ばれる少々悩ましいシーズンである。魚種が入れ替わり、釣果の安定しない日が続く中、確実なターゲットを絞りにくいことも多い。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
海釣りにおける端境期とは?
端境期とは、季節の変わり目にあたる時期で、海中の魚種が徐々に入れ替わっていくタイミングを指す。夏の魚が徐々に姿を消し、秋のターゲットがまだ本格化していない…そんな中途半端な状態が続くため、どの魚を狙っても「釣れる日と釣れない日」の差が激しくなるのが特徴だ。
この時期は、ベテランでも読みが難しく、ポイントや釣法に悩むことが多い。ターゲットが定まらないために、結果的にボウズで帰る釣り人も少なくない。だからこそ、この不安定な季節を乗り切るためには、「幅広く狙える釣り方」が求められるのだ。
ジグサビキの強み
ジグサビキは、サビキ仕掛けに小型のメタルジグを組み合わせた釣法で、ルアーとエサ釣りの要素を融合させたようなスタイルである。このシンプルな仕掛けでありながら、実に多彩な魚種を狙えるのが最大の魅力だ。

具体的には、アジ・サバ・イワシなどの回遊魚はもちろん、小型の根魚やカマス、時にはシオ(カンパチの幼魚)やメッキ(ギンガメアジの幼魚)などもターゲットになる。下のジグに大型魚が食ってくる可能性もあり、意外な大物との出会いも期待できる。
また、アクションもさほど難しくなく、ただ巻きでも十分に釣果が出る。底から表層まで探れるため、魚のレンジが定まらない端境期でも、臨機応変に対応できる柔軟さが強みである。餌も不要で手軽、しかも短時間で釣果が出るという点で、夏の暑さを考慮した効率的な釣り方と言える。
暑さ対策も大切
とはいえ、うだるような真夏の暑さの中、長時間の釣行はリスクを伴う。ジグサビキは、短時間でも成果を出せる釣りであるため、早朝や夕方の「マズメ時間」を活用するのが基本だ。
特に朝マズメは、魚の活性も高く、群れに当たれば短時間で数釣りが楽しめる。また、涼しい時間帯に釣行することで、熱中症のリスクも軽減できる。氷を入れたクーラー、帽子、飲料の準備を怠らず、安全に配慮したうえで釣行したい。
さらに、釣り場選びもポイントだ。日陰が取れる堤防や、風通しの良い高台など、少しでも快適に過ごせる場所を選ぶとよい。夏の釣りは「魚を釣る前に自分が倒れない工夫」が最も重要である。日焼け対策も万全に行いたい。
ファミリーにも好適
ジグサビキは、ファミリーフィッシングにも最適な釣り方である。仕掛けがシンプルで、餌が不要なため、子どもや初心者でも扱いやすい。アタリも多く、目に見える形で釣れる楽しさがあるので、家族全員で楽しむにはうってつけだ。

加えて、釣れる魚が小型であることが多いため、安全面でも安心感がある。
夏の思い出づくりにも、手軽で成果が出やすいジグサビキは非常に魅力的な選択肢だ。子どもが釣りに興味を持つきっかけにもなるため、アウトドア初心者の家庭にもぜひおすすめしたい。

端境期は、釣り人にとって難しいシーズンである。しかし、そんな時期こそ「多魚種狙いができて、短時間勝負が可能」なジグサビキの出番だ。効率的でありながら、予想外の釣果も期待でき、家族や初心者でも楽しめる万能なスタイルである。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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