魚料理は「フルーツの葉」で美味しくなる? 世界各地にある「葉包み魚料理」についてまとめてみました。
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フルーツの葉で寿司を包むと美味しい
新幹線に乗るとき、筆者が売店でついつい手に取ってしまうお弁当が「柿の葉寿司」。強めに酢で締められたネタの寿司が柿の葉に包まれており、一つ一つ開きながらつまむのは手間でもありますが、それがまた旅の特別感をもり立ててくれます。

柿の葉寿司は奈良や和歌山、石川などで作られている郷土料理で、殺菌作用のある柿の葉で寿司を包むことで保存性を高めたのが由来とされています。柿の葉で包むことでその青く爽やかな香りが寿司に移り、食欲が増進されるという効果もあるようです。
長野には、この柿の葉寿司によく似た「ぶどう葉寿司」という料理があります。これは長野県の山中に自生するヤマブドウという野生ブドウの葉で、マスなどの寿司を包んだもので、ブドウの葉由来の酸味が寿司に移り独特の美味しさをもたらしています。
ハーブの葉で包むパターンも
さて、我が国では寿司を包むに当たり、フルーツ以外の葉も用いられています。
特に利用されるのがショウガ科の葉。岐阜県の山間部ではミョウガの葉で具沢山の寿司を包んだ「みょうが寿司」が知られており、これで包むことで保存性を高めるほか、爽やかな香りがついてより美味しくなります。具材には塩サバや甘く煮た貝類などの魚介類のほか、当地で人気の高い「蜂の幼虫」も用いられるそうです。

岐阜県で同じように寿司を包むのに使われるのがホオノキの葉。いわゆる朴葉寿司と呼ばれるものですが、朴葉焼きに用いられるような枯れた葉ではなく、まだ青い葉を使って包みます。青い朴葉には爽やかなほんのり甘い香りがあり、これが移った寿司がまた乙なのです。
世界最大の葉を持つフルーツも
流石に寿司というわけではありませんが、魚を葉で包んで調理することは世界的にもよく見られます。有名なのが「バナナの葉包み焼き」でしょう。

世界最大の草であるバナナの葉は2m近くなることもあり、厚みがあって調理用具として用いることができます。これに包んで焚き火に放り込むことで、直火を当てずに蒸し焼きにすることができます。
バナナの葉は現在でも、蒸し器や敷物などで一般的に使われています。特に南アジアや東南アジアでは今でも欠かせない調理器具であり、魚料理に欠かせないものと言えるでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>