大阪南港に本格的なアジの回遊が訪れるのは、例年、冬に入る直前の短い期間である。しかし、その気配を察知するためには、初秋の段階から水面下の変化に目を光らせておく必要がある。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
湾奥はまだ静か
現状、大阪湾奥ではまだアジの目立った回遊は確認されていない。豆アジすら姿を見せず、例年通り静かな立ち上がりといった印象だ。しかし、これは決して悲観すべきことではない。なぜなら、ここ数年の傾向を見ても、南港エリアのアジングは初秋に入ってから一気に局地的な盛り上がりを見せるからだ。
その直前に起こるのが「サヨリの大挙」である。水面を走るように群れで泳ぐサヨリが目立ち始め、その姿が完全に消えたあとで中型のアジが姿を現す。この現象は2023年、2024年と2年連続で確認されており、筆者も含め大阪南港の釣り人たちの間では、ある種の「定点観測」として認識されつつある。
ちなみに、サヨリを狙って釣ることは少々難しい。この魚、くちばしのような口の上は短く、下側が長いという奇妙なかたちをしているので、カマスなどと形は似ていても釣りにくいのだ。サヨリのルアーフィッシング化については、別の記事で可能性を考えてみているので、そちらを参考にしてほしい。

中アジの回遊は短期決戦
ただし、注意すべきはその「賞味期限」の短さである。大阪南港に入るアジは、回遊の周期が早く、しかも滞在期間が非常に短い。多くの場合、良型が釣れるタイミングは1か月弱。
よって「回ってから動く」では遅い。サヨリが抜けるか抜けないかの時点でアジングの準備を始め、潮回りや天候に応じて即座に実釣に移す機動力が求められる。
特に夕マヅメ~ナイトゲームの時間帯が勝負だ。サヨリが表層を泳ぎ回る中、その下層を中アジが回遊することが多く、レンジの見極めと軽めのジグヘッドの操作が釣果の鍵となる。群れが小さいため、ポイント選びも重要で、数少ない当たり場所にアングラーが集中する傾向がある。

追い続けるなら垂水、泉南へ
南港での短期勝負を逃したくはないが、長期的に中アジを狙いたいという場合には、垂水・泉南といったエリアを視野に入れるべきだ。これらのエリアはアジの回遊ルート上にあり、南港よりも長い期間にわたり釣果が安定する傾向がある。
豆アジの回遊は、すでに泉南と垂水で始まりつつある。筆者も先日、深日港にて、ジグサビキによる釣果ではあるが、数尾の豆アジを手にすることができた。日中でも釣りが成立するので、ずっとアジの存在を感じていたい方は本格的なサビキ釣りや、ジグサビキの釣りをおすすめしたい。

垂水の漁港周辺や泉南のテトラ帯では、年を超えて1月中旬まで良型アジが釣れ続けることもある。日中は厳しくても、朝夕のマズメ時、あるいは常夜灯絡みのポイントで粘れば、時合に当たる確率も高まる。
今年のアジング予想
まとめて言うと、次の通りとなる。
・大阪南港の秋アジングは、サヨリ大挙のあとが本番。
・中アジの回遊は毎年11月中旬~12月上旬ごろにかけてのごく短期間。
・見逃さないためにはサヨリの群れに注目し、サヨリが抜けたあとの迅速な行動がカギ。
・より長く楽しむなら、垂水や泉南といった安定エリアの活用も有効。
「秋は、釣るべきときに釣る」——それが湾奥アジングの鉄則だ。今年もその短い“旬”に全力を注ぐ価値は、間違いなくある。今年は黒潮大蛇行が終息した年でもあるので、若干傾向が変わる可能性はあるが、まずは例年通りのパターンを踏みたい。もちろんアジの動きが少し怪しければランガンも必要だ。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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