暑すぎる夏がようやく終わりを迎え、一年で釣り人が最も心躍るシーズンがやって来た。皆さんの身の周りに、「釣りに少しは興味あるけれどわざわざ行く気になれない」「釣りよりもキャンプが好き」といった人はいないだろうか。

今回は釣り人倍増計画として、そんな人を釣り沼に引きずり込んでみようという企画だ。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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サビキ釣りに行ってみよう

釣りって意外にハードルが高い。普段釣りをしない人と話していると、そう感じることが多くてびっくりする。釣りがライフワークの私たちからすれば、お手軽の極みであるハゼ釣りやサビキ釣りですら、高いハードルと感じている人が少なくない。

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「初心者でも簡単!」サビキ釣りの始め方と便利グッズ完全ガイド
初心者でも楽しめる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

「朝が早い」「手や服が汚れる」「くさい」「お金がかかりすぎる」などがその理由だが、いずれも決して高いハードルとは思えない。昼からの釣りでも十分釣れる釣りはあるし、今は魚やエサに直接触れずに釣ることだって可能。においは仕方ないにしても、お金だってUSJやディズニーに行くよりはるかに安上がりの釣りが多い。もちろん上を見ればキリがないのだが……。

そんな人たちを沼らせるには、やっぱり釣れる釣りに連れて行くことが一番。秋のハゼ釣りもいいけど、ゴカイに拒否反応を示す人も多い。やっぱりここはサビキ釣りがイチオシだろう。

サビキ釣りに必要な道具

普段釣りをしない人をサビキ釣りに連れていくに当たって、用意するものはまずサオとリール。サオはあまり長いものは扱いにくいので、3m前後までがお勧めだ。シーバスロッドやエギングロッドが軽くて使いやすい。

またリールとセットになった万能ザオでもOKだ。

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サビキ釣りのタックル(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

リールは小型スピニング。安価なもので全然OKだ。ミチイトはナイロンラインでもPEラインでもいいが、できればアタリがダイレクトに伝わるPEラインがお勧め。魚の手応えは釣りにハマる大きな要因だ。

仕掛けは市販のサビキ仕掛けだが、ハリの大きさが重要。ターゲットはアジだが、夏の豆アジより少し成長して15cm前後のものが増えてくる。そうなると豆アジ仕様ではなく、ハリ5~6号のものを選ぶと良い。それに仕掛けの最下部に付けるまきエサカゴがあれば完璧だ。

サビキ釣りのエサ

基本的にサビキ釣りではハリにエサを刺すことはない。仕掛け最下部のカゴにまきエサのアミエビを入れるだけ。このアミエビは冷凍ブロックで売っていることがほとんどで、解凍して使う。

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吸い込みバケツ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

このときあると便利なのが吸い込みバケツだ。

解凍したアミエビと海水を入れ水分多めのまきエサを作る。普通のバケツと違いすり鉢状になっており、底はちょうどまきエサカゴがすっぽりとはまる穴になっている。ぽいっとカゴをバケツに入れ、底まで沈めて2~3度上下するだけで手で触れずともアミエビがカゴに入る……というわけだ。

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アミ姫シリーズ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

アミエビは、どうしてもそのにおいが苦手という人が多い。そんなときは常温保存可能で、イヤなにおいもないチューブタイプのアミエビも販売されている。マルキユーのアミ姫シリーズがそれ。見た目に反してフルーティな香りがつけられており、手についてもさっと洗うだけで汚れが取れる。

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手が汚れない(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

もし使いきれなくてもしっかりフタをしておけば、次もそのまま使えるので経済的だ。ただ通常のアミエビより粘度が高いので、海中でカゴから振り出すときに強めにサオをあおる必要がある。

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集魚剤(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

またアミエビに混ぜる集魚剤として、マルキユーのアジジャンボやサビキパワーもお勧め。強めの濁りが発生するので、少し食い渋ったときなどに有効だ。

サビキ釣りで便利な道具

魚をつかむフィッシュグリップ。魚を直に触ることに抵抗のある人には必須アイテムだ。

しっかり魚をホールドして、プライヤーでハリを外せばOK。またハオコゼやゴンズイなど、ヒレに毒のある魚が釣れたときにも重宝する。

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フィッシュグリップ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

バケツは海水をくんで手を洗ったり、釣った魚を一時的に生かしておくのに使う。海水をくむため、ロープ付きのものがあるといいだろう。

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ロープ付き水くみバケツ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

手すりがない堤防では三脚が便利。その名の通り3つの足で立ち、その上にサオを掛けるのだが、真ん中に海水を入れたバケツをぶら下げるとしっかり固定できる。いったんサオを置いて休憩したり、荷物をぶら下げたりするのに便利だ。

知多半島の堤防では、トリックサビキを使うことが多い。これはハリにバケやギミックがない空バリ仕掛けなのだが、ここにシロメやアミエビのエサを付けると食いが良くなる。

だが小さくたくさんのハリに、小さいエサをいちいち刺すのはとても面倒だ。そこでエサ受け皿にアミエビやシロメをどさっと置き、そこに仕掛けを2度、3度往復させると、あっという間にハリにエサが付く。知多半島や浜名湖でよく使われているようだ。

その他に必要なもの

他に安全のための帽子、目を守る偏光グラス、ライフジャケットなど。クーラーはサビキ釣りであっても20L程度の、やや大きめのものを用意したい。細かいものでいえばハサミ、プライヤー、手ふきタオル、虫よけ、日焼け止めなど。

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折り畳みコンテナ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

そして百均で売っている折り畳みコンテナもお勧め。ここにコンビニ袋をかぶせると、即席ゴミ箱の完成だ。どんな釣りでも思っている以上に多くのゴミが出る。仕掛けの包装紙や台紙、エサが入っていた袋、イトを切った後のイトクズなど。ゴミ箱があればぽいぽい入れていき、最後は袋の口を縛って持ち帰ればOK。コンテナは折り畳みなので、かさばらないし持ち運びも便利だ。

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即席ゴミ箱になる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

サオとリール以外のものは、ドカットなどコンテナ式の道具箱にひとまとめに入れておけば、現場で手にするのはタックル、道具箱、クーラーの3つだけ。三脚はややかさばるが、サオを一緒にベルトでまとめよう。

サビキ釣り実釣

この釣りは夜討ち朝駆けなんて、体に悪いことはしなくても良い。昼からのんびり出かけても十分釣果が望める。もちろん朝夕のマヅメが良いのは確かだが、それにこだわりすぎる必要は全くないのだ。

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老若男女楽しめる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣り方はいたってシンプル。カゴにアミエビを入れ、底まで落としたら2度、3度サオをあおってまきエサを放出、そのまきエサの煙幕に仕掛けを置くイメージで待つ。

最初は魚が寄るまで時間がかかるかもしれないが、寄ってしまえばこちらのもの。まきエサを切らさないよう、手返しよく釣っていこう。

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入れ食いになることも(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣ったアジはバケツに泳がせておいてもいいが時間がたつと死んでしまうので、ある程度たまったらクーラーに移し替えていく。クーラーが汚れるのがイヤなら、10~15匹ずつジッパー付きの袋に入れておいてもいい。その際、少量の海水を入れておくと、万遍なく冷えるので覚えておこう。

サビキ釣りで守りたいマナー

近年どこの釣り場でもゴミやマナー違反が問題になっている。出たゴミを持ち帰るのは当たり前だし、まきエサで堤防が汚れたら水くみバケツで海水をくんできれいに洗い流しておこう。迷惑駐車も厳禁。立ち入り禁止場所には絶対入らないようにしたい。

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食いが立てば数釣り可能(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

どれも当たり前のことなのだが、その当たり前ができない、しない釣り人が多いから釣り禁止の釣り場がどんどん増えていくのだ。釣りの楽しさを教えるだけでなく、こういったマナーもしっかり伝えるようにしよう。

サビキ釣りのポイント紹介

ここで実際どこへ行けばいいのか、ポイント紹介しておこう。

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これだけ釣ればおかずに十分(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

愛知県:南知多町豊浜釣り桟橋

いわずとしれた南知多の堤防釣りのメッカ。足元がメッシュ状になっているので、小物類を落とさないように十分気をつけてほしい。9月上旬現在、12~13cmのアジがよく釣れているようだ。

朝夕のマヅメ時に分があるのと、トリックサビキが圧倒的に強いようだ。南知多有料道路の豊丘インターを下りたところにエサ店があるのと、周辺コンビニでもアミエビやシロメが購入できる。

愛知県:常滑市りんくう釣り護岸

セントレアを眼前に臨む手すり付きで安全に楽しめる長大な釣り護岸。9月上旬現在、アジに加え、コノシロやサッパの回遊もあるようだが、手前が捨て石なのでウキを付けた投げサビキがお勧め。有料駐車場完備。

近くにイオン、コストコ、めんたいパークなどがあり、釣り以外でも十分楽しめる。

三重県:大紀町錦漁港

紀勢道の大内山インターから近く、インター下りてすぐにエサ店、コンビニがある。漁港のどこでもアジは狙えるが、トロピカルランド寄りの網干し場は車横付けで釣りができる。

アジだけでなくカタボシイワシや小サバなどの回遊もあり、意外ににぎやかな釣果になることも多い。

三重県:鈴鹿市白子漁港

アジはムラがあるが、サッパやカタボシイワシ、カタクチなど回遊魚が多く、サビキなら退屈しない状況のようだ。釣り専用の堤防も設置され、安全に楽しめる。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年9月26日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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