釣果情報が飛び交う中、「釣れなかった釣行」はなかなか語られることが少ない。しかし、実際の釣りはそう甘くない。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
アジングは沈黙
釣行日は9月上旬。夕方17時過ぎに泉大津エリアにエントリー。水面は穏やかで、風もほぼ無風。状況だけ見れば快適な釣り日和であった。

まずはアジングからスタート。ここはドン深なので、2g前後のジグヘッドに赤ラメのワームをセットしリグを目立たせながら、表層から順にレンジを探っていく。回遊待ちの構えをとるが、1時間が経過してもバイトらしき感触は皆無。水面にベイトの姿もほとんど確認できず、生命感が極めて乏しい。
ポイントを移動しても状況は変わらず。結局、アジの気配を感じることなく、アジングは「沈黙」で幕を閉じた。
ブリームも不発
日が暮れたタイミングで、ブリームゲームへと切り替える。使用するのは、メバリング用の表層のプラグがメイン。岸壁沿いやはしご回りなど、局所打ちで重点的に攻めた。
期待していたのはキビレやチヌの反応だが、こちらもまったく音沙汰なし。直リグにかえてボトムを探ったところで一度だけ何か当たったが、ノってくるような反応ではなく、水中は完全な沈黙状態。下げ潮がきき始める時間を見計らって再度チャレンジするも、状況は好転せず、時間だけが過ぎていった。
結果的に、ブリームゲームもノーバイト。まるで魚の気配が一切ない、完全な「空振り釣行」であった。
天候と潮の影響
この日の潮は「大潮」。満月の夜であり、月明かりが強く、水面を白く照らしていた。一般的に、大潮は魚の活性が上がりやすい潮回りとされるが、満月との組み合わせは必ずしも好条件とは限らない。特に夜釣りにおいては、月明かりが強すぎると警戒心の強い魚がレンジを下げたり、ベイトが散ってしまう傾向もある。

また、水温も依然として高めで、秋の気配はまだ感じられない。こうした「釣れる要素」と「釣れない要素」が複雑に絡み合い、結果として魚の動きが極端に悪い状況だったのではないかと推測される。
釣りは「釣れる理由」を考えるのも大切だが、「釣れない理由」を見つめ直すこともまた重要である。
釣果ゼロの価値
釣果ゼロの釣行に意味はあるのか?結論からいえば、ある。むしろ、こうした「釣れない釣り」こそが、次の一匹へとつながるヒントを与えてくれる。
例えば、ポイントの選び方。今回の釣行で明らかだったのは、「ベイトがいない場所には魚もいない」という単純かつ確実な真実である。また、光量の強い満月と常夜灯の重複がマイナスに働いた可能性も考えられる。次回は満月を避け、光量の少ない新月周りでの釣行を試してみる価値がある。

加えて、釣れない時間を通じて「ルアーの動き」「潮の流れ」「レンジの探り方」など、基本的な動作を確認しなおすこともできた。魚の反応がないからこそ、自分の釣りの型を見直す好機にもなる。
今回の泉大津釣行は、アジもチヌも完全沈黙という、ある意味で潔い「ボウズ釣行」であった。
釣果を得ることが釣りのすべてではない。むしろ、釣れなかった日こそが、次の一尾の価値を高めてくれる。そう考えると、この日の完全ノーバイトも決して無駄ではなかったはずだ。次回は必ずリベンジを果たしたい。そのための「準備期間」として、この釣行を位置づけたい。
<井上海生/TSURINEWSライター>